補助資料1 単元 子 ど も の 発 達 の 特 性 「発達と保育」 小単元 生涯発達における 乳幼児期の意義 発達と環境 発達観・児童観 の変遷 身体発育と 運動機能の発達 子 ど も の 発 達 過 程 認知機能の発達 情緒の発達 人間関係の発達 保育実習 年間指導計画 ( 「子どもの発達と保育」に対応) 主な学習内容 時数 活用する絵本と場面 ①子どもの発達に関心をもつ。 ②乳幼児期が人間の発達の基礎を培う時期であることを 理解する。 2 ③子どもは,身近な人々との生活を通してものの考え方, 感じ方,行動の仕方を学習していることを理解する。 ①の導入・展開 「あかちゃんの ゆりかご」 ①心身の発達は,子どもが大人への信頼感を基盤に,様々 な環境に主体的に関わることを通して促されることを 理解する。 ②子どもと環境との関わり,子どもの発達における大人 の関与が重要であることを理解する。 ②のまとめ 「ちびゴリラの ちびちび」 ①発達観・児童観は,時代背景などにより変化している ことを理解する。 ②子どもが人として尊重されるようになった経緯を理解 する。 ①子どもの身体発育の傾向と特徴について理解する。 ②乳幼児身体発育値の見方や,母子健康手帳について知 る。 ③発育は,一定の順序で進むが,個人差のあることを理 解する。 ④子どもの運動機能と視覚や聴覚などの感覚の発達につ いて理解する。 1 1 10 ①胎児期・新生児期は,運動機能を通して,急速に認知 機能が発達することを理解する。 ②言語,思考などの発達過程を理解する。 ③子どもの遊びが,認知機能の発達に伴って変化するこ とを理解する。 4 ④遊びによって,集団のルールや決まりを理解するなど, 道徳性が芽生えることを理解する。 ⑤子どもの主体性を尊重した,遊びの援助について理解 する。 ②の導入 「はらぺこ あおむし」 ④の導入 「ノンタン ぶらんこのせて」 ①情緒の安定は,子どもの探索活動を促進し,運動機能 や認知機能の発達に大きく影響することを理解する。 ②認知機能の発達に伴い,自分の行動を内省する力が出 2 てくることから,葛藤を経験するようになるなどして, 新たな情緒が育まれることを知る。 ②の展開 「ピーターの いす」 ①乳幼児期は,愛着関係が形成されることが,発達の上 で重要であることを理解する。 ②愛着関係を通して,愛情と信頼の基礎が培われ,自己 6 受容感の形成,人格形成へとつながることを理解する。 ③人に対する基本的信頼は,人間関係を広げ,子どもを 育てていくことを理解する。 ①の導入 「おかあさん だもの」 ③の展開 「とっときの とっかえっこ」 ①保育実習の準備や実習において,子どもと適切に関わ る力を養う。 ②各自課題をもって保育実習に臨み,事後のまとめをす る。 ― MN補1 ― 8 単元 小単元 乳幼児の 生活の特徴と養護 子 ど も の 生 活 子 ど も の 保 育 生活習慣の形成 ま と め ①乳幼児の一日の生活の特徴を理解する。 ②健康を保持増進し順調な成長を促すには,発育・発達 に応じた適切な養護が必要であることを理解する。 ③幼児の食事などについて,具体的に実習し適切な関わ りができるようにする。 ①生活習慣形成の意義と重要性を理解する。 ②乳幼児の基本的生活習慣については,発育・発達に即 した適切な習慣形成を考えることができる。 ③豊かな食の体験を重ねていくことによって,食を営む 力が育成されることを理解する。 ④社会的生活習慣については,人との関わりや社会のき まりについて理解する。 ⑤生活習慣の形成については,乳幼児自らをやる気にさ せることが大切であることを理解する。 時数 活用する絵本と場面 8 ③の導入 「ぐりとぐら」 ②のまとめ 「おつきさまは きっと」 8 ④のまとめ 「ありがとうの えほん」 乳幼児の 健康管理と 事故防止 ①乳幼児の健康の保持増進のために,日常の観察,健康 診査や予防に努めることの大切さを理解する。 ②予防接種の意義や種類,留意点などについて理解する。 4 ③乳幼児の事故の特徴を知り,事故防止と安全教育の必 要性を理解する。 保育の 意義と目標 ①保育とは,適切に養護しながら教育的に関わることで あることを理解する。 ②保育は,子どもの発達の特性を考慮した環境を作る営 みが重要であることを理解する。 保育の方法 ①保育の基本的な事項を知り,心身の発達に応じた指導 方法などを考えることができるようにする。 ②保育にあたって,大人自身の模範的行動,肯定的な言 葉の使用,禁止・注意のタイミングなどが大切である ことを理解する。 ③乳幼児に対する親の関わり,家族関係,地域環境など の影響について考えることができる。 保育の環境 子 ど も の 福 祉 と 子 育 て 支 援 主な学習内容 児童福祉の理念と 関係法規・制度 子育て支援 学習のまとめ ①保育の場として,家庭や幼稚園等の保育環境の特徴や 役割を理解する。 ②多様な保育に関する問題や,保育環境を計画的に構成 することの重要性を理解する。 ①児童福祉の基本的な考え方を知り,すべての児童の健 全育成を目的とした法律があることを理解する。 ①家庭機能の充実と家庭への社会的支援を行う児童家庭 福祉について知る。 ②育児不安や孤立感をもつ親や家族を支援する体制作り の必要性を理解する。 ③国や地方自治体などが行っている,子育て支援の具体 的事例を知る。 ①人の一生を描いた絵本に触れることで,将来の家族や 子どもを育てることに関して考える。 ②絵本の記録を整理するとともに,学習を振り返る。 ― MN補2 ― ①のまとめ 「いもうとの にゅういん」 ②の展開 2 「おおきくなるって いうことは」 ②の展開 「てん」 4 ③のまとめ 「けんかの きもち」 2 ①の展開 「コッコさんの ともだち」 4 ①のまとめ 「でも,わたし 生きていくわ」 2 ①の導入 2 「ハルばぁちゃん の手」 補助資料2 絵本の内容・選定の理由と活用場面について 一覧表 小単元:生涯発達における乳幼児期の意義 1 『あかちゃんのゆりかご』 作/レベッカ・ボンド 訳/さくま 内容・選定の理由 ゆみこ 活用場面 【内容】 ・赤ちゃんの誕生を心待ちにする,祖父母・父母・ ① 家族の触れ合いの様子を描いた場面 長男の 5 人家族。それぞれの思いを込めて赤ちゃ (全頁より) んのために新しいゆりかごを作っていく。お父さ 「発達と保育」の学習に関心をもた んが作ったゆりかごに,おじいさんが色を塗り, せる。 おばあさんが布団を縫い,お兄さんがモビールを 作るという具合である。誕生した赤ちゃんは,家 ② 家族みんなが赤ちゃんに語り掛ける 族の思いが込められたゆりかごで,安心してすや 場面(P26・27) すやと眠る。 新しい命の誕生を,家族はどのよう 【選定の理由】 な気持ちで迎えればよいのかを考え ・絵本の温かい雰囲気から「発達と保育」の学習に させる。 関心をもたせやすく,乳幼児をどのように支援し ていくことが大切であるかを考えさせることが ③ お兄さんが赤ちゃんのためにモビー できる。 ルを作っている場面(P18・19) ・尊い命を,温かく見守っていく家族の気持ちに共 発達段階による運動機能や知的機能 感させることができる。 の違いを認識させる。 ・幼児期にある兄の様子から,子どもの発達段階の 違いを考えさせることができる。 小単元:発達と環境 2 『ちびゴリラのちびちび』 作/ルース・ボーンスタイン 内容・選定の理由 訳/いわた みみ 活用場面 【内容】 ・主人公は,大きな森にいる小さなかわいいゴリラ ① ちびゴリラが父母をはじめとして, のちびちび。お母さんもお父さんも,大きな緑の みんなから愛される様子を描いて 森にいるすべての動物が,ちびちびが大好きであ いる場面(P16まで) る。ちびちびは,どんどん大きくなり,とうとう 子どもを愛おしく思うという大人 大きなゴリラに。大きくなってもみんなから同じ の関与が,子どもの心の安定と心の ように愛される様子が描かれている。 発達につながることを理解させる。 【選定の理由】 ・子どもは,親を中心とした身近な人々から無条件 ② 大きな姿となったちびゴリラの成 に愛されることで,人を信頼し,心が安定してい 長を森のみんなが喜ぶ場面(P17~ くことを,愛らしい動物の主人公を通して感じ取 27) らせることができる。 姿形が違っても,子どもを無条件に ・子どもの発達における大人の関与が重要であるこ 愛する親の関与の在り方を理解さ とを感じ取らせることができる。 せる。 - MN 補3 - 小単元:認知機能の発達 3 『はらぺこあおむし』 作/エリック・カール 訳/もり 内容・選定の理由 ひさし 活用場面 【内容】 ・葉っぱの上の小さな卵から生まれた青虫。お腹を ① 仕掛けのあるページ(全頁より) すかせた青虫の食べ物は,曜日ごとに1つずつ増 子どもの発達に応じた様々な楽し えていく。やがてさなぎになり,きれいな蝶々に。 み方を理解させる。 その様子が,きれいな色彩とページの仕掛けを用 いて描かれている。 【選定の理由】 ・子どもの発達に応じた様々な楽しみ方があること に気付かせることができる。 4 『ノンタンぶらんこのせて』 作・絵/おおともやすおみ・さちこ 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・ブランコに乗って遊んでいる主人公ノンタン。友 ① 達が来ても,ブランコを独り占め。みんなは怒り, 「一緒に遊ばない。」と言い始める。ノンタンは 約束を提案し,順番に乗ることにする。友達との やり取りが,分かりやすく描かれている。 ノンタンがブランコを独り占めに してしまう場面(P1~1 6) 幼児期前半は,自分の気持ちが中 心となってしまうことがあること を理解させる。 【選定の理由】 ・子どもの発達過程を具体的な行動から理解させる ② みんなとのルールを決めて仲直り ことができる。 する場面(P17~30) ・子どもは普段の遊びの中から,集団のルールを学 子どもが,子ども同士の関わりの中 んでいることなど,友達との関わりの大切さを理 から,たくさんのことを学んでいく 解させることができる。 ことを理解させる。 小単元:情緒の発達 5 『ピーターのいす』 作/エズラ=ジャック=キーツ 内容・選定の理由 訳/木島 始 活用場面 【内容】 ・今まで一人天下だった主人公ピーターに,妹が誕生 ① ピーターの心が揺れ動いている場 面(P1~24) する。自分が使っていた,ゆりかごやベビーベッド が,妹用にペンキで塗り替えられていく。妹の存在 子どもの心の葛藤を理解し,温かく により揺れ動くピーターの心の様子が,ピーターと 見守り支援していくことの大切さ 家族との関わりを通して温かく描かれている。 を理解させる。 【選定の理由】 ② ・心の葛藤や体験を通して成長していく幼児期後半 ピーターが気持ちを整理し伝え,行 動に移すまでの心の変化を描いて の情緒を,分かりやすく理解させることができる。 いる場面(P25・26) ・子どもが,自分の行動を内省する力を感じ取らせ ピーターの心の成長を感じ取らせ ることができる。 る。 ・子どもの気持ちを理解し,優しく対応する父母の ③ ペンキを父親と塗る場面(P27・28) 様子から,子どもを温かく支援することの大切さ いろいろな気持ちを共感し合うこと を感じさせることができる。 の大切さを感じ取らせる。 - MN 補4 - 小単元:人間関係の発達 6 『おかあさんだもの』 文/サト サトシ 絵/松城 内容・選定の理由 真理子 活用場面 【内容】 ・赤ちゃんを産んだお母さんが,産んだ日の感動を ① 命が誕生した日に母親が感じたこ 思い起こす。赤ちゃんの未来にどんなつらいこと とが描かれている場面(P19~31) があっても,見守り励ましていこうと決意すると 親又は主たる養育者との愛着関係 ともに,様々な感動を共有していきたいと,命の を認識させる。 誕生に感謝して締めくくられている。 ② 母親が子どもを育てる責任を決意 【選定の理由】 する場面(P25・26) ・乳幼児期の愛着関係の形成が重要であることを, 愛着関係は,主に世話をする母親や 理解させることができる。 父親から無条件に愛された経験に ・出産には,生まれた命を守り,愛して育てるとい よって形成されることを認識させ う責任が伴うことを認識させることができる。 7 『とっときのとっかえっこ』 る。 文/サリー・ウィットマン 絵/カレン・ガンダーシーマー 内容・選定の理由 訳/谷川 俊太郎 活用場面 【内容】 ・おじいさんと,隣に住むネリー。ネリーが赤ちゃ ① ネリーが小さい頃の場面(P1~13) んだった頃から,二人の交流は続く。ネリーが小 人は,愛着関係を通して,人に対す さい頃は,おじいさんがネリーを見守り,おじい る愛情と信頼につながる基礎を培 さんが年老いた時には,ネリーがおじいさんを助 い,人格形成へとつながっていくこ ける。人と人との信頼関係が温かく描かれてい とを理解させる。 る。 【選定の理由】 ② ・人との信頼関係が,子どもの心を成長させ,人へ ネリーが大きくなって,年老いたお じいさんを思いやる場面(P16~24) の思いやりなどを育んでいくことを理解させる 人に対する基本的信頼関係は,人と ことができる。 の関係をつくる能力の基礎となり, ・人に対する基本的信頼は,人間関係の広がりにつ 人間関係を広げ,人の心を育む力が ながることを理解させることができる。 あることを感じさせる。 小単元:乳幼児期の生活の特徴と養護 8 『ぐりとぐら』 作/中川 李枝子 絵/大村 百合子 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・料理することが大好きな野ねずみのぐりとぐら。 ① みんなで一緒にカステラを味わう 材料を探しに行った森で大きな卵を見つけた二 場面(P20~25) 人は,カステラを作ることにする。出来上がった 食生活を豊かにしていくためには, カステラを森の動物みんなでおいしく食べて,卵 食事を作ったり,おいしいものをと の殻では素敵な車を作る。 もに味わったりすることが大切で 【選定の理由】 あることを認識させる。乳幼児期の ・食事を楽しく作り,ともに味わうことの大切さを 食生活の重要性を知り,幼児食など 認識させることができる。 を実践する意欲付けとして活用す る。 - MN 補5 - 小単元:生活習慣の形成 9 『おつきさまは きっと』 文/ケイト・バンクス 訳/さくま 絵/ゲオルク・ハレンスレーベン ゆみこ 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・女の子が,夜の眠りにつくまでの様子を,月が照 ① 様々な動物や女の子が月に照らさ らし見守る世界の国々の様子とともに描いてい れながら安堵して眠りにつく場面 る。絵本を読んでくれる父親,優しくふとんを掛 (全頁より) けてくれる母親が登場し,女の子は,安心して眠 生活習慣において,睡眠時間の確保 りにつく。 や安心できる睡眠環境の大切さを 【選定の理由】 認識させる。 ・生活習慣を安定した気持ちの中で培っていくこと ② 父親が絵本を読み聞かせている場 の大切さを感じさせることができる。 面(P9・10) ・安心して眠りにつくことが,子どもの心を健全に 家族の心配りが,子どもの心身に影 育むことを認識させることができる。 10 『ありがとうのえほん』 響することを感じさせる。 作/フランソワーズ 訳/なかがわ 内容・選定の理由 ちひろ 活用場面 【内容】 ・私たちの世界を支えてくれる,たくさんのものた ① 各ページの感謝の場面 ちに感謝する様子が,「ありがとう」のことばを 社会的生活習慣を,日常の生活で楽 用いてそれぞれの見開きに温かく描かれている。 しく身につけていくことが大切で 【選定の理由】 あるとともに,その獲得が生活の自 ・社会的生活習慣の形成が,人としての自立の第一 立に向けての第一歩であることを 歩であることを認識させることができる。 認識させる。 小単元:乳幼児の健康管理と事故防止 11 『いもうとのにゅういん』 文/筒井 頼子 絵/林 内容・選定の理由 明子 活用場面 【内容】 ・妹のあやが,盲腸で入院することに。お父さんが ① 母親が,具合の悪くなった子どもを 帰宅するまでの留守番,お父さんと二人での夕飯 すぐに病院に連れて行く場面(P4・ などを経験する姉のあさえ。寝る前には,お見舞 5) いに持って行く物を考え一人で用意する。子ども 乳幼児の健康の保持増進のために, の入院をめぐる家族の様子が姉のあさえの成長 日常の観察や予防が大切であるこ とともに描かれている。 とを理解させる。家族が病気になっ 【選定の理由】 た時の他の家族の対応を考えさせ ・家族がそれぞれできることを行い,病気になった るきっかけともする。 家族を守る姿から,家族の役割を理解させること ができる。 -- MN MN 補6 補6 -- 小単元:保育の意義と目標 12 『おおきくなるって いうことは』文/中川 ひろたか 絵/村上 内容・選定の理由 康成 活用場面 【内容】 ・ 「おおきくなるっていうことは○○ってこと」と, ① 自ら考えたり,我慢したり,興味の 大きくなることがどんなことなのかを分かりや あることを自分で探し出したりす すく紹介している。乳幼児期の子どもが,実際に る場面(P7~20) 体験する体や心の成長,いろいろなことができる 人としての育ちを理解させる。 ようになる喜びが,見開き毎に展開されている。 ② 1年の成長を喜び合う場面(P21~ 【選定の理由】 ・子どもの成長する様子を,表面から見えることか 31) らだけでなく,心情や意欲など内面的なことから 一人ひとりの存在を認め合い,人と も確認することができる。 して大切なことを認識させる。 ・教育的に関わる大人の働きかけを認識させること ができる。 小単元:保育の方法 13 『てん』 作/ピーター・レイノルズ 訳/谷川 俊太郎 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・絵を描くことが嫌いなワシテ。そんなワシテに, ① 先生とワシテの会話の場面(P3~ 先生は絵を描くきっかけを作ってくれる。その 12) 後,ワシテは「てん」だけを工夫を凝らして描き 保育者は,子ども一人ひとりの発達 続けるようになり,学校の展覧会で「てん」の絵 を見通し,発達に応じた役割を果た が評判になる。展覧会に来た絵が苦手だという少 すことが大切であることを理解さ 年に,ワシテは先生と同じように声を掛ける。 せる。 ② ワシテが変貌していく場面(P13~ 【選定の理由】 ・子どもが変容していく様子から,保育に当たって 20) は,大人の肯定的な言葉のかけ方,タイミングな ワシテの気持ちが変化した理由を どが大切であることを理解させることができる。 考えさせることにより,保育者の役 ・子どもが自らの力を発揮できるような大人の側の 割の重要性や,子どもが本来もって 関わり方を考えさせることができる。 14 『けんかのきもち』 文/柴田 いる力について認識させる。 愛子 絵/伊藤 秀男 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・家の隣にある「あそび島」に毎日のように遊びに ① 二人のけんかや仲直りの場面(P2~ 行く,主人公の“たい”。餃子作りをした日,友 11)と,お母さんやあそび島のみん 達のこうたと大げんか。家に帰り,お母さんのひ なとの関わりの様子の場面(P28~ ざで泣く。その後,こうたと仲直りするまでの様 32) 子が,家族や友達,先生との関わりとともに温か 友達とともに遊ぶ楽しさや,気持ち く描かれている。 がぶつかり合う体験から,子どもが 【選定の理由】 協調性や社会性を学んでいくこと ・周りの人との関わりの中で,子どもが成長する様 を理解させる。 子を理解させることができる。 - MN 補7 - 小単元:保育の環境 15 『コッコさんのともだち』 作/片山 健 内容・選定の理由 活用場面 【内容】 ・コッコさんは保育園でいつもひとりぼっち。同じよ ① コッコさんが,手をつなぐ相手を探す うにひとりぼっちのアミちゃんと,手をつないだこ 場面(P6~13) とをきっかけに仲良しに。ある日けんかをしたこと 子どもが友達をつくるきっかけに対 で,二人は初めて別のお友達とも遊ぶ。仲直りをし, する,保育者の配慮を理解させる。 みんなと遊べるようになる様子が描かれている。 【選定の理由】 ② コッコさんと友達との様子の場面 ・保育園等の保育の場の特徴や,役割の一端を理解さ (P14~24) せることができる。 子どもが,子ども同士の交流から感情 ・多様な子ども同士の触れ合いや相互関係を認識させ や行動の統制など,社会性を育んでい ることができる。 く様子を理解させる。 小単元:児童福祉の理念と関係法規・制度 16『でも,わたし生きていくわ』文/コレット・ニース=マズ-ル 絵/エステル・メーンズ 内容・選定の理由 訳/柳田 邦男 活用場面 【内容】 ・両親の突然の死で,幼い妹弟と離れて暮らすことに ① 子どもたちの今後の身の振り方を真 なった 7 歳の少女ネリー。身を寄せた先ではそれぞ 剣に相談し合う大人の様子を描いた れが温かく迎えられ,週末にはきょうだい 3 人一緒 場面やネリーや周りの人との関わり に過ごす。ネリーが,周囲の温かさに支えられて, を描いた場面(P1~P20) 将来のことを前向きに考えるようになるまでが描 悲運が降りかかった子どもたちを守 かれている。 ることが大人の役割であることを理 【選定の理由】 解させる。 ・すべての子どもはかけがえのない人間で,子どもの ② ネリーが将来のことを考える場面 幸福はつねに最優先であるという全世界に共通す (P21~24) る児童福祉の基本理念を理解させることができる。 周りの支えがあれば,子どもは悲しみ ・すべての子どもを支え,育てていくという理念を定 を克服しようとすることを理解させ 着させることができる。 る。 まとめ 17 『ハルばぁちゃんの手』 文/山中 恒 絵/木下 内容・選定の理由 晋 活用場面 【内容】 ・今までの絵本の記録を綴る時間の導入 ・海辺の小さな村に生まれた手先が器用なハル。ハル として用いる。 が成長し,家計を支えて働き,結婚し子どもを育て, 「発達と保育」の授業のまとめをしな 共に歩んだ夫を見送る,そんなハルの一生が,その がら,人と出会い,家族を築き子ども 時々を支えた手に焦点を当てて描かれている。 を育てていくこととは,どういうこと 【選定の理由】 なのかを感じ取らせたい。また,人の ・ハルの一生を静かに物語っており,将来を育む生徒 一生は様々であるが,自分の力や考え たちを応援する絵本とすることができる。 をもって行き抜くことの大切さを感じ 取らせたい。 -- MN MN補8 補8 -- 補助資料3 授業実践例 1 小単元名 「情緒の発達」 2 目標 ①子どもの情緒の分化の過程を知り,発達への影響について理解する。 【知識・理解】 ②子どもの情緒の発達には,周囲の人の働き掛けや環境づくりが大切であることを理解する。 【知識・理解】 3 段階 指導過程 導 1コマ45分 学習活動 ●予想される生徒の反応 1 前時の振り返りをする。 一斉 ・乳幼児の精神発達における, 「言語 入 機能の発達」を学んだことを確認 5 する。 分 指導上の留意点 形態 ▲教師の支援 評価と方法 ・前回の学習を簡潔にまとめて, 本時は,さらに精神発達の内面 に迫ることを確認する。 2 乳幼児期の子どもの心の成長に ついて,学ぶことを知る。 3 「情緒」とは何かを考える。 (1) 快・不快 一斉 ・新生児人形を用いることにより, 赤ちゃんは,どんな時に笑うと思 誕生間もない月齢における情緒 いますか。 を想起させやすくする。 ●お母さんやお父さんに,笑顔で話 しかけられた時。 展 ●ミルクを飲んで,満足した時。 ●あやしてもらった時。 ・快・不快が,情緒の原点である ことを把握させる。 赤ちゃんは,どんな時に泣くと思 いますか。 ●おなかがすいた時。 ●おむつが気持ち悪い時。 (2)情緒の分化 開 この子どもは,どうしてこのよう ・写真カードを用いることにより, な表情をしていると思いますか。 2 歳~3 歳(幼児期前期)くらい ①微笑んでいる写真 までの子どもの情緒を想起させ ●何かでほめられて,うれしかった のではないか。 ●友達と楽しいことがあって,気持 ちがうきうきしている。 ②泣いている写真 35 分 ●叱られて,悲しかったのではない か。 やすくする。 ・生徒が情緒の発達に興味をもつ ことができるように,生徒の発 言を生かしながら進めていく。 ・情緒が欲求と結びついているこ 【知識・理解】 と,心と体の反応は,強くつな 情緒の分化 がっていることを理解させる。 について理 ●けんかをして,悔しかった様子。 解する。 ・情緒の分化の過程について,学習 (学習プリ プリントにまとめる。 ント・発表) 4 絵本「ピーターのいす」を聞き, 一斉 ・4 歳ころ(幼児期後期)の子ども 子どもの心の成長に大切なことを が,主人公である絵本を用いて, 考える。 子どもの情緒の発達について考 えさせる。 - MN 補 9 - 絵本の中のピーターの気持ちの変 一斉 化に注目しながら,聞いて下さい。 ・ピーターとお父さんやお母さん との会話の雰囲気を出すことに ・記録プリントを記入する。 個別 心掛けて読み聞かせを行う。 ・記入したことを発表する。 一斉 ・意図的に指名できるように机間 〈ピーターの気持ちの変化〉 指導を行い,生徒の記入を把握 ●自分の使っていた物が,妹の物に する。 なってしまうのが,はじめはさび ▲記入できないでいる生徒には, しかったのだと思う。でも,自分 ピーターの行動の例を挙げなが のいすに座れなくなっていたこ ら,その時の気持ちを考えさせ とで,自分がお兄さんになったこ る。 とを自覚し,妹のためにペンキを ・生徒が発表した場面に該当する 塗ろうと考えたのだと思う。 絵本のページを提示しながら, ●はじめは,妹の世話に気を取られ ピーターの心の成長を確認す ているお母さんを困らせるなど, る。 ピーターは,心が揺れ動いていた ・ここまでの生徒の発表から,ピ と思う。でも,お父さんたちが, ーターの心の変化とお父さんの いつもと同じように優しく接し 対応を再確認し,子どもの情緒 てくれることに安心して,自分で の発達と大人の接し方の関連に 一緒に塗ろうと決心できたのだ 目を向けさせる。 と思う。 【知識・理解】 子どもの心の成長には何が大切だ ・自分と友達の意見との違いや共 と思いますか。 通点を確認させる。 情緒の発達 には,周囲 ・自分の考えを記入する。 個別 ▲机間指導を行い,話しやすい雰 の人の働き ・近くの席の生徒とペアになり,お ペア 囲気になるように声を掛ける。 掛けや環境 互いの意見を聞く。 ●子どもの気持ちを分かってあげな づくりが大 一斉 がら,声をかけることが大切だと ・お互いの意見を,共通点や相違 切であるこ 点を確認しながら発表させる。 とを理解す いうのは意見が同じだった。 る。 (学習プ ●子ども自身も,いろいろな体験を リント・発 積んで,自分で考えることが大切 表) だと思う。 ま 5 本時のまとめ と ・情緒の発達に大切なことを理解す め る。 5 分 4 一斉 ・子どもの情緒の発達には,子ど もの気持ちを大切にしながら温 かく支援するとともに,様々な 感情を共感していく経験が大切 であることを理解させる。 使用する絵本について 「ピーターのいす」 :E=ジャック=キース作,きじま はじめ訳 1969 年10月 第 1 刷 偕成社 内容:今まで一人天下だった主人公ピーターに妹が誕生する。自分が使っていたゆりかごやベビー ベッドが妹用に塗り替えられていく。妹の存在により揺れ動くピーターの心の変化を,ピー ターと家族のかかわりを通して温かく描いている。 - MN 補 10 -
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