*正誤情報、発行後の法令改正、最新統計、診療ガイドライン関連の情報につきましては、 弊社ウェブサイト http://www.rdcnet. jp/(国試の鉄人の会で検索)にてお知らせいたします。 *本書の内容の一部あるいは全部を、無断で(複写機などいかなる方法によっても)複写・複製・転載 すると、著作権および出版権侵害となることがありますので、ご注意ください。 序 文 107 回歯科医師国家試験では出題基準が変更され、出題できる範囲が広がりました。 基礎科目や放射線物理学が関わるのは必修問題とA領域です。近年の国家試験では純粋 な基礎科目の問題はあまり出題されず、臨床系と絡み合った内容の出題に変わってきてお り、特に解剖学や歯科理工学で出題されるようになってきました。さらに、X2 タイプの問 題数も増え、ファーストチョイス、セカンドチョイスという感じに優先順位を付けなけれ ばならない問題も多く出題されています。 臨床実地問題の点数が3点になり、臨床実地問題が重視されるようになりました。もち ろん、一般問題3問分の点数なので、臨床実地問題を重点的に勉強するという考えは間違 いではありません。ですが、必修問題やA領域の問題はすべて1点問題です。つまり、必 修問題やA領域で不合格にならないためには、基礎科目の問題の勉強をしっかりとしなけ ればいけない!ということになります。 基礎科目は苦手という学生さんが多いと思います。基礎科目の勉強はやればやるほど点 数につながるかというとそうでもありません。重箱の隅をつつくような問題もたまに出題 されます。でも、そんな問題は解けても解けなくても合格・不合格にはそれほど影響しま せん。なぜなら、受験生のほとんどが解けないからです。けれど、歯科医師国家試験を受 験するならば最低限ここだけは押さえておいて欲しいと思う内容があります。このような 範囲から出題された問題は確実に正解しておかないと基準点には達しません。受験生みん なが解けるからです。ということで、この本では最低限ここだけは覚えておこうよ!とい う範囲を中心にまとめてみました。 107回歯科医師国家試験からは新しい出題基準である各論Ⅵから、「全身的な知識を問う 問題」が出題されました。このような問題は、一般問題はもちろんのこと臨床実地問題や 必修問題にも数多く出題されており、今後ますます難しくなっていくことが予想されます。 各論Ⅵは最低基準点をクリアするためにも重要な範囲です。 受験生の様子をみてみると、やはり「歯」やその周囲に関する知識は比較的身に付きや すく、いい仕上がりをみせているのですが、このような「医学知識」となると勉強がやは り不足しており、受験生にとっては「意表をつかれた問題」となってしまい、失点してし まうということになってしまうことが多いようです。このような現状をふまえて「歯科医 師国家試験で合格するためには全身的な知識はこれくらい知っておけば大丈夫ですよ」と いう指標として「医学知識」の編集をしました。A領域や各論Ⅵが得意な領域になるよう にと願っています。 著者代表 目 次 第1章 解 剖 学̲̲ ········································································ 11 1.頭蓋骨 2.筋 3.筋膜隙 4.神 経 5.脈 管 6.顎関節 7.口 腔 8.唾液腺 9.咽頭、喉頭 第2章 発生組織学̲̲ ······································································ 677 1.顔面と口腔の発生 2.歯の発生 3.歯種別の形態と特徴 4.歯の構造 5.歯の形態異常 6.歯周組織の構造 7.接着装置 第3章 生 理 学̲̲ ······································································ 1.神経組織 2.ストレス 3.感 覚 4.骨格筋の構造と機能 5.顎反射 6.発声と構音 7.咀嚼と嘔吐 8.脱 水 107̲ 第4章 生 化 学̲̲ ······································································ 141̲ 1.栄養素 2.遺伝子 3.結合組織 4.プロテオグリカン 5.接着性糖タンパク質 6.マトリックスメタロプロテアーゼ 7.硬組織の組成 8.カルシウムの調節機構 9.骨の改造現象 10.炎 症 11.唾 液 12.歯面堆積物 第5章 微 生 物 学̲̲ 1.毒 ······································································ 223̲ 素 2.微生物 3.真 菌 4.ウイルス 5.感染経路 6.食中毒 7.消毒、滅菌 8.化学療法〈抗菌薬〉 第6章 免 疫 学̲̲ ······················································· 269̲ 1.免疫担当細胞 2.細胞性免疫、体液性免疫 3.免疫グロブリン、補体 4.アレルギー 5.自己免疫疾患 第7章 病 理 学̲̲ 1.退行性病変 2.増殖と修復 3.循環障害 4.染色法 5.嚢 胞 ······································································ 289̲ 6.腫 瘍 7.前癌病変 8.粘膜病変 第8章 薬 理 学 ······································································ 331̲ 1.薬物療法 2.薬物動態 3.薬物の効果に影響する因子 4.薬物の用量 5.薬物の併用(協力作用、拮抗作用) 6.薬物の作用部位・作用機序 7.薬物の副作用・有害作用 8.薬物の種類 9.薬物の管理 第9章 歯科理工学 ······································································ 1.応力−ひずみ曲線 2.材料の性質 3.印象材 4.模型材と歯科用ワックス 5.鋳造用埋設材 6.金 属 7.修復用材料(歯科用陶材、コンポジットレジン) 8.義歯用材料 9.歯科用セメント 10.接着性レジンセメント 11.仮封材、裏層材 12.生体材料と歯科用器械 375̲ 3.筋膜隙 1 解 剖 学 口腔周囲の筋膜隙について覚えよう! 筋膜隙を通過する神経や動静脈を確認しましょう! 咬筋下隙 下顎枝外側面と咬筋との間の一連の隙をいう。 上方は外側翼突筋下頭が位置し、前方は翼突下顎縫線から起始す る頰筋が位置する。後方は咬筋、内側翼突筋を覆う頸筋膜浅葉の 翼突下顎隙 延長部分が合している。その後方には耳下腺がある。下歯槽神経 と舌神経とがあり、下顎孔伝達麻酔の注入部位となる。また、顎 咀嚼筋隙 動脈と翼突筋静脈叢がある。 側頭下隙 側頭隙 翼突下顎隙の後上方の側頭下窩の部分である。 浅部は側頭筋の外側に位置し、深部は側頭筋内面と隣接する側頭 骨の間に位置する。 顎舌骨筋の後半部の下、下顎骨の内側面に位置している。頸筋膜浅葉は下方では 舌骨、上方は下顎骨に付着する。外側は頸筋膜浅葉と下顎骨体、後方は茎突舌骨 顎下隙 筋と顎二腹筋後腹、前方は顎二腹筋前腹により区画される顎下三角にある隙であ る。顎下腺浅部、顎下リンパ節、顔面動脈の一部と枝のオトガイ動脈、総顔面静 脈を含む。 舌下隙 オトガイ下隙 耳下腺隙 浅顔面隙 口腔底に位置し、顎舌骨筋の上方、口腔粘膜の下方となる。顎下腺の深部、顎下 腺管、舌下腺、舌神経、舌下神経、舌動静脈を含む。 正中のオトガイの下で、オトガイ下三角にある隙である。 耳下腺と耳下腺リンパ節を含み、下顎後端、茎状突起とそれに付く筋、胸鎖乳突 筋、顎二腹筋で区画される。 顔面の皮膚と頰筋、上顎骨、下顎骨の顔面側、咬筋の表面で囲まれた隙である。 扁桃周囲隙 咽頭壁と口峡の粘膜の間に位置する。 咽頭周囲隙 口腔内の炎症が広がる可能性があり、臨床上重要である。 - 24 - 筋膜隙 1 解 剖 学 国試過去問 105C-41 化膿性炎で口腔内から切開排膿を行う部位はどれか。2 つ選べ。 ○a 舌下隙 ╳b 顎下隙 ╳c 側咽頭隙 ○d 翼突下顎隙 ╳e オトガイ下隙 正答率 - 25 - 70.1% 次に唾液の有機質について覚えよう! (1)糖タンパク質 4 生 化 学 ムチンの作用は、潤滑作用、保護作用、凝集作用です。 漿液性糖タンパク質 ・耳下腺で合成される酵素や免疫グロブリン ・顎下腺、舌下腺および小唾液腺唾液に含まれる粘液性糖タンパク質 である。 ・ムチンは糖鎖が多いので保水性に優れる。 ムチン (粘液性糖タンパク質) ・唾液の潤滑作用や保護作用に貢献する。 ・糖鎖が多いため、赤血球よりも血液型活性が高い。法医学分野で利 用される。 ・細菌の侵入に対するバリアとしてはたらく。 ・sIgA、リゾチーム、アルブミンなどと複合体を形成し、細菌を凝集 する。 (2)カルシウム反応性タンパク質 高プロリンタンパク質は唾液に固有なタンパク質であり、カルシウムイオンとの親和性が高い。 またヒドロキシアパタイト結晶にも吸着する。ヒドロキシアパタイトの脱灰を抑制し、再石灰化 を促進する。 ・おもに耳下腺唾液に含まれる。 高プロリンタンパク質 ・唾液のカルシウムイオンと強く結合し、過飽和に維持する。 ・ヒドロキシアパタイトに吸着する。 ・おもに耳下腺唾液に含まれる。 スタテリン (高チロシンペプチド) ・唾液のカルシウムイオンと強く結合し過飽和に維持する。 ・ヒドロキシアパタイトに吸着し、ペリクルを形成する。 ・ヒドロキシアパタイトに吸着し、エナメル質表層の再石灰化に関与 する。 - 208 - (3)消化酵素 α-アミラーゼ リパーゼ ・デンプンやグリコーゲンを基質に、α-1,4 グリコシド結合を不規則に 切断し、マルトース、マルトトリオース、デキストリンを生成する。 ・リパーゼは脂肪を分解する酵素である。 (4)抗菌因子 4 ・細菌細胞壁のペプチドグリカンの N-アセチルムラミン酸と N-ア リゾチーム (ムラミダーゼ) セチルグルコサミンのβ-1,4 グリコシド結合を加水分解し溶菌す る。 酵 素 ・細菌の歯面への吸着を阻止する。 ・細菌の増殖、グルコース取り込み阻害により抗菌作用を発揮する。 ・無荷電のため細菌細胞壁を透過し、細菌の代謝経路(解糖系)を ペルオキシダーゼ 阻害する。 ・H2O2 の存在下でロダン(チオシアン酸イオン)を酸化し、不安定 な抗菌因子であるヒポチオシアンイオンを生成する。 ・鉄結合性タンパク質である。 ラクトフェリン ・鉄を含まないアポラクトフェリンとして分泌され、細菌増殖に必 要な鉄を奪うことで抗菌作用を発揮する。 ・カンジダ菌に対する抗真菌作用がある。 ヒスタチン ・S.mutans の静菌あるいは殺菌に関与する。 ・P.gingivalis のトリプシン様プロテアーゼの阻害作用がある。 非酵素 ・唾液中には免疫グロブリンとして分泌型 IgA、IgG、IgM が存在す 分泌型 IgA るが、分泌型 IgA(sIgA)が最も多い。 ・sIgA は唾液中の抗原となった細菌を凝集したり、口腔粘膜上皮に 結合して細菌を凝集し、細菌の粘膜感染を阻止したりする。 ・抗菌作用をもつ塩基性ペプチドで、細菌、真菌、ウイルスに活性 β-ディフェンシン をもつ。 ・唾液腺以外に消化管や気管などの粘膜上皮細胞からも分泌される。 ・微生物の細胞膜を破壊する。 アグルチニン インターフェロン ・S.mutans を結合し凝集させる。 ・抗ウイルス作用がある。 - 209 - 生 化 学 抗菌因子は種類だけでなく作用も覚えましょう! 目 次 1 細胞の構造 ……………………………………………… 459 2 組 織̲̲ ……………………………………………… 463 3 血液系̲̲ ……………………………………………… 469 4 循環器系̲̲ ……………………………………………… 476̲ 5 神経系̲̲ ……………………………………………… 493̲ 6 内分泌系̲̲ ……………………………………………… 499̲ 7 呼吸器系̲̲ ……………………………………………… 504̲ 8 消化器系̲̲ ……………………………………………… 512̲ 9 泌尿器系 ……………………………………………… 521 10 精神疾患 ……………………………………………… 529̲ 11 ……………………………………………… 530̲ 妊 娠 4.循環器系 まずは心臓の構造と機能について覚えよう! 4 心臓は重さ 250g ほどの筋肉でできた中空器官で、左右の肺に挟まれた領域の下部中 循環器系 位 置 央で横隔膜上面にあり、心尖とよばれる先端を左前下方に向けて位置する。心臓の後 面上部は心底とよばれ、ほぼ左心房に一致する。 心臓は心房中隔と心室中隔によって内腔が左右にわけられ、さらに房室弁によって心 房と心室にわけられる。右房室弁を三尖弁、左房室弁を僧帽弁という。 右心房には上方から上大静脈、下方から下大静脈が注ぎ、下大静脈口の内 側に冠状静脈洞が開く。下大静脈口からまっすぐ突き当たる部位の心房中 右心房 隔には胎生期の卵円孔の痕跡(卵円窩)が認められる。また、右縁から左 前方へ突出する部分を右心耳といい、内面は線状の凹凸を示す。右心耳は 胎生期における右心房に相当する部分である。なお、右心房の左下方には 内 三尖弁を備える右房室口があり右心室に連絡する。 腔 右心室 右上方の右房室口を介して右心房と、その直前に位置する肺動脈口を介し て肺動脈と連絡する。 心臓の後上方部に位置し、心底をなす。左右の肺からそれぞれ 2 本の肺静 左心房 脈を受け、左縁から前内方には左心耳が突出する。また、内腔の下方には 僧帽弁をもつ左房室口があり、左心室に続く。 左心室 上方の左房室口で左心房から、その前右方にある大動脈口で大動脈に連絡 する。 心臓は冠状血管から栄養を受けている。冠状血管は冠状動脈と冠状静脈からなる。左 栄養血管 冠状動脈は左心室と心室中隔前部を栄養する。右冠状動脈は右心室や心室中隔後部に 加え、洞房結節などに分布する枝を出す。冠状静脈は左右の大部分の枝が心臓後面に ある冠状静脈洞に合流して右心房に注ぐ。 支配神経 心臓は交感神経と副交感神経の二重支配を受け、その作用は拮抗的である。すなわち、 交感神経は促進的に、副交感神経は抑制的にはたらく。 循環系のうち、血流を循環させるシステムを心血管系といい、心臓と血管から構成さ れる。心臓は血液循環の原動力を供給する器官で、2 つのポンプが合わさった形を示 す。ポンプは左心室と右心室からなり、左心室からは大動脈を通って全身へ、右心室 肺循環 からは肺動脈を通って肺へと血液が拍出される。 体循環 左心室から全身に送られた血液は、上・下大静脈から右心房へと戻ってくる。この経 路を体循環という。一方、右心室から肺へと送られた血液は肺静脈から左心房へと戻 る経路をとり、肺循環とよばれる。 健常成人の循環血液量は 1/13(8%)である。 - 476 - 4 循環器系 、肺静脈には動脈血(O2 が豊富)が流れています! 肺動脈には静脈血(CO2 が豊富) - 477 - 目 次 1 加齢変化 ………………………………………… 2 高齢者の生活機能の評価 3 高齢者の栄養状態 4 摂食・嚥下 5 摂食・嚥下機能障害の原因・症状 6 ……………………… 535̲ 547 ……………………………… 549̲ ……………………………………… 553̲ …………… 556̲ 摂食・嚥下機能の診査 ………………………… 563̲ 7 摂食・嚥下機能の訓練 ………………………… 571̲ 8 摂食・嚥下機能障害への歯科的対応 ………… 577̲ 摂食・嚥下機能の精密検査について理解しよう! (1)肺の聴診音 湿性ラ音は肺雑音であり、肺の聴診で聴かれる。 末梢気道や肺胞に液体があるときに空気が通過すると生じ、持続性の短い不連続な 断続性ラ音 音でおもに吸気時に聴取される。慢性気管支炎、進行した肺水腫、肺炎などで聴取 される。 連続性ラ音 気管支の狭窄により生じる音でおもに呼気時に聴取される。気管支喘息などで聴取 される。 (2)言語機能のアセスメント:鼻咽腔閉鎖機能検査 聴覚的(開鼻声)判定、発語明瞭度検査、鼻息鏡検査、空気力学的検査、鼻咽腔ファイバー検 査、構音時頭部エックス線規格撮影、鼻咽腔エックス線造影検査などを行い診断する。 *ブローイング検査 コップ 1/3 位の水をそっとストローで吹き続け、持続時間を測定する。同時に鼻孔に鼻息鏡 をあて、呼気の鼻漏出の程度を評価する。 (3)ビデオ嚥下造影法〈VF〉 重度の摂食・嚥下障害が疑われる場合には、ビデオ嚥下造影法が必要になる。 VF の利点は、口腔から食道、胃まで送り込まれる食物の動きがわかることと、その食物を送 り込む諸器官の運動を可視化できることである。しかし、VF は可動性がないため、検査の場所 が限定されてしまう。エックス線透視装置が設置されている施設でなければ VF は行えない。 - 567 - (4)嚥下内視鏡検査〈VE〉 上咽頭から下咽頭、喉頭までの食塊の流れを直視下にて観察することができる。 装置の搬送が容易なため、場所を問わず検査が可能である。しかし、ファイバーの先端が嚥下 時に収縮する咽頭後壁や周囲軟組織に触れるため視野が白くなってしまう。そのため、喉頭蓋が 反転する時の嚥下の瞬間が観察できない。また、ファイバーを鼻腔から挿入する時に、局所粘膜 を損傷する危険性や患者への負担は避けられない。 喉頭蓋 (5)筋電図検査 顎、顔面、口腔、咽頭領域の筋の協調運動や活動様式、活動量、活動時間などを診断する。 - 568 - j j 目 次 第1章 エックス線̲̲ ·························································· 1.放射線 587 3.デンタルエックス線装置 2.エックス線 第2章 エックス線画像の形成̲̲ ···································· 605 1.エックス線と物質の相互作用 6.エックス線像 2.線量と線質 7.鮮鋭度 3.半価層 8.画像形成に関与する効果 4.エックス線の減弱 5.エックス線写真の拡大 第3章 フイルム̲̲ ······························································ 1.エックス線フイルム 4.コントラスト 2.増感紙 5.現像処理 ̲629 3.黒化度曲線 第4章 撮影方法̲̲ ······························································ ̲645 1.口内法撮影 6.造影撮影法 2.口外法撮影 7.核医学的検査 3.パノラマエックス線撮影法 8.超音波検査 4.CT(Computed Tomography) 9.デジタルエックス線撮影 5.MRI 10.エックス線画像所見 (Magnetic resonance imaging) 第5章 放射線防護・治療̲̲ ············································· 1.放射線による人体への影響 4.関係法規 2.線量単位 5.放射線感受性 3.放射線防護 6.放射線治療 ̲697 9.デジタルエックス線撮影 デジタルエックス線撮影について理解しよう! 4 (1)特 徴 撮 影 法 ・感度が高い → エックス線が少ない線量でよく、被曝量が軽減する ・画像処理が可能(コントラストや輝度が調節できる) 利 ・患者への説明が容易(拡大などができるため) 点 ・画像の保管、管理が容易 ・画像の経時的劣化がない ・画像の複製が容易 ・ネットワークを通して遠隔地での利用が可能 ・現像機や現像液、定着液、水などが不要 → 廃棄物が少なく環境によい 欠 ・解像力(空間分解能)がアナログ画像に劣る(ただし問題ない程度) 点 ・コントラストがアナログ画像と異なる ・イニシャルコストがかかる(ユニットに液晶画面をつけるためお金がかかる) ・大きな施設での運用が困難(何台ものユニットに液晶をつけたり、配線をしたりなど) (2)装置の種類 ・撮影と同時に液晶画面上に画像が出る 固体半導体方式 (CCD、CMOS) ・コードがつながっているため可動性が低く、厚みが厚いので、口腔内 で操作しにくい ・フイルムよりサイズが小さい(咬合法の大きさはない) ・フイルムと同じ範囲が写る(咬合法の大きさもある) イメージングプレート (IP) ・コードがなく、厚みも薄いのでフイルムと同様の操作性がある ・処理機が必要で、画像を表示するのに時間がかかる ・CCD よりも感度が低い - 670 - CCD 4 新出題基準で追加された項目です。 (3)画像診断支援システム(CAD) コンピュータを用いて医用画像の解析を自動的に行うことである。 (4)DICOM 医用画像フォーマットと通信の標準規格である。検査画像は DICOM 形式で保管される。 連結された画像はネットワークを介して、PACS(画像保存通信システム)により画像データ を受信、データベースに保存、特定の画像データを検出・転送することが可能となる。 - 671 - 撮 影 法 IP
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