大潟村地域農業再生協議会水田フル活用ビジョン 地域農業再生協議会

大潟村地域農業再生協議会水田フル活用ビジョン
大潟村地域農業再生協議会水田フル活用ビジョン
1 地域の作物作付の現状、地域が抱える課題
当地域は作付面積及び農業産出額で9割以上を占める稲作を主体に、畑作では土地利
用型転作作物の主力である大豆・麦類をはじめとして、メロン・南瓜等の地域振興作物
を組み合わせた、多様な水田農業が展開されている。
これまでの当地域の農業は、1戸あたり 15ha の大規模営農や、それに伴う高度機械化
等により、規模的及び技術的な優位性があったものの、現在は他地域でも規模拡大等の
平準化が進み、その優位性は失われつつあり、規模に頼った経営だけでは維持・発展が
困難な状況となってきている。さらに、水稲の比率が高いため、米価変動の影響を大き
く受ける生産構造となっている。
また、畑作物についても、干拓地特有の重粘土質土壌により、肥沃である一方排水不
良であり、天候の影響を受けやすく、収量・品質の低下への対策が必要である。
そうした中で、当地域では多様な農業生産を展開するとともに、村が策定した大潟村
農業チャレンジプランに即し、再生産可能な農業経営を実施できるよう、たくましい大
潟村農業の創出と農家所得の向上に関する施策を総合的かつ計画的に進めていく。
2 作物ごとの取組方針
水稲主体の当地域においては需要に即した米生産に取り組むとともに、地域の特性を
活かした畑作や園芸作などの生産振興を図り、産地交付金を有効に活用しながら、作物
生産の維持・拡大を図る。
(1)主食用米
当地域においては、系統出荷だけではなく、生産者団体又は生産者が個々に販売
ルートを確立してきた。そういった既存の需要を確保しつつ、環境に配慮した環境
創造型農業を展開し、特別栽培米や有機米など付加価値の高い、売れる米づくりを
推進し、消費者が求めるニーズに即した生産を推進する。
また、輸出米については現状からの拡大はなかなか見込まれないものの、今後米
の市場を海外に求めていく必要性は高まっていくことが予想されることから、必要
に応じて取組を推進していく。
(2)非主食用米
ア 飼料用米
これまで、地域内での取組が少なく、他の非主食用米と比べると需要の見通し
が不透明な部分もあるが、米粉用米同様に、米の多様な利活用を推進するうえで
は、転作作物の選択肢の一つであり、今後需要動向を勘案しながらも、多収性専
用品種での生産の推進と県域枠を活用した適正な施肥管理による単収の向上や圃
場の団地化などコスト削減の取組により価格への対応を図り、徐々に生産面積を
増やしていく。
イ
米粉用米
米の多様な利活用を推進するうえで、転作作物の選択肢の一つとして、多収性
専用品種での取組を推進し、安定生産を図る。
今後、米粉の加工・販売事業者と連携し、米粉 100%の商品についてはアレルゲ
ンフリーという特徴を活かして、健康食品や学校給食等を中心に更なる販路拡大
を図り、同時に米粉 100%だけではなく小麦粉とブレンドすることで新たな加工形
態と商品価値を模索しながら、需要確保に努め、生産拡大を目指す。
ウ
加工用米
主食用米の需要減少が見込まれる中、加工用米を転作作物の中心に位置づける。
産地交付金を活用し、大規模生産地としての安定供給というメリットと徹底した
品質管理により、もち米を中心に取組み、他の地域との差別化を図ることで実
需者等との複数年契約など、確実な需要の確保と安定供給を目指す。
エ
備蓄米
村内農業者は規模拡大傾向にある一方、主食用米の需要は減少傾向にあり転作
面積は増加することが予想される。その中で、非主食用米の割合は高まっていく
ことが想定される。加工用米が転作作物の中心ではあるが、備蓄米については主
食用米と同じ品種で取り組めることもあり、現状(H25 年度)と同程度の取組みを
実施することが可能であると見込まれる。取組は落札実績によるものではあるが、
産地交付金を活用しながら、取り組みやすい環境を整えていく。
(3)麦、大豆
麦、大豆については、産地交付金を活用し、田畑輪換による地力維持、水稲の
低コスト化、土地の高度利用などの面から生産振興を図る。生産については、排
水対策として、これまで取り組んできた暗渠等を継続し、安定生産を推進すると
ともに、農家個々が一定面積以上で取り組むことにより生産コスト、労働力低減
を図り、麦大豆(二毛作)の取組と併せて地域全体で大豆の生産面積を維持する。
小麦については、現行の品種から、ニーズのあるパン・中華麺用品種への転換
を図っているところであり、作付面積の拡大と併せて水田フル活用として大豆と
の二毛作を推進する。
(パン・中華麺用品種は平成27年産からの作付を開始する。)
(4)野菜
南瓜、メロン、ニンニク、ネギ、タマネギ、えだまめについては複合経営の作
物として位置づけ、収益性の高い地域振興作物として作付を拡大する。
南瓜、メロン、ニンニク、えだまめについては大潟産のものは市場評価も高く、
今後も高品質の提供に努める。また、ネギ、タマネギについては産直センター等
での販売を中心に安定生産を図る。
なお、これらの野菜については県・村の補助事業と併せて産地交付金を活用し、
若い農業者を中心に取組の普及を図っていく。
(5)花き
当地域においては特にチューリップ等の生産が盛んであるが、夏から秋に向け
て収穫・出荷が可能な花き(トルコギキョウ、ひまわり、ユリなど)については
圃場の園芸ハウスでも生産が可能であることから、産地交付金を活用しながら圃
場での作付面積を維持し、花きの生産を振興していく。
(6)不作付地の解消
地域内において、恒常的な不作付地はない。今後も農地の有効活用及びフル活
用に努める。不作付地の面積は H26 年度に 7.5ha あったが H27 年度は全て解消さ
れる予定であり、今後も関係機関等と連携し、水田のフル活用に努める。
(自己保
全管理等の面積には県有地 53.4ha を含んでいる。)
3 作物ごとの作付予定面積
作物
平成 25 年度の作付面積
平成 27 年度の作付予定面積
平成 28 年度の目標作付面積
(ha)
(ha)
(ha)
主食用米
5,446.2
5,098.3
4,709.0
飼料用米
1.1
15.0
20.0
米粉用米
22.3
200.0
220.0
WCS 用稲
6.7
6.7
7.0
加工用米
3,010.2
3,295.0
3,565.0
備蓄米
66.9
0
70.0
輸出米
5.1
0
5.0
麦(単作)
10.3
3.0
11.0
麦(二毛作)
45.3
50.0
60.0
317.7
320.0
320.0
0.2
0
0
22.1
24.1
26.0
野菜
19.7
21.0
22.0
花き
2.4
3.1
4.0
その他作物
15.8
16.8
15.9
自己保全管理等
72.1
53.4
53.4
転作面積計
3,595.8
3,984.0
4,373.3
水田面積計
9,042.0
9,082.3
9,082.3
大豆
飼料作物
その他地域振興作物
※水田面積計はラウンドの関係で一致しない場合がある。
4 平成 28 年度に向けた取組及び目標
分類
取組
対象作物
取組
番号
平成 25 年度
平成 27 年度
平成 28 年度
(現状値)
(予定)
(目標値)
指標
※
生産性向上の取組
1
大豆
(1ha 以上の作付規模、
イ
実施面積
317.7ha
320.0ha
320.0ha
イ
実施面積
45.3ha
50.0ha
60.0ha
イ
実施面積
3,010.2ha
3,295.0ha
3,565.0ha
排水対策等)
麦
生産性向上の取組
(二毛作)
(1ha 以上の作付規模)
2
生産性向上の取組
3
加工用米
(1ha 以上の作付規模)
※「分類」欄については、要綱(別紙 11)の2(5)のア、イ、ウのいずれに該当するか記入して下さい。
(複数該当する場合には、ア、イ、ウのうち主たる取組に該当するものをいずれか 1 つ記入して下さい。)
ア
農業・農村の所得増加につながる作物生産の取組
イ
生産性向上等、低コスト化に取り組む作物生産の取組
ウ
地域特産品など、ニーズの高い産品の産地化を図るための取組を行いながら付加価値の高い作物
を生産する取組