相馬市地域農業再生協議会水田フル活用ビジョン 1 地域の作物作付の現状、地域が抱える課題 地域状況については、概ね平坦地と山間部とが相折半し、市街地は中央の平坦地に位 置する。市街地を流れる宇多川を中央にして、北に地蔵側、南に日下石川が流れて約3, 000ヘクタールの耕地を潤し太平洋に注いでいる。 農地状況は、田31.99K㎡、畑13.09K㎡である。 地域が抱える課題は、①高齢化による後継者不足、②津波による農業用機器の喪失、 ③地域振興作物の作付面積の減少、④鳥獣害による農作物作付面積の減少がある。 2 作物ごとの取組方針 被災田については、ハード面の農地災害復旧事業、除塩事業による復旧を行い、ソフ ト面において被災地域農業復興総合支援事業等からの支援により早期作付再開を目指す。 併せて、農地中管理事業を活用して農地集積を促進し、更に関係機関との連携の下、 集落営農を推進し、法人化を含めた効率的な農業経営を目指す。 (1)主食用米 主食用米については、今後需要の減少から販売単価の低下が見込まれるため、農地集 積を推進し、集落営農の発展とともに、法人化を含めた効率的な農業経営を目指すこと とする。また、作付の再開等、28年産米については、本市沿岸部の作付面積が増加す る見込みがあるため、特に集落営農の発展を推し進める。 (2)非主食用米 ア WCS用稲 東日本大震災に係る福島第一原子力発電所放射能漏れ事故に伴う畜産農家の減 少に起因して、需要者の減少が生じているが、JA等との連携を強化し、産地交 付金を活用して団地化を推進しながら、規模拡大による効率的農業経営を行い収 益性の向上を目指す。 イ 備蓄米 制度設計の経緯である平成5年凶作と同様に、東日本大震災を経験しているこ とから、食糧の安定供給と水田の有効活用を基本に一定程度の備蓄米の生産を継 続する。 (3)麦、大豆、飼料作物 主食用米の需要減少が見込まれることから、産地交付金を活用し水田に水稲以外の 作物生産を推進し、水田機能の維持・管理や生産意欲の向上とともに、生産者の 所得安定を図る。また、関係機関と連携して農地集積による団地化等及び集落営 農を推進しながら、法人化を含めた効率的な農業営農を目指す。 麦:現行の作付面積は約10haで、団地化及びブロックローテーションを継続し ながら、今後とも作付面積の維持及び団地ごとの面積拡大を推進していく。 大豆:現行の作付面積は約51ヘクタールで、農業生産法人による大豆の団地化が 進んでいるものの、今後さらに水田の集積・団地化を促進し作付面積の拡大を図 る。 飼料作物:現行の作付面積は約105ヘクタールで、耕種農家と畜産農家が連携し た生産組織による需給体制が確立している地域もあり、今後とも需要と供給のバ ランスを図りながら、関係機関と連携して生産組織を支援し作付面積の拡大を図 る。 (4)なたね なたねの加工・供給先が少ないことから作付面積は少ないが、利益率が高く栽培が比 較的容易であり、そうま農業協同組合の指導の下、関係機関と連携を図りながら、相馬 地区の気候に適合した品種を推奨し作付面積の維持・拡大を図る。 (5)野菜 利益率が高く栽培が比較的容易である地域振興作物(ねぎ、かぼちゃ、ブロッコリ ー)について、そうま農業協同組合の指導の下、高齢者や小規模な生産環境に配慮し た適合規格・品質の向上を図りながら地域特産の野菜を目指し、産地交付金を活用し て作付面積の維持・拡大を図る。 (6)花き・花木 転作作物の選択肢の一つであり、専門的な生産管理や環境条件の整備が必要なことか ら、関係機関と連携を図りそうま農業協同組合の指導の下、生産者の生産意欲を高める 支援を行うとともに、産地交付金し、付面積の維持・拡大を図る。 (7)果樹 相馬地方の気候風土に見合った果樹(なし)栽培が市全域で盛んであり、今後水田利 用の縮小や管理委託の増加が見込まれることから、果樹生産者を対象として栽培条件を 整備し、また、産地交付金を活用し、作付面積の維持・拡大を図る。 (8)地力増進作物・景観形成作物 被災田の瓦礫処理や除塩作業等が終了した地区において、産地交付金を活用し、地力 回復と景観に配慮した取組みにより、早期の営農再開を目指す。また、高齢化などから 耕作放棄地の増加が懸念される地域では、作付けを推進し水田機能の維持管理を図る。 (9)不作付地の解消 将来的に耕作放棄地となりうる不作付地については、関係機関と連携して農地集積や 集落営農の推進とともに、地力増進・景観作物及び野菜作付を推進し、適正な農地の維 持管理を図っていく。(H25年25ヘクタール⇒H28年23ヘクタール) 3 作物ごとの作付予定面積 作物 平成 25 年度の作付面積 平成 26 年度の作付予定面積 平成 28 年度の目標作付面積 (ha) (ha) (ha) 主食用米 1,522 1,622 1,800 飼料用米 0 0 0 米粉用米 0 0 0 WCS用稲 8 10 13 加工用米 0 0 0 備蓄米 28 63 63 麦 10 20 25 大豆 51 58 65 飼料作物 105 140 140 そば 0 0 0 なたね 0.2 0.1 0.8 地域振興作物 5 5 8 ・ねぎ 3 3 4 ・かぼちゃ 1 1 2 ・ブロッコリー 1 1 2 その他野菜 13 7 10 花き・花木 2 2 2 果樹 0.2 0.2 1 地力増進作物 130 140 150 景観形成作物 4 5 8 4 平成 28 年度に向けた取組及び目標 取組 番号 1 1 1 1 2 対象作物 取組 麦 団地化の取組 大豆 団地加算助成 飼料作物 団地加算助成 WCS 用稲 団地加算助成 大豆 (二毛作) 団地加算助成 分類 平成 25 年度 平成 26 年度 平成 28 年度 (現状値) (予定) (目標値) 実施面積 10 17 25 実施面積 51 50 65 実施面積 105 144 145 実施面積 8 10 13 実施面積 0 13 20 指標 ※ イ イ イ イ イ ※平成26年度に取組面積が一時的に減少する理由 大豆については、面積的には減少になるが、産地交付金を活用して二毛作の取り組みを図っており、合計 した場合に増加している。 飼料作物については、本市玉野地区が主な作付地であるが、東日本大震災に係る福島第一原子力発電所放 射能漏れ事故に伴い、取り組み面積の減少がみられる。しかしながら、平成23年度以降農地除染を推進 しており、取り組み再開を目指している。 ※「分類」欄については、要綱(別紙 11)の2(5)のア、イ、ウのいずれに該当するか記入して下さい。 (複数該当する場合には、ア、イ、ウのうち主たる取組の記号をいずれか 1 つ記入して下さい。) ア 農業・農村の所得増加につながる作物生産の取組 イ 生産性向上等、低コスト化に取り組む作物生産の取組 ウ 地域特産品など、ニーズの高い産品の産地化を図るための取組を行いながら付加価値の高い作物 を生産する取組 5 産地交付金の活用方法の明細 相馬市農林水産課窓口で閲覧が可能です。
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