分析化学Ⅱ Analytical Chemistry Ⅱ 2 年 後期 2 クラス 講 義 必 修 2 単位 20 講 科目担当者 和田 浩二 授業概要 薬学領域で汎用される機器分析の原理と、それらを用いた医薬品・化学物質の分離およびス ペクトル解析の基礎を学ぶ。 1. 試料中に存在する物質の種類および濃度を正確に知るために、代表的な医薬品、その他の 化学物質の定性・定量法を含む各種の分離分析法の基本的知識と技能を修得する。 2. 薬学研究や臨床現場で分析技術を適切に応用するために、代表的な分析法の基本的知識と 技能を修得する。 一般目標 3. 生体分子、化学物質の姿、かたちをとらえるために、それらの解析に必要な方法に関する (GIO) 基本的知識と技能を修得する。 4. 基本的な化学物質の構造決定ができるようになるために、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、 赤外吸収(IR)スペクトル、マススペクトルなどの代表的な機器分析法の基本的知識と、 データ解析のための基本的技能を修得する。 1. 電磁波の性質および物質との相互作用を説明できる。 2. 紫外可視吸光度測定法の原理および化学物質の構造決定における吸収スペクトルの役割、生体 分子の解析への応用例について説明できる。 3. 蛍光光度法の原理を説明し、生体分子の解析への応用例について説明できる。 4. 赤外・ラマン分光スペクトルの原理、概要と測定法、生体分子の解析への応用例について説明 できる。 5. IR スペクトル上の基本的な官能基の特性吸収を列挙し、帰属することができる。(技能) 6. 核磁気共鳴スペクトルの概要と測定法の原理を説明できる。 7. 化学シフトに及ぼす構造的要因を説明し、有機化合物中の代表的水素原子の化学シフト値を示 すことができる。 8. 重水添加による重水素置換の方法と原理および 1H NMR の積分値の意味を説明できる。 9. 1H NMR シグナルの近接プロトンによる分裂(カップリング)および分裂様式、スピン結合定数 から得られる情報を説明できる。 10. 代表的化合物の部分構造を 1H NMR から決定できる。(技能) 11. 13C NMR の測定により得られる情報の概略を説明し、代表的な構造中の炭素の化学シフト値を 示すことができる。 12. 電子スピン共鳴(ESR)スペクトル測定法の原理と、生体分子の解析への応用例について説明 できる。 13. 質量分析法の原理、マススペクトルの概要と測定法およびイオン化の方法、生体分子の解析へ の応用例について説明できる。 到達目標 14. ピークの種類(基準ピーク、分子イオンピーク、同位体ピーク、フラグメントピーク)、塩素 (SBO) 原子や臭素原子を含む化合物のマススペクトルの特徴および高分解能マススペクトルにおける 分子式の決定法を説明できる。 15. 代表的なフラグメンテーションについて概説し、基本的な化合物のマススペクトルを解析でき る。(技能) 16. 化学物質の構造決定に用いられる機器分析法の特徴を説明し、代表的な機器分析法を用いて、 基本的な化合物の構造決定ができる。(技能) 17. 原子吸光光度法および発光分析法の原理、操作法および応用例を説明できる。 18. 代表的な生体試料について、目的に即した前処理と適切な取扱いができる。(技能) 19. 代表的なセンサーを列挙し、原理および応用例を説明できる。 20. クロマトグラフィーの種類を列挙し、それぞれの特徴と分離機構および用いられる代表的な検 出法と装置を説明できる。 21. 分配平衡について説明できる。 22. イオン交換について説明できる。 23. 臨床分析の分野で用いられる代表的な分析法を列挙できる。 24. 電気泳動法の原理を説明し、実施できる。(技能) 25. 免疫反応を用いた分析法の原理、実施法および応用例を説明できる。 26. 酵素を用いた代表的な分析法の原理を説明し、実施できる。(技能) 27. 日本薬局方収載の生物学的定量法の特徴を説明できる。 28. 代表的な画像診断技術(X 線検査、CT スキャン、MRI、超音波、核医学検査など)および画像 診断薬(造影剤、放射性医薬品など)について概説できる。 区 分 項 目 1 1. 序論 2. 紫外・可視吸光度 測定法 (1) 2 1. 紫外・可視吸光度 測定法 (2) 3 1. 紫外・可視吸光度 測定法 (3) 2. 蛍光光度法 4 1. 化学発光分析法 2. 赤外吸収スペクトル 測定法 (1) 5 1. 赤外吸収スペクトル 測定法 (2) 2. 核磁気共鳴スペクトル 測定法 (1) 6 1. 核磁気共鳴スペクトル 測定法(2) 7 1. 核磁気共鳴スペクトル 測定法(3) 8 1. 核磁気共鳴スペクトル 測定法(4) 9 1. 核磁気共鳴スペクトル 測定法(5) 2. 電子スピン共鳴分光法 10 1. 11 1. 12 1. 2. 授 業 内 容 1. 授業の進め方 2. 機器分析の種類と特質、機器の構成と機能 3. 電磁波の特徴 4. 紫外・可視吸光度測定法の原理 (対応 SBO 1,2) 1. 分子構造と吸収スペクトル 2. 装置と測定 (対応 SBO 2,16) 1. 医薬品分析への応用 2. 定量法と計算 3. 蛍光とリン光の原理および装置と測定 (対応 SBO 2,3) 1. 化学発光分析法 2. 赤外吸収スペクトル測定法の原理 3. 装置と測定 (対応 SBO 3,4) 1. 医薬品の確認試験 2. スペクトル解析 3. ラマンスペクトル分析法の原理 4. 核磁気共鳴の原理 (対応 SBO 4,5,6,16) 1. 核スピンと共鳴周波数 2. 装置と測定 3. 遮蔽、化学構造とケミカルシフト (対応 SBO 6,7) 1. スピン-スピン結合 2. 観測核の等価性 3. 積分曲線・積分値 4. プロトンNMRスペクトル解析(1) (対応 SBO 6,7,8,9) 1. プロトンNMRスペクトル解析(2) 2. 13Cおよび多核NMR 3. 二次元NMR (対応 SBO 6,7,8,9,10,11,16) 1. 医薬品のNMRスペクトル解析 2. 電子スピン共鳴分光法の原理 (対応 SBO 6,7,8,9,10,11,12,16) 1. 質量分析法の原理 2. 装置と測定 質量分析法 (1) 3. 質量スペクトル 4. イオン化法 (対応 SBO 13,14) 1. 医薬品分析への応用 2. フラグメンテーション 質量分析法 (2) 3. スペクトル解析 (対応 SBO 13,14,15,16) 1. 医薬品のマススペクトル解析 質量分析法 (3) 2. 原子吸光光度法の原理、装置と測定 原子スペクトル分析法 (対応 SBO 13,14,15,16,17) 13 14 15 16 17 18 19 20 テキスト 参考書 1. 発光分析法の原理 1. 発光分析法 2. センサー 2. センサー 3. 試料前処理法 3. クロマトグラフィー(1) 4. クロマトグラフィーの種類と原理(1) (対応 SBO 17,18,19,20) 1. クロマトグラフィーの種類と原理(2) 1. クロマトグラフィー(2) 2. 分離モードと充填剤 3. HPLC の装置と測定 2. 液体クロマト 4. クロマトグラムと用語 グラフィー (1) (対応 SBO 20,21,22) 1. HPLC の定性・定量分析 2.試料の前処理と誘導体化 1. 液体クロマト 3. HPLC の医薬品分析への応用 グラフィー (2) 4. GC の装置と検出器 2. ガスクロマト 5. GC のカラムと充填剤 グラフィー (1) (対応 SBO 20) 1. GC の医薬品分析への応用 1. ガスクロマト 2. TLC グラフィー (2) 3.電気泳動法の原理 2. 薄層クロマト 4. 平板電気泳動 グラフィー 5. ディスク電気泳動 3. 電気泳動法 (1) (対応 SBO 20,23,24) 1. 細管等速電気泳動法 2. キャピラリー電気泳動法 1. 電気泳動法 (2) 3. 前処理 2. 生物学的分析法 (1) 4. イムノアッセイの種類と原理 (対応 SBO 18,24,25) 1. ラジオイムノアッセイ 2. エンザイムイムノアッセイ 1. 生物学的分析法 (2) 3. 酵素を用いる分析法 4. バイオアッセイ (対応 SBO 25,26,27) 1. 超音波診断法 2. X 線診断法、造影剤 1. 物理的診断法 (1) 3. X 線 CT 法 (対応 SBO 28) 1. ポジトロン CT 2. MRI 法、造影剤 1. 物理的診断法 (2) 3. ファイバースコープ 4. サーモグラフィー (対応 SBO 28) 中村 洋 編「基礎薬学 分析化学 II (第4版)」(廣川書店) 日本薬局方解説書編集委員会 編「第十六改正日本薬局方解説書・第一追補解説書・第二追 補解説書」(廣川書店) 日本薬学会 編 スタンダード薬学シリーズ「物理系薬学 I〜IV」(東京化学同人) 泉 美治 他監「機器分析の手引き(第2版)」(東京化学同人) 伊藤允好 他編「NEW薬学機器分析(第2版)」(廣川書店) 山口正俊 他編「パートナー分析化学Ⅱ」(南江堂) M. Hesse 他著「有機化学のためのスペクトル解析法(第2版)」(化学同人) 津田孝雄 著「化学セミナー クロマトグラフィー(第2版)分離のしくみと応用」(丸善) 秋澤俊史編「薬剤師に必要な臨床機器分析」(廣川書店) 田和理市、児玉頼光 編「“パザパ”薬学演習シリーズ①薬学分析化学演習」(京都広川書 店) 薬学教育研究会 編「CBT 対策と演習 機器分析(第2版)」(廣川書店) 成績評価 中間試験(20%)、定期試験(70%)、課題提出(10%)により評価する。 科目担当者 教員室:B106、メールアドレス:kowada(at)hokuyakudai.ac.jp *(at)は@に置き換えてください。 との連絡 事前学修・ 1. 講義前にテキストの該当部分を予習しておくこと。 事後学修 関連科目 2. 講義後に課題、薬学学習支援システム(PSSS)上の問題で復習すること。 物理学 II、日本薬局方概論、分析化学 I、有機化学 I、有機化学Ⅱ、有機化学 III、日本薬局 方各論 1. テキストを補完するために、適宜プリントを配付する。 備 考 2. PSSS に課題問題が示されているので、必ず期限までに解答すること。 3. 配付資料および講義スライドは「HPU-Moodle」にアップロードする。
© Copyright 2024 ExpyDoc