熱と熱量(1)

高 3AMC 物理 2-0-1 熱と熱量(1)
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1 温度
●熱運動
物質中の分子・原子は静止しているのではなく,それぞれの場所で不規則に振動してい
る(気体は飛び回っている)。これを熱運動という。
●温度
熱運動の程度を示す物理量。熱運動が激しいほど温度が高い。人間の感覚では,熱い・
冷たいということになる。
①セルシウス温度(セ氏温度 ℃)1気圧のもとで氷が水になる温度(氷点)を 0℃,水
が沸騰する温度(沸点)を 100℃とした。
②絶対温度(K)熱運動が停止すると考えられる温度(自然界で最も低い温度)を 0 と
し,目盛間隔はセルシウス温度と同じにした温度目盛。絶対零度(0K)は-273.15℃
𝑇〔K〕 = 𝑡〔℃〕 + 273.15
高校では, 𝑇〔K〕 = 𝑡〔℃〕 + 273 とすることが多い
か
③(参考)ファーレンハイト温度(華氏温度 ℉)一説では,ファーレンハイトは彼が測
ることのできた最も低い室外の温度を 0 度、彼自身の体温を 100 度としようとした。
水の氷点・沸点はそれぞれ 32℉・212℉ になる。
絶対零度
水の氷点(融点)
セ氏温度
℃
0℃
絶対温度
0K
K
水の沸点
問1(基礎 p.113) 15℃は何 K か。また,300K は何℃か。
2 熱量
●熱平衡
温度の異なる物体を接触させると,やがて同じ温度にな
る。同じ温度になって変化しなくなった状態を熱平衡にある
という。
物体間を移動する熱運動のエネルギーを熱といい,移動し
た熱の量を熱量という。
熱量の単位はジュール(J)
昔はカロリー(cal)を使っていた。今でも,食品で使う。
℃
K
高 3AMC 物理 2-0-1 熱と熱量(2)
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3 熱容量と比熱
●熱容量
ある物体の温度を1K 上昇させるのに必要な熱量。熱容量は大文字の 𝐶 をよく用いる。
単位:ジュール毎ケルビン(J/K)
●比熱
単位質量(高校物理ではなぜかグラムがよく用いられる)の物質の温度を1K だけ上
昇させるのに必要な熱量。比熱は小文字の 𝑐 をよく用いる。
単位:ジュール毎グラム毎ケルビン(J/(g・K))
比熱 𝑐〔J/(g・K)〕の物質 𝑚〔g〕からなる物体の熱容量 𝐶〔J/K〕と,この物体の温度を
𝛥𝑇〔K〕だけ変化させるために必要な熱量 𝑄〔J〕は,
𝐶 = 𝑚𝑐
𝑄 = 𝐶𝛥𝑇 = 𝑚𝑐𝛥𝑇
問2(基礎 p.115) ある物体に 500J の熱量を与えたら,温度が 20K だけ上昇した。この物
体の熱容量は何 J/K か。
問3(基礎 p.115) 質量 100g の鉄球を加熱し,1.8×103J の熱量を与えたところ,鉄球の温
度が 20℃から 60℃に上昇した。鉄の比熱は何 J/(g・K)か。
問4(基礎 p.115) 同じ質量で比較した場合,銅(比熱 0.38 J/(g・K))とアルミニウム(比
熱 0.90 J/(g・K))では,どちらが温まりやすい物質であるといえるだろうか。
高 3AMC 物理 2-0-1 熱と熱量(3)
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4 熱量の保存
熱量の保存の法則
物体Aと物体Bの間だけで熱の移動が起こる場合,
高温の物体が失った熱量=低温の物体が得た熱量
例題1(基礎 p.116) 100℃に熱した 200 g の鉄製の容器に,10℃の水 50 g を入れた。熱平
衡になったときの温度 t〔℃〕を求めよ。ただし,熱は容器と水の間だけで移動し,鉄の比
熱を 0.45 J/(g・K),水の比熱を 4.2 J/(g・K)とする。
類題1(基礎 p.116) 熱容量が 84 J/K の容器中に 120 g の水を入れたとき,全体の温度が
20℃で一定になった。この中に,100℃に熱した質量 100 g の金属球を入れたところ,全体
の温度が 30℃になった。金属の比熱 c〔J/(g・K)〕を求めよ。ただし,熱は水,容器,金属
球の間だけで移動し,水の比熱を 4.2 J/(g・K)とする。