力学 (後期) ワークブック 担当:柴田 神秘絵 平成 27 年 10 月 27 日 目次 1 多変数の関数の微分とチェインルール 1.1 多変数関数のテーラー展開 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 拘束のある運動 Motion with Constraints 9 2.1 一般化座標の練習 I . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9 2.2 一般化座標の練習 II . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 3 仮想仕事 Virtual Work 11 3.1 剛体になる拘束力は仕事をしない . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 3.2 仮想仕事の原理の適用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12 4 ダランベールの原理・ラグランジュ方程式 D’Alembert’s Principle and Lagrange’s Equation 4.1 利用した恒等式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4.2 ダランベールの原理からラグランジュ方程式を導く . . . . . . . . . . 4.3 ポテンシャルから力を求める練習; 勾配 . . . . . . . . . . . . . . . . . 4.4 ポテンシャルから力を求める練習; 勾配(その2) . . . . . . . . . . . 4.5 一般化力がポテンシャルをもつときのラグランジュ方程式 . . . . . . 4.6 一般化ポテンシャルがあるとき . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 4 4 12 12 13 14 14 14 16 5 ラグランジュ方程式を使ってみる Tests 5.1 Atwood の機械 . . . . . . . . . . . 5.2 回転する棒に通されたビーズ玉 . . 5.3 根本が回転する振り子 . . . . . . . 5.4 ケプラー問題 . . . . . . . . . . . . of Lagrange’s . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . Equation . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 16 16 17 17 18 6 ラグランジュ形式のまとめ Summary of the Lagrangian Form 18 6.1 電磁場中の粒子のラグランジアン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 18 7 変分法 Calculus of Variations 7.1 最速降下線 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7.2 フェルマーの原理と屈折の法則 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7.3 ガウスの法則の変分形 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8 ハミルトンの原理 Hamilton’s Principle 21 8.1 ハミルトンの原理とラグランジュの方程式 . . . . . . . . . . . . . . . 21 8.2 放物軌道で作用が最少になること . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21 9 保存則と対称性 Conservation Law and Symmetry 22 9.1 電磁場中の粒子の運動の保存量 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 22 10 ハミルトンの運動方程式 Hamilton’s Equation of Motion 10.1 ラグランジュ形式からハミルトン形式への変換 . . . . . . . 10.2 ハミルトニアンがエネルギーになるとき . . . . . . . . . . 10.3 調和振動子をハミルトン形式で書く . . . . . . . . . . . . . 10.4 電磁場中の粒子のハミルトニアン . . . . . . . . . . . . . . 10.5 ケプラー運動のハミルトニアンと代表点の運動 . . . . . . . 10.6 ハミルトニアンが保存する条件 . . . . . . . . . . . . . . . 11 Canonical Transformation 正準変換 11.1 ハミルトン形式に対応する変分原理 11.2 ハミルトン形式に対応する変分原理 11.3 母関数 F1 による正準変換 . . . . . 11.4 母関数 F2 による正準変換 . . . . . 11.5 単なる一般化座標の変換は正準変換 11.6 単振動に対する正準変換の応用 . . 11.7 正準変換の例 . . . . . . . . . . . . 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 19 19 20 20 . . . . . . 23 23 23 23 24 24 25 . . . . . . . 25 25 25 26 27 27 27 28 12 正準不変量としてのポアッソンの括弧式 Poisson’s Brackets 28 12.1 時間変化率と H とのポアッソン括弧が等しいこと . . . . . . . . . . . 28 12.2 ポアッソンの基本括弧 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 29 13 ポアッソンの括弧式を用いた定式化 Formulae in terms of Poisson’s Brackes 29 13.1 角運動量の保存を H とのポアッソンの括弧がゼロになることから示す 29 13.2 物理量の発展をテーラー展開でもとめる際、時間微分にポアッソンの 括弧を用いる . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 29 (ポイント 0- 1) これから学ぶこと 物体の位置や速度が時間とともにどう発展していくかをこれまでニュートンの運 動方程式を起点として勉強しました。時間発展の追求という意味では、電場や磁場 が時間とともにどのように変化していくかを調べるのも力学として扱うことができ ます。これはマクスウェル方程式で記述されます。任意の量の時間発展を追求する 研究は、力学というより、数学と一緒になったある広い分野を形成しています。 地球の運動についても、現実的に考えると、太陽の回りの単純な楕円運動ではな く、月の影響をうけているし、木星もかなり強い影響をします。そもそも太陽系全 体を一つのシステムとして時間変化をみるのはとてもおもしろいことです。整然と 惑星が公転するのでなくて、一斉に軌道がぐちゃぐちゃになって惑星の順が入れ替 わったりするかもしれません。 時計のような複雑な機会も一つのシステムとして力学法則に従って動いていて、 この動きを研究できるような運動方程式も存在します。分子の中を動き回る多数の 電子の運動も調べたくなります。 このような多彩な運動を調べることの出来る「力学」を後期では扱います。 上に上げたようなさまざま力学系の研究の結果わかってきたことは、力学は、ニュー トンの運動方程式を頂点とするピラミッド型の理論体系でできているわけでないと いうことです。運動の原理となりうるものは、ニュートンの運動方程式だけでなく、 ハミルトンの運動方程式、ラグランジュの運動方程式でもよく、ハミルトンの原理 のような変分原理とよばれる定式化 (微分方程式ではない) で力学法則を表現するこ とも可能です。 これから、そのような多彩な姿をした力学を学びます。これが基礎となって、原理 がよくわからないような未知の物理現象を理解するための出発点となります。しっ かり、身につけてください。 3 多変数の関数の微分とチェインルール 1 (ポイント 1- 1) 多変数の関数 多変数の関数がこれからたくさん出てきます。たとえば、位置 (x, y, z) における 電位 ϕ は ϕ = ϕ(x, y, z) (1) と書くことができて、ϕ は、x と y と z の関数になっています。 このとき、この位置からちょっとだけずれた位置 (x + ∆x, y + ∆y, z + ∆z) におけ る電位 ϕ は、テイラー展開して、一近似近似では、 ϕ(x + ∆x, y + ∆y, z + ∆z) ≈ ϕ(x, y, z) + ∂ϕ ∂ϕ ∂ϕ ∆x + ∆y + ∆z ∂x ∂y ∂z (2) と表せます。 一般に n 変数関数、f (q1 , q2 , ..., qn ) にたいしては、一次近似で、 f (q1 + ∆q1 , q2 + ∆q2 , ..., qn + ∆qn ) ∂f ∂f ∂f = f (q1 , q2 , ..., qn ) + ∆q1 + ∆q2 + ... + ∆qn ∂q1 ∂q2 ∂qn n ∑ ∂f = f (q1 , q2 , ..., qn ) + ∆qi i=1 ∂qi (3) (4) (5) と展開することができます。 (この表記法に慣れましょう。) 1.1 多変数関数のテーラー展開 問題 1- 1 (多変数関数のテーラー展開) 次の関数の一次までのテーラ展開を求めよ。 1. p2 + mgq f (p, q) = 2m (6) ϕ(x, y) = (x2 + y 2 − 1)2 (7) ここで、m、g は定数。 2. 4 3. E(x1 , x2 , ..., xn ) = n ∑ x2i (8) i=1 解 1- 1 (多変数関数のテーラー展開) 1. f (p + ∆p, q + ∆q) = f (p, q) + p ∆p + mg∆q m (9) 2. ϕ(p + ∆p, q + ∆q) = ϕ(p, q) + 2(x2 + y 2 − 1)2x∆x +2(x2 + y 2 − 1)2y∆y (10) = 4(x2 + y 2 − 1)(x∆x + 2y∆y) (11) 3. E(x1 + ∆x1 , ..., xn + ∆xn ) = E(x1 , ..., xn ) + 2 n ∑ xi ∆xi (12) i=1 ■以上 (こまかな途中計算は省かれている。試験の答案では計算過程も示すこと) (ポイント 1- 2) チェインルール これ無しでは今後進めないので、いましっかりできるようにしてくださいね! ! 関数の関数の微分についてはチェインルールがあるので確認しておこう。 f (θ(t)) = sin θ (13) を t で微分する場合: df = cos θ (dθ/dt) = θ̇ cos θ dt (14) であるが、この計算では、f が θ の関数であり、θ が t の関数になっている。このよ うな時は、まず f = sin θ を θ で微分し、それに θ を t で微分した dθ/dt を掛けてい る。従って、以下のように考えている: df dθ df = = (cos θ) θ̇ dt dθ dt (15) チェインルールをまとめると、f が g の関数になっていて、g が x の関数になって いる時、つまり、f (g(x)) の時、 df dg df = dx dg dx 5 (16) と書ける。 これはチェインの名の通り、なんぼでもつなげられる:f (g(h(x))) なら df df dg dh = dx dg dh dx (17) といった具合である。 問題 以下の関数 f を t で微分しなさい。 1. f (x(t)) = ax3 + bx2 + cx + d 2. f (t) = sin2 θ(t) つぎに、多変数の場合のチェインルールを考える。 関数 u = f (x, y, z) があって,x, y, z が 時間 t の関数になっているとき u の時間 微分はチェインルールを使って du ∂f dx ∂f dy ∂f dz = + + dt ∂x dt ∂y dt ∂z dt (18) と計算できる。こうなる理由を復習しておくと、まず、先にやった多変数関数の時 のテイラー展開を考える。u は、x, y, z の関数なので、x, y, z のそれぞがちょっと 変化すると u の値の変化は1次近似で、 ∆u = ∂ϕ ∂ϕ ∂ϕ ∆x + ∆y + ∆z ∂x ∂y ∂z (19) と表せる。両辺を ∆t で割ると、 ∆u ∂ϕ ∆x ∂ϕ ∆y ∂ϕ ∆z = + + ∆t ∂x ∆t ∂y ∆t ∂z ∆t (20) となる。∆t → 0 の極限として (18) が導ける。 以下の例では、f は x と θ の関数であり、それぞれはさらに t の関数になってい る。そして f を t について微分しようとしている: f (x(t), θ(t)) = x2 + sin2 θ (21) としたとき df = 2xẋ + (2 sin θ cos θ) θ̇ (22) dt となる。この計算をどうしているかあらためて考えてみると:まず、x2 の項をみてこ れを x について微分して、2x とし、これにチェインルール により dx/dt をかける。次 6 に、第二項は X = sin θ と思うと X 2 なのでこれを X について微分して 2X = 2 sin θ とし、つぎに、sin θ を θ で微分したものをチェインルールに従って掛ける。最後に、 θ を t で微分したものをまたまたチェインルールに従って掛けている。まとめると、 f (x(t), θ(t)) = d(x2 ) dx d[(sin θ)2 ] d(sin θ) dθ + dx dt d(sin θ) dθ dt = 2x ẋ + 2 sin θ cos θ θ̇ (23) (24) でとしている。これを、公式 (18) に照らして考えると、 ∂f dx ∂f + ∂x dt dθ ∂(x2 + sin2 θ) dx ∂(x2 + sin2 θ) dθ = + ∂x dt ∂θ dt = (2x) ẋ + (2 sin θ cos θ) θ̇ f (x(t), θ(t)) = (25) (26) (27) のようにチェインルールに従った計算になっている。 次に、二階微分のケースを検討してみよう。f = sin θ の微分で df /dt = θ̇ cos θ となった後、もう一回時間で微分する場合をやってみると、積の微分の公式にした がって、θ̇ をそのままにして cos θ を微分する項と cos θ をそのままにして θ̇ を微分 する項ととの和になるので、 ] d2 f d [ = (cos θ) θ̇ = [(− sin θ)θ̇]θ̇ + (cos θ)θ̈ dt2 dt = −θ̇2 sin θ + θ̈ cos θ (28) (29) というような結果になると思う。これをチェインルールにあわせて書いてみる。と どうなるだろう。まず、一階微分の結果を g = df /dt = θ̇ cos θ と書いて、g は θ と θ̇ の関数とみなす。すると、チェインルールは ∂g dθ ∂g dθ̇ dg(θ, θ̇) = + dt ∂θ dt ∂ θ̇ dt (30) となる。ここで、θ と θ̇ は違う文字と思って書いていることに注意しよう。極端な書 き方をすると、x = θ, y = θ̇ とみなしてしまい、 dg(θ, θ̇) dg(x, y) ∂g dx ∂g dy = = + dt dt ∂x dt ∂y dt としていることになる。 7 (31) 実際、 ∂g = −θ̇ sin θ, ∂θ ∂g = cos θ, ∂ θ̇ であるので、この式を (30) に代入すると (29) に一致する。 (32) ではこのあといくつかの例題をやってみよう! 以下の関数を t で微分してみましょう。 1. f (x(t)) = ax3 + bx2 + cx + d 2. f (x(t), y(t)) = x2 + y 2 3. f (x(t), y(t)) = x sin y + y cos x 4. f (p(t), q(t)) = p2 − 5. f (p(t), q(t)) = p2 1 q pq + q2 最後に、1 については二階微分 d2 f /dt2 も求めてみよ。 Name = /a/1chain 8 解析力学 ワークブック 1 拘束のある運動 Motion with Constraints 2 2.1 一般化座標の練習 I 問題 2- 1 (一般化座標の練習 I) O2 , H2 などの分子の運動を下図のようなモデルで分析できる。1,2 は質量 m[kg] の質点で、剛体の棒(質量は無視でき、長さ a[m])で結ばれている。棒の中点を M とする。 1. この ”分子 ”の運動の自由度は幾らか。 2. この ”分子 ”の運動を記述する一般化座標として、OM =(x, y, z ) と方位 (θ, φ)(下図のような定義)を用いるものとする。このとき2つの ”原子 ”の座 標 (x1 , y1 , z1 ), (x2 , y2 , z2 ) は x, y, z, θ, φ を用いてどの様に表せるか。 3. この ”分子 ”の持つ運動エネルギーの合計 T を m, ẋ = dx/dt, ẏ = dy/dt, ż = dz/dt, θ̇ = dθ/dt, ϕ̇ = dϕ/dt, を用いて現せ。 2原子分子に対する一般化座標 Name = /a/1a 9 2.2 一般化座標の練習 II 問題 2- 2 (一般化座標の練習 II) 二重振子は図のように、鉛直な平面内を運動する二つの質点よりなる振子である。 二本の剛体棒の長さを a、質点の質量を m、重力の加速度を g とする。 1. この系を記述する一般化座標を q1 , q2 とし、図のように定義する。二つの質点 の位置 r1 = (x1 , y1 , z1 ), r2 = (x2 , y2 , z2 ), を q1 , q2 で現せ。 2. 二つの質点の速度 v1 = (vx1 , vy1 , vz1 ), v2 = (vx2 , vy2 , vz2 ), を q1 , q2 を用いて 現せ。 3. この系の運動エネルギー T 及び位置エネルギー V を q1 , q2 を q1 , q2 を用いて 現せ。 図 1B: 二重振子 Name = /a/1b 10 仮想仕事 Virtual Work 3 3.1 剛体になる拘束力は仕事をしない 問題 3- 1 (剛体になる拘束力は仕事をしない) 剛体であるようにするため生じる拘束力 (原子間の力) は仕事をしない.このこと を,作用反作用の法則のもとで証明せよ. 以下の手順を踏むとよい. 1. 剛体を構成する原子の位置を, ri (i = 1, ...N ), 相対位置を rij = ri − rj , と定義 して,剛体である条件は rij · rij − c2ij = 0, (33) ここで,cij は原子間の距離で定数.まずこれから rij · drij = 0, (34) を示す. 2. Fij = f (|rij |)rij , Fij = −Fji の条件のもとで N ∑ Fi · dri = 0, ここで, Fi = i=1 ∑ Fij , (35) j̸=i を示す.ここで,Fi は i 番目の原子に働く力である. /A/2gotai (ポイント 3- 1) 仮想仕事の原理 拘束力は仕事をしないと仮定する。 このとき、釣り合っている系に対しては、仮想変位による外力の仕事はゼロになる: N ∑ F外 i · δr i = 0 i=1 仮想仕事の原理 11 3.2 仮想仕事の原理の適用 問題 3- 2 (仮想仕事の原理の適用) 下の図について仮想仕事の原理が成り立っていることをたしかめよ。 (1) 円形の針金リングに通されたビーズ玉があり、リングの作る面が鉛直線と平行 であるとする。そして、ビーズ玉はもっとも低い位置に居る。 (2) 滑らかな斜面の中央に物体がある。 (3) 図のような天秤のような機械があり、おもり1とおもり2がぶら下がっている。 おもり1はおもり2に比べて中央の支柱に近い位置にぶら下がっている。おもりの 質量はいずれも m で同じであるとする。 (4) 図のような天秤のような機械があり、おもり1とおもり2がぶら下がっている。 おもり1はおもり2に比べて中央の支柱に近い位置にぶら下がっている。おもりの 質量はいずれも m で同じであるとする。 図 2balance /a/2BALANCE 解析力学 ワークブック 2 ダランベールの原理・ラグランジュ方程式 D’Alembert’s 4 Principle and Lagrange’s Equation 4.1 利用した恒等式 問題 4- 1 (利用した恒等式) 12 講義で使われた,次の等式を証明せよ. 1. mi v i · ∂vi ∂ 1 = ( mi vi2 ), ∂ q̇j ∂ q̇j 2 (36) ここで,vi2 = vi · vi . 2. 3. ∂vi ∂ri = ∂ q̇j ∂qj (37) d ∂r i ∂ ṙ i = dt ∂qj ∂qj (38) 知ってますか? 関数 u = f (x, y, z) があって,x, y, z が 時間 t の関数になっているとき u の時間微分は du ∂f dx ∂f dy ∂f dz = + + (39) dt ∂x dt ∂y dt ∂z dt Name = /a/3lemma 4.2 ダランベールの原理からラグランジュ方程式を導く 問題 4- 2 (ダランベールの原理からラグランジュ方程式を導く) N 個の粒子よりなる自由度が n、一般化座標 (q1 , . . . , qn ) で記述される力学系を考 える。D’Alembert’s Principle から Lagrange の運動方程式 d ∂T ∂T ( )− − Qj = 0 for j = 1, ..., n dt ∂ q̇j ∂qj を導け。ここで、 T = ∑1 i 2 mi vi2 = ∑1 i 2 mi ṙi · ṙi は系の全運動エネルギー、Q は Qj = N ∑ Fi · i=1 ∂ri ∂qj で表せる一般化力である。 Name = /a/3DABtoLA 13 4.3 ポテンシャルから力を求める練習; 勾配 問題 4- 3 (ポテンシャルから力を求める練習; 勾配) 力がスカラー関数 (ポテンシャル) V の gradient(勾配) で表せるとする.このこ とは, F = −∇V (40) と書ける.つぎのポテンシャルに対する力を求めよ. ただし、質点が一つある時は、r = (x, y, z) が位置ベクトルとし、r = |r| = √ 2 x + y 2 + z 2 は原点からの距離, k, q, Q は定数. 1. V (r) = kr2 /2. 2. V (r) = kqQ/r. Name=/a/3grad 4.4 ポテンシャルから力を求める練習; 勾配(その2) 問題 4- 4 (ポテンシャルから力を求める練習; 勾配(その2)) 多粒子に対するポテンシャルは Fix = − ∂V ∂V ∂V , Fiy = − , Fiz = − . ∂xi ∂yi ∂zi (41) と一般化される.ここで粒子の番号を i として、位置ベクトルを r i = (xi , yi , zi ) と おく。 二粒子に対するポテンシャル V (r 1 , r 2 ) = k qQ |r 2 − r 2 | (42) に対する力を求めよ. Name=/a/3gradd 4.5 一般化力がポテンシャルをもつときのラグランジュ方程式 問題 4- 5 (一般化力がポテンシャルをもつときのラグランジュ方程式) N 個の粒子よりなる自由度が n、一般化座標 (q1 , . . . , qn ) で記述される力学系を考 える。一般化力 Qj を含んだラグランジェの方程式は d ∂T ∂T ( )− − Qj = 0 dt ∂ q̇j ∂qj 14 と表せる。ここで、 T = ∑1 i 2 mi vi2 = ∑1 i 2 mi ṙi · ṙi は系の全運動エネルギー、一般化力は Qj = N ∑ Fi · i=1 ∂ri ∂qj で表せる。力がポテンシャル V (r1 , . . . , rN , t) で与えられている; Fix = − ∂V , ∂xi Fiy = − ∂V , ∂yi Fiz = − ∂V , ∂zi (43) とその力学系の Lagrangian を L = T − V と定義して Lagrange の運動方程式 d ∂L ∂L )− =0 ( dt ∂ q̇j ∂qj (44) が導かれることを証明せよ。 Name = /a/3Lag (ポイント 4- 1) ラグランジュ方程式 I 自由度 n である系の一般化座標を (q1 , q2 , ..., qn ) とするとき、次の Lagrange 方程 式がなりたつ: ( ) d ∂T ∂T (45) − Qj = 0 − dt ∂ q˙j ∂qj ここで、T は系の全運動エネルギー: T = N ∑ 1 i=1 2 mi vi2 (46) であり、Qj は一般化力といって Qj = N ∑ Fi · i=1 ∂ri ∂qj (47) で定義される。 なお、この式を導出にあたって、拘束力は仕事をしないという仮定をしている。 また、系は質点からなりその番号を i として、その位置ベクトルを r i 、速度ベクト ルを v i としている。 また、一般化座標の定義からして、すべての質点の位置は一般化座標と陽に時刻 t の関数である: r i = r i (q1 , q2 , ..., qn , t) (48) 15 4.6 一般化ポテンシャルがあるとき 問題 4- 6 (一般化ポテンシャルがあるとき) 一般化力が一般化ポテンシャル U (. . . , qk , . . . , q̇k , . . . , t) から Qj = − ∂U d ∂U + ( ) ∂qj dt ∂ q̇j (49) で計算できるときはその力学系のラグランジアンを L = T − U と定義して d ∂L ∂L ( )− =0 dt ∂ q̇j ∂qj (50) が運動方程式になる。このことを証明せよ。 Name = /a/3ippan 解析力学 ワークブック 3 5 ラグランジュ方程式を使ってみる Tests of Lagrange’s Equation 5.1 Atwood の機械 問題 5- 1 (Atwood の機械) 図の力学系 (Atwood の機械とよばれる) では、M , m は二つの質点の質量で,こ れらは,軽くて延びない糸で滑車をとおしてつながれている.二つの質点は摩擦力 を受けることなく運動することができる.この力学系に対し Lagrange の方程式を立 てよ.ただし、図の x (滑車の中心から下向きを正として測った M の位置) を一般 化座標と考えよ.重力の加速度を g とする. 16 図 4a Atwood の機械 Name = /a/4a.tex 5.2 回転する棒に通されたビーズ玉 問題 5- 2 (回転する棒に通されたビーズ玉) 自由空間(重力がない)で、回転する剛体の棒に通された珠の運動を調べる。珠 の質量を m とし、棒の回転角速度 ω は一定とする。棒と珠の間の摩擦力は無視でき ると仮定する。一般化座標として回転軸から珠までの距離 q を採用する。 1. Lagrangian L を求めよ。 2. Lagrange の方程式をたてよ。 図 4rotbar Name = 4rotbar 5.3 根本が回転する振り子 問題 5- 3 (根本が回転する振り子) 重力場中 (加速度は一様に g とする) の下図のような力学系について Lagrange の 方程式をたてよ.円盤は角速度 ω (一定) で回転している.質量 m の物体は円盤に 固定された P を支点とする長さ a の振子になっている.一般化座標は図の θ として 考えよ. 17 図 4c 支点が廻る振り子 Name = /a/4c.tex 5.4 ケプラー問題 問題 5- 4 (ケプラー問題) ケプラー問題 中心 (原点) からの距離 r の2乗に逆比例する中心力のもとで (2次元) 平面上を運動 する質量 m の物体の運動の Lagrangian を求めよ。ここで一般化座標は r と平面内 の方位角 θ を用いよ。次に、Lagrange の運動方程式をたて、r(t) の従う微分方程式 を導け。最後の変形では、ℓ = mr2 θ̇ が保存することを示した上で、ℓ を用いて θ̇ を 消去すること。ここで、t は時刻である。 Name = /a/4kepp.tex 6 ラグランジュ形式のまとめ Summary of the La- grangian Form 6.1 電磁場中の粒子のラグランジアン 問題 6- 1 (電磁場中の粒子のラグランジアン) 電場 E, 磁場 B の中で運動する電荷 e を持った粒子を考える.電磁場はベクトル 及びスカラーポテンシャルを用いて, B = ∇ × A, E = −∇ϕ − 18 ∂A , ∂t (51) で表される. この粒子に働く一般化力は一般化ポテンシャル U = e(ϕ − A · v) (52) から Qj = − ∂U d ∂U + ( ) ∂qj dt ∂ q̇j (53) で計算できる.このことを普通のデガルト座標 (x, y, z) を持ちいて示せ. Name = /a/5-c 解析力学 ワークブック 4 7 変分法 Calculus of Variations 7.1 最速降下線 問題 7- 1 (最速降下線) 下図のように駅1から駅2までを無摩擦の線路で結ぶ.重力の加速度を g とする. 最短時間で二つの駅を結ぶ経路 y = y(x) を求めよ.手順は以下のようにせよ. 図 6fastest もっとも早く移動するためのトンネルの形は? 1. 所要時間を ∫ x2 J= f (y, ẏ)dx, x1 の形に表現しなさい。ここで,ẏ = dy/dx. 19 (54) 2. y に対する,Euler-Lagrange の微分方程式を立て、整理すると、 ÿ 1 + = 0, 1 + ẏ 2 2y (55) になる。この事を示せ。 3. 両辺に ẏ を掛けて,一回積分せよ.すると、a を定数として、 (1 + ẏ 2 )y = 2a (56) になるのでこのことを示せ。 4. 次の積分を実行して, y(x) を求めよ.しかし,これができないときは,次の 解があることを示すのみでもよい. x = a(θ − sin θ), y = a(1 − cos θ). (57) θ は,媒介変数. 5. 具体的な所要時間 J は、x1 = 0、x2 = 2πa として計算できる。J を a の関数 として求めよ。具体例として、 山形−新潟間 x2 − x1 =98km として所要時間 √ はいくらか.ただし、g = 9.8m/sec2 、 2π ≈ 2.5 とせよ。 Name = /a/6fastest 7.2 フェルマーの原理と屈折の法則 問題 7- 2 (フェルマーの原理と屈折の法則) フェルマーの原理から,屈折の法則を導け. Name = /a/6felmer 7.3 ガウスの法則の変分形 問題 7- 3 (ガウスの法則の変分形) 与えられた電荷密度 ρ が作り出す,静電気ポテンシャル ϕ はガウスの法則を満 たす: ρ (58) ∇2 ϕ = − . ϵ0 これを変分原理の形で言い表すと ∫ δU = 0 ここで、 U = 20 ϵ0 [ (∇ϕ)2 − ρϕ]dV, V0 2 (59) となる.この変分原理が (58) の微分方程式と同等であることを証明せよ。 ただし,考えている領域は有限でその領域 V0 内での体積積分をする.領域の境 界面でのポテンシャル ϕ が与えられていて,このとき U を停留値にする、つまり、 δU = 0 なる ϕ の値が唯一決定できるということである(Dirichlet タイプの境界値 問題).従って変分を取るとき,境界の上では ϕ を変化させないとする. Name = /a/6gauss 8 8.1 ハミルトンの原理 Hamilton’s Principle ハミルトンの原理とラグランジュの方程式 問題 8- 1 (ハミルトンの原理とラグランジュの方程式) ハミルトンの原理は、「実現する運動で作用 I という量の変分 δI がゼロになる」 と主張する。このこととラグランジュの方程式が成り立つことが同等であることを、 以下の手続きで、示せ。ただし、作用の定義は ∫ t2 I= t1 L(q1 , ...qn , q̇1 , ..., q̇n , t)dt (60) である。ここで、q1 , ..., , qn は考えている力学系の一般化座標であり、L はラグラン ジアンである。 上記の変分がゼロということの意味は、運動が、時刻 t1 から出発し t2 で終わると き、座標の初期値 q1 (t1 ), ..., , qn (t1 ) と最終値 q1 (t2 ), ..., , qn (t2 ) を固定して、考えられ るすべての運動の内、実際に起こる運動にたいして I は停留値をとるということで ある。 やり方:まず、実際の運動からのズレのパラメータ α とズレの形を表す関数 η(t) を導入し、任意の仮想的な運動を qi (t, α) = qi (t, 0) + αηi (t) (61) で表す。これを I の式に代入し、dI/dα を計算する。ことのとき部分積分を用いて 被積分関数が因子 ∂qi /∂α = η を含むようにする。任意の η に対して dI/dα = 0 に なる条件を見いだして、それがラグランジュ方程式であることを示す。 Name= 7hamil 21 8.2 放物軌道で作用が最少になること 問題 8- 2 (放物軌道で作用が最少になること) 鉛直線上の放物体の一次元運動を考える。座標 (鉛直に沿った高さ) を x(t) として、 Lagrangian L と作用 I はそれぞれ ∫ 1 L = mẋ2 − mgx, I = Ldt 2 となる。ここで、t は時刻、m は物体の質量、g は重力加速度である。 投げ上げられた物体が t = 0 で原点 x = 0 を出発し t = T で原点に戻って来ると するとき、運動の様子を変分原理 δI = 0 の観点から調べよう。 上の運動の条件を満たす2次式として x(t) = a(t − T )t を仮定する。この仮定の下で、変分原理を適用して (I が極値を取る条件から)a の値 を定めよ。結果は良く知られた式になるはずである。 Name = 7nageru 解析力学 ワークブック 5 保存則と対称性 Conservation Law and Symmetry 9 9.1 電磁場中の粒子の運動の保存量 問題 9- 1 (電磁場中の粒子の運動の保存量) 一様な磁場の中の荷電粒子の運動を調べる。一般化座標として普通の3次元座標 (x, y, z) を用いる。ex , ey , ez はおのおのの方向の単位ベクトルである。粒子の質量 を m、電荷を e と書くことにする。 1. ベクトルポテンシャル A = xB0 ey はz方向の一様な磁場 B0 ez を与えること を示せ。念のため、知っていると思うが、B = rotA = ∇ × A を用いる。 2. この一様な磁場 B0 ez 中の荷電粒子に対する Lagrangian は、 L = T + eA · v で与えられる。T , v は荷電粒子の運動エネルギーおよび速度である。3つの 共役な運動量を求めよ。 3. サイクリックな座標はなにか、保存する一般化運動量はなにか。 22 4. もう一つの保存量として ∑ h≡( q̇j pj ) − L j がある。h を求めよ。 Name = 8denji 10 ハミルトンの運動方程式 Hamilton’s Equation of Motion 10.1 ラグランジュ形式からハミルトン形式への変換 問題 10- 1 (ラグランジュ形式からハミルトン形式への変換) Lagrangian L(qi , q̇i , t) は qi , q̇i , t (i = 1, ..., n) の関数である。独立変数を qi と pi ≡ ∂L/∂ q̇i にするためにハミルトニアン (Hamiltonian) n ∑ H= pi q̇i − L i=1 を導入する。Lagrange の運動方程式と同等な方程式として、 q̇i = ∂H ∂pi −ṗi = ∂H ∂qi ∂L ∂H = ∂t ∂t ハミルトンの正準方程式 (canonical equation of Hamilton) を得ることを示せ。 − Name = 9haml 10.2 ハミルトニアンがエネルギーになるとき 問題 10- 2 (ハミルトニアンがエネルギーになるとき) N 個の粒子からなる質点系において、t を陽に含まず、位置エネルギーが一般化 座標のみの関数となるときは、ハミルトニアンは全エネルギー (H = T + V ) になる ことを示せ。 23 10.3 調和振動子をハミルトン形式で書く 問題 10- 3 (調和振動子をハミルトン形式で書く) 質量 m の質点の一次元運動(座標を x とする)を考える。f = −kx で表される外 力があるとする。 1. 位置エネルギー V の表式を求めよ。 2. Lagrangian L を求めよ。 3. 一般化運動量 p の表式を求めよ。 4. ハミルトニアン H(x, p) の表式を求めよ。 5. ハミルトンの運動方程式がニュートンの運動方程式と同じ結果を与えることを 確かめよ。 6. ハミルトニアンは保存するか。 7. 位相空間内の質点の代表点 (x, p) がどの様に運動するかその軌跡を図示せよ。 Name = 9bane 10.4 電磁場中の粒子のハミルトニアン 問題 10- 4 (電磁場中の粒子のハミルトニアン) 電磁場中の粒子 (質量 m, 電荷 e) の運動を考える。電磁場はスカラー及びベクト ルポテンシャル ϕ, Aで与えられるとする。この時の Lagrangian は運動エネルギー T = mv · v/2 と一般化ポテンシャル e U = eϕ − A · v c を用いて、L = T − U である。ただし、v は粒子の速度、c は光速である。 一般化座標としてデカルト座標 (x, y, z) を用いてハミルトニアン H を求めよ。 註)U が ẋ など速度の成分を含むため、H はこの場合 T + U でないことに注意せ よ。H の定義にしたがって計算せよ。 Name = 9denji 24 10.5 ケプラー運動のハミルトニアンと代表点の運動 問題 10- 5 (ケプラー運動のハミルトニアンと代表点の運動) 原点 O から r だけ離れたところで引力 (中心力) f = −k/r2 を受けて運動する質点 (質量 m) の運動を次の手順で調べよ。 1. 一般化座標として極座標 (r, θ, φ) を採用して, Lagrangian L を求めよ。 2. 一般化座標 pr , pθ , pφ の表式を求めよ。 3. Hamiltonian H を求め、ついで運動方程式を導け。 4. pφ = 0 の解について、位相空間内の (θ, pθ ) 面、(r, pr ) 面内の代表点の運動の 軌跡をいくつか示し、どの様な運動か説明せよ。 Name = 9Kepl 10.6 ハミルトニアンが保存する条件 問題 10- 6 (ハミルトニアンが保存する条件) Lagrangian L が時間 t を陽に含まないとき、Hamiltonian H が保存することを証 明せよ。 Name = 9hozon 25 解析力学 ワークブック 6 11 11.1 Canonical Transformation 正準変換 ハミルトン形式に対応する変分原理 問題 11- 1 (ハミルトン形式に対応する変分原理) ハミルトンの正準方程式と同等な位相空間内での変分原理がある。 位相空間 (q1 , ..., qn , p1 , ..., pn ) 内の点、以下では (q, p) と略記する、の軌跡を考える。 時刻 t1 での位置 (q(t1 ), p(t1 )) と時刻 t2 での位置 (q(t2 ), p(t2 )) を固定して、そのあい だを結ぶいろいろなコースについて以下のような積分により、変分原理 ∫ t2 δ t1 { ∑ pi q̇i − H(q, p)}dt = 0 (62) i を考える。この変分原理が成り立っていることを仮定すれば、ハミルトンの運動方 程式 ∂H ∂H ṗi = − , q̇i = (63) ∂qi ∂pi が導かれることを示せ。 Name = 10hodai 11.2 ハミルトン形式に対応する変分原理 問題 11- 2 (ハミルトン形式に対応する変分原理) 今考えている変分は ∫ t2 δ (64) f (q, p, q̇, ṗ)dt = 0 t1 の形をしている。ここで、(q, p) と 2n 個のひと続きの変数と見なして、 (q, p, q̇, ṗ) = (y1 , ..., y2n , ẏ1 , ..., ẏ2n ) とみなせば、変分原理から以下の Euler-Lagrange の方程式が成立する: d dt ( ∂f ∂ ẏi ) − ∂f = 0, ∂yi (i = 1, ..., 2n). (65) この式を前半と後半はそれぞれ、 d dt ( ∂f ∂ q̇j ) ∂f − = 0, ∂qj d と dt 26 ( ∂f ∂ ṗj ) − ∂f = 0, ∂pj (66) となる。ここで、j = 1, ..., n である。 ここで前半は [ ] ∂f ∂ ∑ = pk q̇k − H(q, p) = pj ∂ q̇j ∂ q̇j k (67) ] [ ∂H ∂f ∂ ∑ = pk q̇k − H(q, p) = − ∂ q̇ ∂ q̇ k ∂qj (68) dpj ∂H + =0 dt ∂qj (69) dqj ∂H − =0 dt ∂pj (70) ゆえに、 同様に後半から が導かれる。よって、証明された。 (別解) Euler-Lagrange の方程式を導いたときと同じ手続きをふんでももちろん証明 ∫ できるのでそれでもよい。部分積分して、両端で固定している条件をいれ、 [(...)δq + (...)δp]dt = 0 の形に持ってゆく。 11.3 母関数 F1 による正準変換 問題 11- 3 (母関数 F1 による正準変換) F1 (q, Q, t) の形の母関数が与えられたときの正準変換 (q, p) → (Q, P ) が ∂F1 ∂qi ∂F1 Pi = − ∂Qi ∂F1 K = H+ ∂t pi = (71) (72) (73) で与えられることを示せ。 Name = 10f1 11.4 母関数 F2 による正準変換 問題 11- 4 (母関数 F2 による正準変換) 27 F2 (q, P ) の形の母関数から正準変換を得る下の公式を導け。独立変数の交換には ∑ Legendre 変換を用いるのがよい。即ち、F2 (q, P, t) = F1 (q, Q, t) + i Pi Qi で F2 を 定義したとし、F1 についての議論と全く同じ手続きをふめばよい。 ∂F2 ∂qi ∂F2 = ∂Pi pi = (74) Qi (75) K = H+ ∂F2 ∂t (76) Name = 10f2 11.5 単なる一般化座標の変換は正準変換 問題 11- 5 (単なる一般化座標の変換は正準変換) 単なる座標変換 Qi = fi (q1 , ..., qn ) は F2 = n ∑ (77) fi Pi なる母関数から作られることを示せ。このため全ての一般化座標の i=1 変換(点変換)は正準変換になる。 ただし、母関数 F2 から正準変換は以下の式で作られることを用いてよい: ∂F2 ∂qi ∂F2 = ∂Pi pi = (78) Qi (79) K = H+ ∂F2 ∂t (80) Name = 10ten.tex 11.6 単振動に対する正準変換の応用 問題 11- 6 (単振動に対する正準変換の応用) 自由度 1 の力学系 (一般化座標 q 、それに共役な運動量 p) があり、そのハミルト ニアンが 1 p2 + kq 2 H= (81) 2m 2 で与えられているとする。m,k は定数である。母関数 F1 = m 2 ωq cot Q 2 28 によって作られる正準変換 (q, p) → (Q, P ) を使ってこの運動を解こう。ここで、ω は定数。 1. (q, p) を (Q, P ) で表す変換式を求めよ。 2. 新しいハミルトニアン K を求め運動方程式を解け。 3. さきに求めた変換式で逆変換して元の正準変数 (q, p) に対する解を得よ。 Name = 10bane 11.7 正準変換の例 問題 11- 7 (正準変換の例) 次の変換が正準変換であることを直接証明せよ。 ( ) sin p , P = q cot p Q = ln q (82) Name = 10reiD 12 正準不変量としてのポアッソンの括弧式 Poisson’s Brackets 12.1 時間変化率と H とのポアッソン括弧が等しいこと 問題 12- 1 (時間変化率と H とのポアッソン括弧が等しいこと) ある力学量、例えば運動エネルギー、f (q, p) があるとする。この量の時間的変化 は、Poisson の括弧式を用いて df = [f, H] (83) dt と表せることを示せ。 Name = 11dfdt 29 12.2 ポアッソンの基本括弧 問題 12- 2 (ポアッソンの基本括弧) Poisson の括弧式の次の性質を導け。 [f, f ] = 0, (84) [f, g] = −[g, f ], (85) [f, c] = 0, if c = const., (86) [f + g, h] = [f, h] + [g, h], [f, gh] = [f, g]h + g[f, h] (87) (88) そして、Jacobi の恒等式 [f, [g, h]] + [h, [f, g]] + [g, [h, f ]] = 0 (89) Name = 11eq 13 ポアッソンの括弧式を用いた定式化 Formulae in terms of Poisson’s Brackes 13.1 角運動量の保存を H とのポアッソンの括弧がゼロになること から示す 問題 13- 1 (角運動量の保存を H とのポアッソンの括弧がゼロになることから 示す) ハミルトニアンが p2 + p2y H= x + V (r) 2m √ で表される力学系があるとする。ここで r = x2 + y 2 である。ℓ ≡ ypx − xpy が保 存することを Poisson の括弧 [ℓ, H] を計算することによって、証明せよ。 Name = 12am 13.2 物理量の発展をテーラー展開でもとめる際、時間微分にポアッ ソンの括弧を用いる 問題 13- 2 (物理量の発展をテーラー展開でもとめる際、時間微分にポアッソン の括弧を用いる) 30 ある力学量 f (q, p) の時間変化はハミルトニアンを H とするとき df = [f, H] dt (90) によって表される (f に対する運動方程式と呼ばれる)。この方程式の形式的な解が テーラー展開を用いて t2 f (t) = f (0) + t[f, H]t=0 + [[f, H], H]t=0 2! t3 + [[[f, H], H], H]t=0 + . . . 3! (91) (92) であることを利用して次の問題を解け。 鉛直線上を重力 (−mg) のもとで運動する質点 (質量 m) がある。その位置 (高さ) を x で表す。 1. この力学系のハミルトニアン H を求めよ。 2. [x, H] および [[x, H], H] の値を求めよ。 3. 上の公式を用いて運動方程式の解 x(t) を求めよ。 Name =12tenkai 31
© Copyright 2025 ExpyDoc