5016 世界の食文化 担当教員名 小磯 学 授業概要 食欲は睡眠欲、性欲

5016
世界の食文化
担当教員名
小磯
学
授業概要
食欲は睡眠欲、性欲とともにあらゆる動物が共有する本能です。しかし食「文化」は、人間が高度に
発達させた、親から受け継がれる「食べ方」にほかなりません。人間の祖先が最初に手にした道具もま
た、食べるために発明されたものでした。700 万年に及ぶ人間の歴史を振り返りながら、身体の進化、
道具や火の使用、農耕と牧畜の発明とそれが可能にした文明の成立などを俯瞰します。
到達目標
・「食」への追求、好奇心が、今日の人類そのものの進化の源であったことを理解する。
・人間の文化的な行為としての食の文化を理解する。
・文明の成立と生業との関係を理科する。
・精神文化としての食を学ぶ-決して腹がいっぱいになって終わりというわけではない。
授業方法(展開)
・講義形式。食文化の歴史を振り返り、映像資料等から具体的なイメージが根付くように心がける。
準備学習(予習・復習)の内容と分量
・授業で使用したパワーポイントを配布しますが、写真が多いです。何を伝える写真なのか、授業を聞い
てしっかりと文章で補い、それに基づきその日の復習を行うことが有効です。
関連科目・知識・スキル
・文化人類学、世界各地の地域研究の授業。
・「やる気、根気、本気、好奇心、憧憬、情熱」を持つこと。
・人間とは何か、文化とは何か、などの問いを絶えずもつこと。
成績評価
・期末テスト:70%
・小試験:30%
教科書・参考書など
・特定の 1 冊に絞りません。下記のような書物が参考になります。
NHK取材班『生命 40 億年はるかな旅5 ヒトがサルと別れた日/ヒトは何処へいくのか』
NHK出版
河合雅雄『森林がサルを生んだ』朝日文庫
谷泰『神・人・家畜』平凡社
岡田哲『食の文化を知る事典』東京堂出版
石毛直道(監修)
『講座 食の文化』シリーズなど。
履修上の注意事項
・食をめぐり人間がどのように生きてきたのかについて振り返ります。料理に関する授業ではありません。
授業の柱(単元)と授業スケジュール
第1回
「食の文化」とは? 「文化」とは?
第2回
ヒト化へのプロセス:樹上生活への適応
第3回
ヒトの祖先の食と道具の使用
第4回
狩猟・採集と性差に基づく分業
第5回
人類史上の画期:直立2足歩行、石器、火の使用、埋葬と芸術活動
第6回
過去 1 万年における三大画期 1:食糧生産革命=農耕と牧畜
第7回
種子作物と栄養繁殖作物
第8回
家畜と牧畜
第9回
牧畜がもたらした生活の変化
第 10 回
過去 1 万年における三大画期 2:都市革命(文明の成立)
第 11 回
4大文明料理圏
第 12 回
肉食と採食とタブー 1
第 13 回
肉食と採食とタブー 2
第 14 回
大航海時代がもたらした食革命とグローバライゼーション
第 15 回
700 万年かけてたどりついた食の文化とは?
学生への一言
・食物を食べない人間はいない(眠らない人間もいないし、死ない人間もいない)。しかし単に腹を満た
す以上の意味を、食の世界に付加してきたのが人間です。人間とは、文化とは、生きるとは?