ブース 13 テーマ 生殖補助医療用マイクロデバイスの臨床研究 番 号 問 合 せ 先 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 システム生理学 講師 松浦 宏治 TEL/Fax: 086-251-8610 E-mail: [email protected] 【概 要】 不妊治療クリニックでは顕微鏡を用いて精子の運動性および数を計測し、不妊治療で精子を使用し ます。普通、家庭で顕微鏡を持っていることはほとんどありません。そのために、わざわざ精子が運 動しているかどうか確認するためにクリニックに行かなければいけません。また、発展途上国では先 進国(10-15%)と同様に男性不妊の問題が顕在化しています。例えば、サハラ砂漠の南側の地域(サ ブサハラ)では感染症等が原因で男性不妊率が 20-46%と高いことが知られています。しかし、 それらの国では医療施設が整備されていません。日本と比較して、さらに患者が医療機関へアクセ スすることも難しいために、このアプローチに基づく簡単なデバイスが求められています。そこで、 図Aのような試験紙を使って精子の運動性を調べることを目指しています。 当試験紙は濾紙をワックスプリンターで印刷してパターンを作製します。黒いワックスが塗られて いない部分に液を滴下すると、流路のように使うことができます。精子評価を行うために、薄い黄色 の MTT という試薬を滴下後乾燥させることによって、デバイスを作製しました。精子内の酸化還元 酵素による触媒反応が関与し、薄い黄色の MTT が紫色の Formazan に変換されます。この紫色の 強度(この値を MOT とする。)を分析することによって、この酵素活性と精子運動性との相関を検 証しました。 このアッセイでは、少量の精液を試験紙上に置くと、30 分後に紙の色が変化します。その紙をス マートフォンのデジタルカメラを使って撮影すれば、精液内の精子数および運動性を、場所を選ばず に判断できるようになります。ヒト精子を 50℃でインキュベートすることにより、精子内酵素およ び運動性を失活させました。ヒト精子の場合、運動精子割合が 50%以上と 10%以下では MOT の 平均値に有意差が見られました。従って、本デバイスを用いて運動していない精子を含む精液と運動 性の高い精子を有する精液を識別可能になります。今年度から岡山大学倫理委員会の承認後に臨床研 究を開始しました。精液所見を受けた患者の精液を用いて本アッセイも行い、本試験紙デバイスの有 効範囲を検証しています。 【事業化・用途】 臨床研究の結果に基づいて、本アッセイで精子濃度と運動精 子数が予測でき、その結果がスマートフォンに示されます。こ のデバイスを用いれば男性不妊のリスクを自分の精子を観察 することなく予測することができます。 精子運動性評価だけではなく、当試験紙デバイスでは免疫染 色法などの他比色法にも対応しています。さらに、電気化学分 図:本試験紙デバイス使用時のイメージ 析フォーマットについても現在検討をすすめております。不妊治療関連だけではなく、他のバイオマ ーカー検出などの応用も想定されます。 【特許等知的財産】 ・松浦宏治、蔡承翰、鄭兆珉、「精子品質檢測裝置/Sperm Mobility Assessment Device」國立精 華大學 P3015TW-40(台湾)2013 年 1 月 28 日, 201310178794.6(中国)2013 年 5 月 15 日 研究進度 共同研究等 の 意 向 □アイディア段階 □基礎研究段階 ■応用実用化研究段階 ■試作・実証試験段階 試験紙デバイスに関しては大量試作と製造をサポートしてくださる企業との共同研究 等を希望します。 40
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