平成 27 年度前期 数学解析演習 II 問題 2–2: 複素級数と留数の原理 【1】図 1 のように点 a を中心とする同心円 C1 , C2 に挟まれた領域 D とその境界上で 正則な関数 f (z) を考える。領域 D 内の点 z に対して、z = a を中心とする Laurent (担当: 濱本) C1 z C2 展開の公式 a ∞ ∑ ∞ ∑ bn f (z) = an (z − a)n + (z − a)n n=0 n=1 を導き、係数 an , bn を求めよ。 図 1 影をつけた部 【2】次の関数 (1)∼(3) に対して z = 0 を中心とする Laurent 展開を求めよ。 分を領域 D とする。 (1) e sin z (2) z 1 z 1 (3) (z − 1)(z − 2) 【3】留数定理を利用して次の (1)∼(4) の定積分を求めよ。ただし a > 0, m > 0 とする。必要ならば下図に示 した積分経路を参考にしてよい。 ∫ π (1) 0 ∫ adθ 2 a + sin2 θ ∞ (2) −∞ (1) ∫ dx x2 + a2 (3) (2) ∫ ∞ x sin mx dx 2 x + a2 −∞ ∞ (4) dx 0 sin x x (4) (3) T O 1 O R O S R O r R 【4】Gauss 積分の公式を複素平面に拡張しよう。 (1) まず多重積分を用いて Gauss 積分の公式 ∫ を導け。 (ヒント: X = ∫ ∞ √ dx e−ax = 2 −∞ dx e−ax , Y = 2 ∫ π a (a > 0) dy e−ay として XY を計算する。) 2 (2) 次に複素平面上の 4 点 ±R, ±R + ib (b > 0, R → ∞) を頂点とする長方形の周に沿った積分を考え、拡張 された Gauss 積分の公式 ∫ ∞ √ dx e−a(x+ib) = 2 −∞ π a が成り立つことを証明せよ。 【5】金属中の原子核による正電荷を固定された一様な電荷密度 en0 (e > 0) で近似すると、電荷中性条件の下 で電子は数密度 n(r) = n0 で一様に分布する。いま原点に点電荷 q を置くと電子密度は一様分布から変化し、 Thomas-Fermi 理論では静電ポテンシャル ϕ(r) が満たす Poisson 方程式は ( ) e2 ∂n0 q 2 2 κ≡ (∇ − κ )ϕ(r) = − δ(r) ε0 ε0 ∂µ 1 で表される。ここで µ は化学ポテンシャル、δ(r) は Dirac の delta 関数とする。このとき Fourier 変換 ∫ ∞ ϕ(r) = −∞ ∫ dk ϕk eik·r , (2π)3 ∞ δ(r) = −∞ dk ik·r e (2π)3 および留数定理を利用することにより、ϕ(r) が Yukawa 型の静電ポテンシャル ϕ(r) = q e−κr 4πε0 r で与えられることを示せ。κ は Thomas-Fermi 波数と呼ばれ、κ−1 は点電荷 q が電子密度の変化 ∆n = n(r) − n0 によって遮蔽 (screening) される長さスケールを表す。 2
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