1:1121017 登録日

国語科学習指導案
指導学級
第3学年1組
場
3年1組教室
所
男17名 女21名 計38名
指 導 者 教諭 大久保 慶隆
1 題材名
4 古典を味わおう 「漢詩二編」 <読むこと>
2 指導に当たって
(1) 題材観
学習指導要領・国語科の「第3 指導計画の作成と内容の取り扱い」の1-(4)-イでは,
「古典
としての古文や漢文を理解する基礎を養い古典に親しむ態度を育てるとともに,我が国の文化や伝統
について関心を高めるようにする」というねらいがある。
第4単元「古典を味わおう」は,
「万葉・古今・新古今」
,
「おくのほそ道」
,
「漢詩二編」から構成さ
れており,
「古典の優れた表現やリズムを読み味わう」ことをねらいとしている。
その中でも,
「漢詩二編」では,漢詩の中でも代表的な李白と杜甫の詩が取り上げられている。
「春
望」
(杜甫)は,安史の乱によって破壊された国都長安の春景色を眺めつつ,離れ離れになった家族の
安否を憂い,争乱の時勢の中で,なすすべもなく老いていく作者の姿が五言律詩の形式で表現されて
いる。
「黄鶴楼にて,孟浩然の広陵に之くを送る」
(李白)は,七言絶句の形式と起承転結という表現
技法を効果的に用いて,花咲き誇る春景色の中,遠くへ旅立っていく親友孟浩然を見送る別離の悲し
みを表現した作品である。また,今回,漢詩の学習の導入として取り上げた孟浩然の「春暁」は,春
の明け方の心地よさとゆく春を惜しむ気持ちが,五言絶句の形式と起承転結の技法を巧みに用いて表
現されている。生徒にとっては作者の心情に共感しやすく,漢詩の種類と形式等,基礎的な知識を理
解するために,適切な題材といえる。
今回学習する三編の詩は,漢詩(近体詩)の形式に見事に則っているものであり,その洗練された
リズムに触れ,優れた表現を味わうことは,古典に親しむ態度を育てる上で,大変意味の深いもので
ある。
また,前学習材「おくのほそ道」やその後の日本文化にも影響を与えた詩を学ぶことは,中国と日
本の文化的なかかわりを知る上からも大変有意義である。
現在,国際化,高度情報化が進展していく中で,豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人
としての自覚を育成することが大変重要であると考える。そのためには,我が国の伝統と文化を尊重
し,生涯にわたって古典に親しむ態度を育成することが大切である。
以上のことから,本単元は,わが国の文化や伝統について関心を高めるだけではなく,古文を理解
する基礎を養う上でも非常に意義深いものである。
(2) 生徒観
国語学習に対する意識調査の結果を見ると,国語の授業に対する興味・関心が高い生徒が多いもの
の,現代語とは違う漢文特有の表現があり,内容を理解するのが難しいことから,漢文に苦手意識を
感じていたり,興味・関心をもっていなかったりする生徒が大半である。
また,音読や暗唱を得意あるいは好きだと答えている生徒は約半数である。音読や暗唱が好きだと
いう生徒には,漢詩特有の力強く美しいリズムや音の響きを体感させ,漢詩の世界を味わわせたいと
考える。その一方で,苦手だという生徒には,様々な音読方法を工夫し,何度も繰り返し読むことで,
漢文のもつ洗練されたリズムを味わわせ,苦手意識を少しでも軽減したい。苦手意識のある古文や漢
文であっても,暗唱できるようになるまで繰り返し声に出して読み,達成感や成就感を味わわせるこ
とが,生徒の古典に対する抵抗感を軽減することにつながると思われる。
漢文については,1年生の時に,
「矛盾」を書き下し文で読み,様々な故事成語を調べるなどの学習
をしている。漢文訓読については,2年生のときに,
「論語」の文章を読み,レ点,一・二点等,漢文
-3年
国1‐
訓読の基礎を学んでいる。しかしながら,5月に実施した実力テストの結果を見ると,訓読文を書き
下し文に直す問題で,正答率が約30%であった。漢文訓読の基礎的な知識が十分に身に付いている
生徒とそうではない生徒に分かれているので,その差を感じることなく,楽しみながら学習する手だ
てが必要だと考える。
また,本時学習する漢詩「春暁」の中では,
「暁」
,
「処」
,
「啼」の読み方や意味については,一つ一
つの漢字の読みを丁寧に確認しながら授業を行う必要があると考える。
既習事項が十分に身に付いている生徒とそうでない生徒の差が見られるが,これまでの授業の中で
生徒同士ともに学び合う姿が見られるので,漢字の読みや漢文訓読の方法を一つ一つ丁寧に確認しな
がら授業を進めていけば,習熟度の差にかかわらず,生徒が楽しみながら学ぶことができるのではな
いかと考える。
(3) 指導観
本題材の指導にあたり,
「読むこと」に関わる基礎・基本の能力を次のようにおさえた。
○漢詩の形式や漢文特有の表現に注意して,漢文を正確に読む力
○現代語訳に照らし合わせて漢詩の内容を理解する力
これらの能力の定着を図るため,本題材の指導にあたっては,古典の学習に苦手意識をもたせず,
古典に対する興味・関心を深めさせ,古典を親しむ態度を育てることに重点を置き,特に,次の点に
留意して授業を構想し展開を図るものとする。
①学習過程の導入部分の工夫。導入の段階で,課題解決に迫る問題の提示の仕方を工夫し,本時の学
習内容を生徒一人ひとりに確実につかませ,学習への意欲が高まるように指導する。第 1 時では,
「春
暁」の中国語による朗読を聞かせることで,興味・関心をもたせる。次に,白文を提示し,音読み
する。その後,その漢詩を読むためには,何ができなければならないかという課題を出させ,それ
らを一人ひとりに把握させた上で,その課題解決に向けて学習を進める。送り仮名や返り点を付け
て訓読文を作り,さらに書き下し文を書くという学習を通して,漢詩の表現や特徴を学ぶ。導入の
段階で,漢詩を読めるようになることのよさを味わわせ,学習への意欲付けを図る。
②教材配列の工夫。漢詩の形式や特徴に対する理解を深めるために,
「春暁」
(五言絶句)→「黄鶴楼
にて,孟浩然の広陵に之くを送る」
(七言絶句)→「春望」
(五言律詩)というように,取り扱う教
材の配列を変更する。
③場の設定の工夫。漢字の読みや漢文訓読に関する基本的事項が身に付いているかそうでないかとい
う習熟の差にかかわらず,一斉に音読する場面や生徒同士教え合う場面等,生徒が楽しみながら学
習できるような場を設定する。
④漢文訓読のきまりをパズル形式で学習。色カードを使い,どの順番で読むかパズル形式で考えさせ
る。漢字の苦手な生徒も,順番に色を認知して読むだけなので,漢字が読めるかどうかにかかわら
ず,楽しみながら少しずつ訓読のきまりを理解することができると考える。
⑤学習事項を振り返ることのできる板書の工夫。授業中に学習した内容をいつでも振り返ることがで
きるように,前面に学習事項のまとめを掲示する。第 1 時では訓読のきまり(レ点と一・二点の読
み方)についての「まとめカード」を前面に掲示する。
⑥ワークシートや教材・教具の活用。ワークシートや教材・教具を活用し,学習への意欲付けを図る
とともに,基礎・基本を確実に身に付けさせる。訓読のきまりを指導する際には,パソコンのプレ
ゼンテーション用ソフトで作成した教材を活用する。パソコンを活用することで,生徒の学習意欲
を喚起し,楽しみながらそのきまりを理解することができると考える。また,読みの難しい漢字に
ついては,フラッシュカードを作成し,読めるようになるまで繰り返し音読させる。
⑦繰り返し音読する場面の設定。音読したり,暗唱したりする場面を数多く取り入れることで,漢詩
のもつ独特の調子やリズムに慣れさせ,表現の仕方や文体に関心をもたせる。古典に苦手意識をも
っている生徒には,すらすらと読めるようになるまで繰り返し音読させる。また,漢文特有の表現
に注目させ,そのおもしろさに気づかせる。
⑧前学習材と関連させての学習。
「おくのほそ道」の平泉の場面に「春望」の冒頭部が使われているこ
とに気付かせる。また,松尾芭蕉が,杜甫や李白など旅とともに詩を作った詩人に共感を寄せてい
たことも確認する。
-3年
国2‐
⑨漢詩のきまりは基本的な事項に絞って学習。五言・七言,絶句・律詩の違い,起承転結の構成,押
韻等,漢詩のきまりについては,細部にわたって指導することなく,漢詩を味わうために必要最小
限の事項にとどめる。
⑩自己評価の実施。生徒が自らの学習を振り返り,達成感や成就感を味わうことができるように,自
己評価を取り入れる。
3 題材の目標
<読むこと>
①音読を通して,漢詩のリズムや表現の特色を理解する。
②漢詩の内容を理解する。
4 指導の計画と評価計画(3時間扱い)
時
学 習 活 動
間
1 1 漢詩を学習することへの興味・関心をもつ。
2 漢文訓読のきまりについて学習する。
・ 視聴覚教材と色カードを使い,訓読のきまりを
学習する。
本
時 ・ 簡単な漢文を,書き下し文に直して読む。
3 「春暁」の訓読文を書き下し文に直す。
4 「春暁」を音読する。
・ 訓読文を見ながら,
「春暁」の詩を音読する。
2 1 「春暁」の詩の内容を考える。
2 漢詩の形式や押韻などについて学習する。
3 「黄鶴楼にて…」
の訓読文を書き下し文に直す。
4 「黄鶴楼にて…」を音読する。
5 詩の内容を考える。
・ 脚注を参考に,現代語に直す。
・ 詩の書かれた背景と作者について知る。
6 表現上の特徴をとらえる。
・ 漢詩の形式や押韻などを確認する。
7 「黄鶴楼にて…」を音読する。
3 1
2
・
3
・
・
4
・
5
評
価
【読むこと】
・返り点・送り仮名に注意して訓読文を書き
下し文に直すことができる。
<努力を要する生徒への手だて>
・
「まとめカード」でいつでも訓読のきまりを
振り返ることができるようにする。
【読むこと】
・返り点・送り仮名に注意して訓読文を書き
下し文に直すことができる。
<努力を要する生徒への手だて>
・
「まとめカード」でいつでも訓読のきまりを
振り返ることができるようにする。
【読むこと】
・漢詩の表現やリズムに注意しながら,音読
することができる。
<努力を要する生徒への手だて>
・読めるようになるまで繰り返し音読練習に
取り組ませる。
【読むこと】
「春望」の訓読文を書き下し文に直す。
・脚注を参考に,内容を理解することができる。
「春望」を音読する。
訓読文を見ながら,
「春望」の詩を音読する。 <努力を要する生徒への手だて>
・線を引かせたりメモを取らせたりするなど
詩の内容を考える。
して,大意をつかませる。
脚注を参考に,現代語に直す。
【読むこと】
詩の書かれた背景と作者について知る。
・漢詩の表現やリズムに注意しながら,音読
表現上の特徴をとらえる。
することができる。
漢詩の形式や押韻などを確認する。
<努力を要する生徒への手だて>
「春望」の音読をする。
・読めるようになるまで繰り返し音読練習に
取り組ませる。
-3年
国3‐
5 本時の指導
(1)題材名
漢詩二編 ( 「春暁」 孟浩然
)
(2)ねらい
<関心・意欲・態度>
①漢詩に興味・関心をもち,進んで音読に取り組もうとする。
<読むこと>
②漢文訓読のきまりを理解し,訓読文を書き下し文に直すことができる。
③漢文特有の文体やリズムに注意しながら,音読することができる。
(3)本時の指導に当たって
漢詩を読む喜びを味わいながら,基礎的・基本的な内容を確実に身に付けるために指導過程の
工夫をする。
手だて1
・学習過程の導入部分の工夫。古人が中国から優れた表現や文化を学ぼうとした手順(白文の音読
み→中国語による朗読と聞き比べ→訓読文→書き下し文)を通して,漢詩の表現や特徴を学ぶ。
本物の中国語による朗読を聞くことにより,漢詩への興味を深める。また,白文→訓読文→書き
下し文の過程の中で,漢詩を読むためには返り点などの訓読の方法が必要であることをつかませ,
本時の学習内容に必然性をもたせることで,学習への意欲が高まるように指導する。
手だて2
・漢文訓読のきまりをパズル形式で学習。パソコンのプレゼンテーション用ソフトと色カードを使
い,どの順番で読むかパズル形式で考えさせる。漢字の苦手な生徒も,順番に色を認知して読む
だけなので,漢字が読めるかどうかにかかわらず,楽しみながら少しずつ訓読のきまりを理解す
ることができると考える。
手だて3
・ワークシートや教材・教具の活用。ワークシートや教材・教具を活用し,学習への意欲付けを図
るとともに,基礎・基本を確実に身に付けさせる。プレゼンテーション用ソフトで作成した自作
教材を活用し,訓読のきまりについて楽しみながら学べるように工夫する。また,ワークシート
を使って演習問題に繰り返し取り組むことができるようにする。さらに,読みの難しい漢字につ
いては,まずは漢和辞典で意味を調べさせる。その上で,フラッシュカードを活用して,読める
ようになるまで繰り返し音読させる。
(4)準備物
<教師>
教科書,国語便覧,漢和辞典,学習プリント,色カード,漢字フラッシュカード
パソコン,プロジェクター,スクリーン
<生徒>
教科書,ノート,国語便覧,筆記用具,ファイル,漢和辞典
(5)指導(学習)過程(別紙)
(6)評価
①すらすらと読めるように,音読練習に何度も取り組んだか。
②訓読のきまり(返り点や送り仮名等)を理解し,訓読文を書き下し文に直して書くことができたか。
(7)資料(別紙) 学習プリント その一,その二
-3年
国4‐
5(5)指導(学習)過程
段
階
学
習
活
動
導 1 本時の学習への興味をもつ。
入
1)「春暁」の中国語 CD を聞く。
1 (一斉)
0
分
予想される生徒の反応・
つまずき
教師の指導・支援
1
・「何?何?」
・「聞いてみたい。」
春眠不覚暁
処
春
来 風
雨 声
処 聞 啼 鳥
眠
多
孟浩然
処処聞啼鳥
夜
落 知
春暁
孟浩然
不 覚
暁
-
準備物等
CD
CD デッキ
春暁
夜来風雨声
花
少
花落知多少
1 手だて1
1)
*本時の学習への意欲を高めるために,
中国語の CD を聞かせる。
・
「今日,学習する内容がこの CD に入
・「何語? なんだこれ?」
っています。聞きたいですか。」
・「中国語っぽいな。」
・「では,聞いてみましょう。」
・「何だか分かりますか?」
・「もう一度聞いてみましょう。」
・「そう,中国語です。今,皆さんに
聞いてもらったのは,今から 1500
年以上も前の唐の時代に書かれた
詩です。」
・「これがその詩です。」
*スクリーンに白文を提示する。
・「では,もう一度,これを見ながら
聞いてみましょう。」
・「シュンミンフカクギョウ」 2)
2)「春暁」の白文を読む。
・「ショショブンテイチョウ」 *「春暁」の詩(白文)をスクリーンに
(一斉)
・「ヤライフウウセイ」
提示する。白文を見ながらもう一度 CD
・「カラクチタショウ」
を聞かせる。その後,音読みさせる。
・「どうでしたか。今,皆さんが使っ
ている日本語の音と近いものもあ
りましたが,そうではないものもあ
りましたね。実は,昔の日本には,
この形で伝わってきました。中国語
の発音とは違いますが,この詩を音
読みで読んでみましょう。」
2 本時 の ねら いを 知 る。( 一 2
2 手だて1
斉)
*本時のねらいをつかませる。
・「さて,意味はわかりますか。何と
◎
漢詩
<「春暁」孟浩然・「読めるようになりたい。
>を読めるようになろう。
」
なく,漢字から予想できますが,こ
・「よしがんばるぞ。」
れだけでは,わからないですよね。
・「難しそうだなあ。」
昔の日本人もそうでした。そこで,
これを何とか日本語として読めな
いかと昔の人たちは知恵を絞って
考えたのです。今日は,この詩を読
めるようになることが目標です。」
3 学習課題をつかむ。
3
3 手だて1
(一斉)
・「レ点,一・二点の読み方が *読むためには何が必要かを考えるよう
・ レ点・一・二点の読み方,
わからないと読めない。」
支援する。訓読のきまり(レ点,一・
・ 送り仮名
・「送り仮名がわからないと読
二点の読み方と送り仮名)を理解すれ
(送り仮名の有無で音・
めない。」
ばよ いこと に気づく ような 助言を行
訓読みが異なる)
・「漢字の読みや意味が,わか
う。生徒の発表やつぶやきなどをもと
らないと読めないよな。」
にそれらを学習課題としてまとめる。
まとめた後,課題を掲示して,本時の
訓読のきまりを理解しよう。
課題を一人一人が確実につかめるよう
に する。
・「この詩を読むための方法を皆さん
覚えていますか?」
・「今の日本語と順序が違うので,ま
ずは,読むための順序を変える必要
があります。」
・「そして,漢字の送り仮名をつける
必要があります。」
・「それを付けたのがこの文です。」
*訓読文を掲示する。
・「この状態で読めるようになればい
いわけです。」
評価
3年
国
-
パソコン
プロジェ
クター
スクリー
ン
・「今日は,この漢詩を読めるように
なりましょう。そのために,その方
法について勉強しましょう。その方
法を訓読と言いましたね。皆さんで
言ってみましょう。今日は,訓読の
きまりについて学びます。」
展 4 漢文訓読のきまりを学習す
開
る。(一斉)
1)スクリーンを見ながらパズル
形式で訓読のきまりを学ぶ。
3
①レ点の読み方
7
②一・二点の読み方
分
4 手だて2
1)
*初めに,プレゼンテーション用ソフト
で作成した自作教材を使い,パズル形
式で訓読のきまりを学習する。漢字の
苦手な生徒でも色を認 知して記号に
したがって順番に読むことで,訓読の
きまりを理解すること ができるよう
にする。
レ
赤
・「なるほど。」
・「一・二点は,一から二に返
って読めばいいんだね。」
青
〈読み方〉あ か→あ お
*スクリーン提示しながら,レ点は下か
ら上に,一・二点は一から二に返って
読むというきまりがわ かるように丁
寧に説明し,できるまで練習する。練
習後,①レ点②一・二点の読み方つい
てのまとめをする。まとめは,黒板に
掲示し,いつでも学習事項を振り返る
ことができるようにする。
・「どの順番で読めばいいのだ
・
「訓読の方法として,まずこの記号に
ろう?」
ついて復習しましょう。この点のこ
・「これなら何とかできそう。」
とをレ点といいました。皆さんで言
・「レ点は下から返って読めば
ってみましょう。この点は,一字上
いいのかあ。」
に返って読む記号です。では,これ
を見て下さい。この色カードが漢字
一文字だと考えましょう。」
・「この場合,このように読みます。」
青
二
緑
黄
一
みどり→き→あ お
〈読み方〉
*以下,同じように自作教材を使って,
練習する。
・「次に,この記号についてです。この
点のことを一・二点といいました。皆
さんで言ってみましょう。この点は,
一から二に,二字以上,上に返ってよ
む記号です。練習してみましょう。」
*以下,同じように自作教材を使って練
習する。
-
3年
国
-
①②
観察
発表
パソコン
プロジェ
クター
スクリー
ン
色カード
②
観察
発表
ワ ー
ク シ
ート
読
ム
レ
書
ヲ
書を読む
〈読み方〉
2)ワークシートの簡単な漢文を ・「漢字だとよくわからない。」 2) 手立て3
使って,訓読のきまりを学ぶ。 ・「読む順番は,色カードのと *次に,ワークシートにある簡単な漢文
きと同じだな。
」
(個別)
を使って繰り返し練習を行うことで,
①レ点の読み方
実際の漢文でも訓読の きまりにした
②一・二点の読み方
がって読めるように支援する。
*まず,一斉に,例題に取り組ませる。
白文
暁
3年
書
眠
・「返り点があるけど,どうや
って直せばいいのだろう。」
・「色カードのときと同じ?」
・「さっきの漢文のときと同じ
ように読めばいいのかな。」
・「何とか書き下し文に直すこ
とができたぞ。」
-
読
処 聞 啼 鳥
孟浩然
春
雨 声
春暁
処
来 風
多
不 覚
夜
落 知
少
花
1)「春暁」の訓読文を書き下し文
に直して読む。
に
5
1)
訓読文
「春暁」の訓読文を読む。
書
*次に,個別にワークシートの練習問題
に取り組むよう話す。
・「では,練習したことを生かして,
実際に漢文を読んでみましょう。
プリントの問題をやってみよう。」
*机間指導をしながら,色カードのとき
と読む順番は同じであることを話す。
*スクリーンに問題を提示しながら,答
え合わせをする。
5
1)
①②
*「春暁」の訓読文を示し,訓読のきま 観察
りにしたがって読めるかどうか確認 発表
する。正確に読めた場合は,読めたこ
とを大いに誉め,自信をもたせるよう
にする。正確に読めない場合でも,ヒ
ントを与えながら,何とか自力で読む
ことができようにする。正しい読みが
確認できたら,一斉に音読する。
・
「では,訓読のきまりにしたがって,
最初に示した漢詩を読んでみまし
ょう。」
・「よし,やってみよう。」
・「なんか,難しそうだな。」
5
読
書を読む
・
「『書き下し文』は,漢字仮名
交じり文だったよな。」
書き下し文
・「これを見てください。先ほど練習
したときと同じですね。一字返って
読 む の で,『 書を 読 む』 とな り ま
す。」
・
「『白文』って何のことかな。」 *白文,訓読文,書き下し文を提示し,
・「確か,中国語だったような
それぞれの文がどうい うものかを説
気がするけど…」
明する。その上で,訓読文から書き下
し文に直すとは,どういうことかを説
・
「『訓読文』は,返り点や送り
明する。
仮名がついた文だよね。」
国
*難解な漢字であっても,色カードのと
きと同じように読むこ とを前面に掲
示した「訓読の読み方のまとめ」を使
って確認する。
*ワークシートで練習した漢文のとき
と同じように読むことを伝える。
-
ワークシ
ート
<
訓あ かつき
【暁 】 音キョウ
意味 ①夜 明け。
【 不】 音 フ
意味 助詞①「ず」と読み、
>
【処】 音 ショ
訓 おる ・ところ
【 啼】 音 テイ 訓なく
意味 ①悲しくて声 をあげ
>
て泣く。②けものや鳥が鳴
き声 をあげる。
>
(処処 あちらこちら。
ところどころ 。
213ペ ージ
*三省堂「例解新漢 和辞典」 *三省堂「例解新漢 和辞典」
125ペ ージ
<
…でな い・…しな い、の意 。
*三省堂「例解新漢 和辞典」
19ペ ージ
<
>
②明らかになる。
*三省堂「例解新漢 和辞典」
494ペ ージ
2)
2)漢和辞典を使って,漢字の読 2)
みと 意味を確認する。
・
「『もうこうねん』人の名前か。 *「春暁」の訓読文を読んでいく中で,
漢字の読みや意味をひとつひとつ確
・「孟浩然」(もうこうねん)
『然』は,
『ぜん』じゃなくて
認させる。漢和辞典をひかせて,意味
・「暁」(あかつき)
『ねん』だね。」
を調べさせる。調べた意味について
・「不」(ず)
・
「『あかつき』は読める。でも,
は,ワークシートに記入させる。
→「覚えず」
どんな意味?」
*読みにくい漢字は,読めるようになる
・「処処」(しょしょ)
まで,繰り返し音読練習をする。読み
・「啼鳥」(ていちょう)
の確認後,フラッシュカードは黒板の
・「落つる」(おつる)
左側に掲示し,いつでも読みを確認で
・「多少」(たしょう)
きるようにする。
・「では,訓読の仕方がわかったので,
あとは,漢字が読めて,意味がわか
ればいいですよね。漢和辞典を使っ
て読みと意味を確認しましょう。」
*一文目から順番に指し示していく。
・「『孟浩然』:作者の名前です。『もう
こうねん』と読みます。次の時間に
・「『不』→『ふ』じゃなくて『ず』な
勉強する李白 や杜甫とい う人の先
んだ。
輩として尊敬 された唐の 時代の詩
人です。」
*「孟浩然」についは,スクリーンに提
示して説明する。
・
「『暁』訓読みは何だろう?『あかつ
き』と読みます。
『あかつき』の意
味は何だろう?漢和辞典で調べて
みよう。」
*指名して,意味を確認する。一斉にそ
のページを開かせて,意味をワークシ
ートに書かせる。 →<意>夜明け
・「『不』→『ず』と読みます。ですか
・「『処処』は音読みできるけど,
ら,『不覚暁』の部分は,『おぼえ
どんな意味なんだろう?」
ず』と読みます。
『~ない』という
意味だから,『覚えず』は,
『気付か
ない』という意味になりますね。」
・「『処処』→『処』は『所』だから,
『 所 々 』『 あ ちこ ち で』 とい う 意
味。」
・「『啼鳥』→『啼』は,どんな意味かな。
漢和辞典で調べてみよう。」→『鳴く』
*指名して意味を確認する。
・「『落つる』今と読み方が違います。」
→ (おつる)
・「『多少』は,いろいろな意味があります
・「『啼鳥』どんな意味だろう。」
が,ここでは,『どれほど』という疑問の
意味です。」
*漢和辞典で語句の意味を調べさせ,ワ
ークシートに記入させる。調べた語句
については,発表させる。難しい語句
については,解説を加える。
・「『落つる』→『落ちる』じゃない
んだ。」
・「『多少』って,多いとか少ない
っていう意味かな?」
-
3年
国
-
フラッシ
ュカード
漢和辞典
3)音読みをする場合と訓読みを
する場合の違いを確認する。
・「覚」
音読みは(カク)
訓読み(おぼえる)
「エル」という送り仮名がある
場合は,訓読みになることを
確認する。
6「春暁」の現代語訳を考える。
3)動詞について
・「送り仮名があるときには,訓読
みになるのか。」
・「送り仮名によって,音読みと訓
読みが違うんだ。」
3)
*「覚」という漢字を提示し,音・訓両
方の読みを発表するように促す。
「エ
ル」という送り仮名があるときは,訓
読みになることに気づ くよう支援す
る。他の漢字についても同様であるこ
とをまとめる。
6
6
・
「『春暁』ってどういう意味?」 *「春暁」を一行ずつ読み,調べたこと
をもとに現代語訳を考えさせる。
・「『春眠暁を覚えず』は?」
・
「『暁』はさっき調べたから分
・「では,この詩の意味を考えてみま
しょう。」
かる。」
・「『処処』も分かるよ。」
*スクリーンの訓読文を一行ずつ読み
ながら,現代語訳を示していく。
・「『啼鳥』は『鳥が鳴く』ことだ。」
・「『春暁』:「春の夜明け」という意味
・「『夜来風雨の声』の意味は,
何となく分かるかな。」
だね。」
・
「『春眠暁を覚えず』→『春の眠りは,
・「『昨夜から風 や雨の音が して
いた。』っていうことかな。」
夜明けがきたのに気付かない。』」
・「『多少』は,『どのくらい』ってい
・「『処処啼鳥を聞く』→『所々で鳥が鳴
う意味だから,『花がどのくらい
いているのが聞こえる。』」
・「『夜来風雨の声』→『昨夜から激しい
落ちてしまったか』っていうこと
かな。」
風や雨の音がしていた。』」
・「『花落つること知る多少』→『花は,ど
・「どんな情景なんだろう。」
のくらい散ってしまったのだろうか。』」
春暁
7
1)読めない漢字は,掲示したフラッシ
ュカードで確認を行う。
・「皆さん『春暁』の大体の意味がわ
かりましたね。では,意味をつかん
だので,何度も繰り返し読んでみま
しょう。」
孟浩然
2)教師のあとに続いて読むように指示
する。
・
「では,あとについて読みましょう。」
処
春
来 風
雨 声
処 聞 啼 鳥
眠
多
不 覚
夜
落 知
3)ゆっくりはっきりした声で2回音読
をするよう話す。
・「しゅんぎょう」
・
「今度は,自分の速さで2回読みまし
・「もうこうねん」
ょ
う。2回読んだら,座ります。」
・「しゅんみん あかつきを
*その場に立たせて,自分の速さで2回
おぼえず」
音読するように指示する。
・「しょしょ ていちょうを
4)相手の読みが正確かどうか確認をし
きく」
ながら読むよう話す。
・「やらい ふううの こえ」 *すらすらと音読できるようになった
・「はな おつること しる
かどうか指名して発表させる。
たしょう」
8 「春暁」の訓読文を書き下し 8
8 「春暁」の訓読文を書き下し文に直
文に直して書く。
・「音読した時と,同じように
して書く。
書けばいいんだよね。」
・「今,皆さんが音読したように,こ
・「何とか書けそうだ。」
の訓読文を漢字とひらがなの形で
書いた文を書き下し文といいます。
直して書いてみよう。」
終 9 まとめと次時の予告
9
9 1)
結 1) 本時のまとめをする。(一斉) ・「訓読のきまり(レ点,一・ *訓読のきまりに従って漢詩を読める
3 2)次時の予告を聞く。
二点)がわかった。」
ようになったことを賞賛する。
分
・「漢詩がすらすら読めるよう *漢詩の表現上の特徴について気づい
になった。」
たことはないかを聞き,次時の学習へ
・「詩の行数と音数が決まって
つながるようにする。
いるなあ。」
*漢詩の内容を考えることに目を向け
・「作者はどんな人?」
るような話をする。
2)表現上の特徴を考えることを伝える。
-
①②
観察
暁
少
花
7「春暁」の訓読文を音読する。 7
・「最初は読めなかったけれど
(一斉)(個別)(ペア)
も,読めるようになった。」
1)教師の範読を聞く。
2)教師の読みに続けて一斉に音
読する。
3)各自で音読する。
4)ペアで音読する。
3年
国
-
②
ワ ー
ク シ
ート
ワークシ
ート
漢詩
「春暁」 孟浩然
《今日の目標》
山
⑥登
学 漢 文
富 士
⑤隔 靴 掻
④空 山 不
山
痒
見 人
盆
⑦我
故
師
三年
組
番
氏名(
学習プリント その一
見
練習 問題
◆ 次の漢文を返り点 に従って訓読し、書き下し文に直してみよう。
①登
②不 返
⑧温
以 為
③修 身
⑨可
如 一
而 知 新
⑩百 聞 不
)
春暁
春 眠 不 覚 暁
処 処 聞 啼 鳥
夜 来 風 雨 声
花 落 知 多 少
孟浩然
漢詩二編
《今日の目標》
春望
三年
組
番
学習プリント その二
杜甫
河 在
深
国 破 山
木
草
城 春
鳥 驚
涙
連 三 月
濺
恨 別
万 金
感 時 花
烽 火
抵
心
家 書
更 短
勝 簪
掻
欲 不
白 頭
渾
氏名(
)
人 西
辞 黄
鶴
州
楼
黄鶴楼にて、孟浩然の広陵に之くを送る
故
揚
空 尽
三 月 下
碧
煙 花
影
流
際
遠
見 長 江
天
孤 帆
惟
李白