累乗根と平均変化率



2015年度 春学期 金曜4限
例題1-6:幾何平均と平均変化率
個のデータ
の幾何平均:
⁄
・・・・

1に近い対数の近似値
応用計量経済分析 A
≒
⇔
≒
1
とおけば、
ここで、
第4回
2015.5.1
担 当: 石 川 達 哉
([email protected])
変化率
≒
1
よって、
の関係にあれば、即ち、 が当期の値の前
期の値に対する倍率を示しているならば、 の幾何平均は変
の平均値に近似的に等しい
化率
教育用ホームページはhttp://www1.meijigakuin.ac.jp/~ishikawa
明治学院大学 2015年度 春学期
[1に近い対数の近似値]

無限回微分可能な関数
例題1-6のヒント
のテーラー展開:

!
!
さらに、それに1を加えた値を対象に、幾何平均を求める
!
!
例題1-7のヒント
0 ならば、マクローリン展開:
0
log 1
各データを%表示から小数表示に改め、
⇒ 期間中の平均変化率
・・・
ここで、
2
log 1
0+ -
!
!
・・・
!

!
ex. 「期末の実質GDPが500兆円、期首の実質GDPが400兆円、
期間が5年間」ならば、年率換算平均成長率は「500/400=
1.25(倍)」の「1/5乗」を「%表示に変換」 (1を控除した後に
100倍)すればよい
の場合、
+
よって、 が十分に小さければ、
-
・・・
明治学院大学 2015年度 春学期
「期末は期首の何倍?」と「期間に応じた累乗根」
⇒ {(500/400)1/5-1 } × 100
≒
3
明治学院大学 2015年度 春学期
4
[数年間にわたる平均成長率:べき乗概念の利用]

例題1-7:べき乗(累乗)、累乗根と平均変化率

「基準年」に対する「比較年」の倍率を求め、
1
次に、「基準年」から「比較年」までの経過年数nに基づいて、
その倍率に対するn乗根を求めた後、1を控除した値がn年間
の平均変化率を表す
よって、この関係式を変形すれば、平均成長率が求められる
1
なお、n乗根は1/n乗

が0期から 期まで同一成長率 で推移したとすれば、
1
1
5
明治学院大学 2015年度 春学期







原数値X
X1
X2
X3
X4
X5
X6
前期比(倍)Y
―
X2/X1
X3/X2
X4/X3
X5/X4
X6/X5
対前期変化率(%) Z
―
( X2/X1-1)×100
( X3/X2-1)×100
( X4/X3-1)×100
( X5/X4-1)×100
( X6/X5-1)×100
X6
5期前比(倍)
X6/X1
対5年前変化率の年率換算(%)
{( X6/X1 ) 1/5-1 }× 100
Y2~Y6の幾何平均={( Y2 × Y3 × Y4 × Y5 × Y6 )
= {( X6/X1 ) 1/5-1 } × 100
1/5-1
1
6
[戦後日本の経済成長史:5年間の変化率の推移]

終戦後~1950年代前半:戦前の経済活動水準の回復、その後の経済発展の基礎

1950年代後半、1960年代:高度経済成長期

1970年代:2度の石油ショック、構造調整・構造転換

1980年代:安定成長、国際社会での地位

1980年代末、1990年代:バブルの生成と崩壊、景気の長期低迷
5年間の実質GDP成長率
1955~60年度
60~65年度
65~70年度
70~75年度
75~80年度
80~85年度
85~90年度
90~95年度
95~2000年度
2000~05年度
2005~10年度
2010~12年度
}× 100
(%表示に換算)
明治学院大学 2015年度 春学期
明治学院大学 2015年度 春学期
[期間中の年率換算変化率と幾何平均]
期
1
2
3
4
5
6
68SNAベース
8.9%
9.1%
10.9%
4.5%
4.3%
3.4%
4.8%
1.5%
-
-
-
-
93SNAベース
-
-
-
-
-
4.3%
5.0%
1.4%
0.8%
1.2%
0.2%
1.1%
5年間の平均成長率(%)
= {(Xt/Xt-5)1/5-1}×100
(資料)経済企画庁、内閣府「国民経済計算年報」
7
明治学院大学 2015年度 春学期
8
移動平均について





[3項移動平均について]
3項移動平均:XMA=(Xt-1+ Xt +Xt+1 )/ 3
5項移動平均:XMA=(Xt-2+ Xt-1 + Xt + Xt+1 + Xt+2 )/ 5
移動平均の意義:循環変動、季節変動、不規則変動など不必要な変動を単純な方法
で平滑化し、長期変動の方向を平易に見極めることができる
周期的な変動パターンが事前にわかっていれば、その周期に項数を合わせるとよい
単純かつ機械的な平滑化の方法であることには留意を要する(特に、移動平均するこ
との合理的な根拠や経済的な意味が定かではない場合)
中心化4項移動平均
周期的変動
山
山
山
期
原数値 X

1
X1
Y1 は定義されない

2
X2
Y2 = (X1+X2+X3)/ 3

3
X3
Y3 = (X2+X3+X4)/ 3

4
X4
Y4 = (X3+X4+X5)/ 3

5
X5
Y5 = (X4+X5+X6)/ 3

6
X6
Y6 は定義されない

Excelのワークシート上で計算する場合には、各セルに
AVERAGE関数を適用する

ただし、定義されない期に対応するセルには、計算式
を入力しない、コピー&ペーストもしないように注意
谷
谷
谷
1周期
(教科書)
9
明治学院大学 2015年度 春学期
明治学院大学
[景気循環に関する基礎知識]
景気循環:拡張期間と後退期間を合わせて1「循環」(谷~谷)

景気拡張期間:景気の谷~山
第1循環

景気後退期間:景気の山~谷
第2循環
第3循環
谷
c.f 趨勢と循環
循環変動のイメージ図
景気拡張期
山
山
山
谷
山
谷
谷
山
期 間
後退
全循環
山
谷
1951年6月
1951年10月
1951年10月
1954年1月
1954年11月
27ヵ月
10ヵ月
37ヵ月
1954年11月
1957年6月
1958年6月
31ヵ月
12ヵ月
43ヵ月
拡張
4ヵ月
第4循環
1958年6月
1961年12月
1962年10月
42ヵ月
10ヵ月
52ヵ月
第5循環
1962年10月
1964年10月
1965年10月
24ヵ月
12ヵ月
36ヵ月
第6循環
1965年10月
1970年7月
1971年12月
57ヵ月
17ヵ月
74ヵ月
第7循環
1971年12月
1973年11月
1975年3月
23ヵ月
16ヵ月
39ヵ月
第8循環
1975年3月
1977年1月
1977年10月
22ヵ月
9ヵ月
31ヵ月
第9循環
1977年10月
1980年2月
1983年2月
28ヵ月
36ヵ月
64ヵ月
山
1循環
景気拡張期
10
2015年度 春学期
[戦後の景気循環]

趨勢的成長と循環変動
3項移動平均 Y
谷
景気後退期
景気後退期
谷
1983年2月
1985年6月
1986年11月
28ヵ月
17ヵ月
45ヵ月
1986年11月
1991年2月
1993年10月
51ヵ月
32ヵ月
83ヵ月
第12循環
1993年10月
1997年5月
1999年1月
43ヵ月
20ヵ月
63ヵ月
第13循環
1999年1月
2000年11月
2002年1月
22ヵ月
14ヵ月
36ヵ月
第14循環
2002年1月
2008年2月
2009年3月
73ヵ月
13ヵ月
86ヵ月
2009年3月
2012年4月
2012年11月
(暫定)
(暫定)
37ヵ月
7ヵ月
44ヵ月
第15循環
1循環
谷
第10循環
第11循環
(参考)四半期基準日付
山
1951年4
~6月
1954年1
~3月
1957年4
~6月
1961年10
~12月
1964年10
~12月
1970年7
~9月
1973年10
~12月
1977年1
~3月
1980年1
~3月
1985年4
~6月
1991年1
~3月
1997年4
~6月
2000年10
~12月
2008年1
~3月
2009年4
~6月
谷
1951年10
~12月
1954年10
~12月
1958年4
~6月
1962年10
~12月
1965年10
~12月
1971年10
~12月
1975年1
~3月
1977年10
~12月
1983年1
~3月
1986年10
~12月
1993年10
~12月
1999年1
~3月
2002年1
~3月
2009年1
~3月
2012年10
~12月
(暫定)
(暫定)
(資料) 内閣府
明治学院大学 2015年度 春学期
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明治学院大学 2015年度 春学期
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