88 術前の超音波および細胞診所見で悪性が推定された甲状腺濾胞癌の1例 ◎堀内 礼子 1)、楜澤 由美 1)、山岸 はるか 1)、宮澤 富士江 1)、小林 浩子 1) 医療法人丸山会 丸子中央病院 1) 「はじめに」 「細胞診所見」 濾胞癌は頻度の高い乳頭癌に比べ出現頻度は低く、甲状 穿刺吸引細胞診にて多数の細胞が採取され、小濾胞構造を 腺悪性腫瘍の 4.8%を占める。濾胞癌の診断は、手術後の病 なす濾胞上皮細胞が重積の強い集塊で認められた。乳頭癌 理組織で脈管浸潤あるいは被膜浸潤を認めた場合、あるい に特徴的な細胞所見は認めず、濾胞性腫瘍(favor は肺、骨などに遠隔転移を認めた場合になされており、術 malignant)が疑われる細胞所見であった。 前での超音波診断はいまだ困難な例が多い。今回私たちは 「病理組織所見」 超音波検査所見及び穿刺吸引細胞診所見より濾胞癌が疑わ れた症例を経験したので報告する。 Folliucular carcinoma,pT2(37×25mm),pNX,pEx0,所々で被 膜を破り、被膜外の甲状腺組織への進展及び静脈浸潤像を 「症例」 認めた。リンパ管浸潤は認めなかった。 46 歳、女性。2014 年 10 月甲状腺左葉の腫瘤を自覚。前 「結語」 医で濾胞性腫瘍を指摘され手術目的にて当院紹介となった。 濾胞癌の最終診断は腫瘍の切除組織診に委ねられ、術前 に濾胞腺腫か濾胞癌かを確実に鑑別することは大変困難で 「超音波所見」 ある。私たちは術前に濾胞癌が疑われた症例を経験したの 左葉をほぼ占拠する 48×34×24mm 大の内部不均質な低 で動画所見も加え報告する。 エコー腫瘤を認めた。豊富な血流信号を認めエラストグラ フィーでは中心部に比べ辺縁で硬く青色に表示された。 また、辺縁に不規則な突出を認め被膜への浸潤が疑われた。 連絡先:0268-42-1111(内線 1192)
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