新学術創成研究機構 革新的統合バイオ研究コア セルバイオノミクスユニットセミナー 「レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えを司る 脳内スイッチの同定と制御」 林 悠 先生 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 日時:平成 28 年 1 月 18 日(月)16:00〜17:00 場所:金沢大学角間キャンパス自然科学本館(講義棟)2 階 201 講義室 要旨 哺乳類の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠という 2 つの独立したステージから成る。 夢を生じるレム睡眠に関しては、その役割は脳科学における最大の謎の一つであった。 また、レム睡眠とノンレム睡眠はそれぞれ特徴的な脳の活動を伴うが、その間を切り 替えるメカニズムについてもよく分かっていなかった。今回私たちは、マウスの胎生 期において、特定の細胞系譜を遺伝学的に標識し、生後にその神経活動を化学遺伝学 的に操作するという新規のアプローチにより、レム睡眠からノンレム睡眠への切り替 えを担うニューロンを同定した。また、同じ細胞系譜から生じ隣接する位置へと移動 するニューロンが、睡眠から覚醒への切り替えを担うことも明らかにした。さらに、 従来とはまったく異なる、外部からの刺激によらないレム睡眠の操作法を確立したこ とにより、レム睡眠には、記憶の形成や脳の機能の回復において重要な神経活動とさ れる徐波を、ノンレム睡眠時に誘発する役割があることも明らかとなった。この作用 を介し、レム睡眠が脳の発達や学習に貢献している可能性が示唆された。 参考文献:Hayashi et al., Science 350, 957-961 (2015) 連絡先: 理工学域・自然システム学系・生物学コース 木矢 剛智 TEL:076-264-6248, E-mail:[email protected]
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