システム制御工学Ⅰ 電気電子工学科 2015年度 今日の講義内容 演習 • システムの表現 • 基本伝達関数 • 安定性 • 速応性と定常特性 • 制御系の設計 2 システムの表現 インパルス応答 𝑥(𝑡) ∞ 𝑦 𝑡 =𝑔 𝑡 ∗𝑥 𝑡 = 𝑔(𝑡) たたみ込み 𝑔 𝜏 𝑥 𝑡 − 𝜏 𝑑𝜏 0 ∞ 𝑔(𝑡)𝑒 −𝑠𝑡 𝑑𝑡 ラプラス変換 𝐺 𝑠 = ℒ 𝑔(𝑡) = 0 伝達関数 𝑋(𝑠) 𝐺(𝑠) 𝑌 𝑠 = 𝐺 𝑠 𝑋(𝑠) 逆ラプラス変換を 行うには部分分 数展開が必要 ∞ フーリエ変換 𝐺 𝑗𝜔 = ℱ[𝑔(𝑡)] = 𝑔(𝑡)𝑒 −𝑗𝜔𝑡 𝑑𝑡 0 周波数応答 𝑋(𝑗𝜔) ブロック図 𝐺(𝑗𝜔) 𝑌 𝑗𝜔 = 𝐺 𝑗𝜔 𝑋(𝑗𝜔) 𝐺 𝑗𝜔 = 𝐺(𝑠) 𝑠=𝑗𝜔 伝達関数/周波 数応答の表現に はボード線図や ナイキスト線図を 用いる 3 演習1 下記のブロック図について以下の問いに答えよ. 1. ブロック図を簡単化して,単一の伝達関数𝐺(𝑠)で表 せ. 2. 振幅応答 |𝐺 𝑗𝜔 | および位相応答 𝜙 𝜔 = ∠𝐺(𝑗𝜔) を求めよ. 3. 𝐺 𝑠 に対応するインパルス応答 𝑔(𝑡) およびステッ プ応答 𝑐(𝑡) を求めよ. + 1 𝑠+1 8 − 1 𝑠 + 10 4 基本伝達関数 高次の伝達関数は基本伝達関数に分解できる 比例要素 𝐺 𝑠 = 𝐾 微分要素 𝐺 𝑠 = 𝑠 積分要素 𝐺 𝑠 = 1 𝑠 1次遅れ要素 𝐺 𝑠 = 1 1+𝑠𝑇 1次進み要素 𝐺 𝑠 = 1 + 𝑠𝑇 2次要素 𝐺 𝑠 = 𝜔𝑛 𝑠 2 +2𝜁𝜔𝑛 𝑠+𝜔𝑛 2 −𝑠𝜏 むだ時間要素 𝐺 𝑠 = 𝑒 𝑇 :時定数 𝜔𝑛 :固有周波数 𝜁 :減衰率 𝜏 :むだ時間 5 演習2 伝達関数 𝐺 𝑠 = 10(1+0.1𝑠) (1+𝑠)(1+0.01𝑠) について以下の 問いに答えよ. 1. 𝐺(𝑠) を基本要素に分解せよ. 2. 1.の結果を用いて, 𝐺(𝑠) のボード線図を 折れ線近似で描け. 3. 𝐺(𝑠) のナイキスト線図の概形を描け. 6 安定性 時間領域の安定条件 ∞ インパルス応答が絶対可積分 0 |𝑔 𝑡 |𝑑𝑡 < ∞ 伝達関数領域の安定条件 𝐺(𝑠) のすべての極が複素平面の左半平面にある 安定判別法 1. 特性方程式(閉ループ伝達関数の分母多項式=0)を 直接解いて極を求める 2. 特性方程式にラウス・フルビッツの判別法を適用する 3. 開ループ伝達関数のナイキスト線図を用いる 安定度 開ループ伝達関数のナイキスト線図またはボード線図 を描いて,ゲイン交差周波数 𝜔𝑐 と位相余裕PM,あるい は位相交差周波数 𝜔𝜋 とゲイン余裕GMを求める 7 演習3 下図の制御系の安定性を,フルビッツの判別法 およびナイキスト線図を用いて判別せよ. + − 1 (𝑠 + 1)(𝑠 + 2)(𝑠 + 3) 100 8 速応性と定常性(1) ステップ応答特性 𝜙𝑏 遅れ時間 𝑇𝑑 ≅ 𝜔𝑏 𝜋 立上り時間 𝑇𝑟 ≅ 𝜔𝑏 整定時間 𝑇𝑠 ≅ 3 𝜁𝜔𝑛 = 𝜔𝑏 :閉ループを理想低域通過フィル タで近似した場合の遮断周波数 𝜙𝑏 : 𝜔𝑏 における位相 3 𝛼 𝜁 :閉ループを2次要素で 近似した場合の減衰率 𝜔𝑛 :閉ループを2次要素で 近似した場合の固有周波 数 𝛼 :2次要素の極の実部の 大きさ 9 速応性と定常性(2) 制御系の形と定常偏差の関係 開ループ系の形 定常位置偏差 𝜺𝒑 1形 (𝑗 = 1) 1 𝐾+1 0 2形 (𝑗 = 2) 0 0形 (𝑗 = 0) 定常速度偏差 𝜺𝒗 定常化速度偏差 𝜺𝒂 ∞ ∞ 1 𝐾 0 ∞ 1 𝐾 開ループ伝達関数 𝐾(1 + 𝑠𝑇1′ ) ⋯ (1 + 𝑠𝑇𝑚 ′) 𝐺 𝑠 = 𝑗 𝑠 (1 + 𝑠𝑇1 ) ⋯ (1 + 𝑠𝑇𝑛 ) 10 演習4 下図の直結フィードバック制御系について,以下の 問いに答えよ. 1. この制御系は何形か? 2. この制御系の定常位置偏差 𝜀𝑝 を求めよ. 3. この制御系の定常速度偏差 𝜀𝑣 を求めよ. 4. この制御系の定常加速度偏差 𝜀𝑎 を求めよ. + − 10 𝑠(𝑠 + 2)(𝑠 + 3) 11 制御系の設計 • 周波数応答法 – まずゲイン調節を考える – 定常偏差を改善するには位相遅れ補償を行う – 速応性を改善するには位相進み補償を行う – 位相遅れ進み補償を簡単化したPID制御は,3つ のパラメータだけで設計でき,比較的広い範囲の プラントに適用できる • 根軌跡法 – 閉ループ系の根軌跡を描き,根(極)が仕様を満 足する範囲に入るようにパラメータを選択する 12 演習5 下図のような直列補償型制御系を考える. 1. ゲイン調節 𝐺𝑐 𝑠 = 𝐾 を用いる場合,制御系が安定とな るゲイン 𝐾 の範囲を求めよ. 2. ゲイン調節の場合,制御系の根軌跡を描き,整定時間 𝑇𝑠 が2.5以下となるゲイン 𝐾 の範囲を求めよ. 3. 1.において閉ループ系が安定限界となる 𝐾 のとき,閉 ループ系の伝達関数 𝐺𝑜 (𝑠) を求め,持続振動の周期を 計算せよ. 4. 2.の結果を用いて,限界感度法でPID制御のパラメータ を求めよ. + − 𝐺𝑐 (𝑠) 𝐺𝑝 𝑠 = 1 𝑠(𝑠 + 1)(𝑠 + 2) 13
© Copyright 2025 ExpyDoc