言語型・視覚型学習スタイル別にみた課題特性による方略選択

目白大学大学院
修了論文概要
所属
心理学研究科 臨床心理学専攻 修士課程
修了年度
平成 22 年度
氏名
五十嵐 眞琴
指導教員
(主査)
髙橋 稔
論文題目
言語型・視覚型学習スタイル別にみた課題特性による方略選択
本 文 概 要
現在,教育の場では理解促進についての関心はあるものの,教師が生徒の特性に応じた教材の作成・
選択を考えたとしても依拠すべき基準がそもそもないに等しい。そこで,大学生 187 名を対象に説明文
理解に影響を及ぼす個人差要因のうち,認知スタイル(言語型・視覚型)に着目し VVLSQ (Verbal and
Visual Learning Style questionnaire : Kirby , Moore & Schofield,1988)の信頼性と妥当性の検討を行った。
岩槻(2009)の問題点としては,VVLSQ と図への接触度という質問紙間の関係を調べているのみで,
課題遂行や知能への関係や影響を調べていない。本研究ではVVLSQの妥当性を調べるために,図への接
触度,課題の選好 (2種類の文章:手続き的文章・宣言的文章),知能(簡略版知能テスト)を用いて研
究を行った。
その結果 VVLSQ は2因子(言語型:5項目,視覚型:4項目)に分かれ,視覚型の方に性差が認め
られたので,男女別に分けて分析を行ったところ,女性にはほとんど課題との関係はなく,男性の視覚
型が両文章において,図と文の両方を見るという結果になった。さらに重回帰分析を行ったところ,
VVLSQ から課題への影響は女性にはほとんどみられなかった。男性でも手続き的文章にしか影響は見
られず,視覚型は図と文の両方を見て,言語型は文を見る傾向にあった。むしろ,知能の立方体の高い
人が手続き的・宣言的という両文章において文と図を両方見るという結果になり,仮説とは違う結果と
なった。