療育研究大会全体会シンポジウム 家族背景の要因で「難支援」に至るケースへの対応 ――精神医学的アプローチの導入 Ⅲ.精神医学的アプローチの提案 精神科医 片山知哉 導入①:難支援の背景 難支援には,背景がある。 ――対象別:こども 養育者 支援者…… ――内容別:個体要因 社会関係要因 社会構造要因…… 導入②:お話しすること 本シンポジウムのテーマ: “家族背景が要因”での難支援 今日は特に,養育者の個体要因に関する,精 神医学的アプローチを提案する。 前提① 支援は,後手に回ってはならない。 ――スタッフは皆が前線部隊 ――支援の場の枠組み設定を主導 前提② 支援に必要なのは,技術である。 ――アセスメント ――プランニング ――コミュニケーション 精神医学的アプローチ概要① 精神医学的アプローチは,ふたつの軸のアセ スメントを要とする。 ――統合水準 ――認知スタイル 精神医学的アプローチ概要② アセスメントを通じ, ――適切なコミュニケーションの選択 ――別の場での行動・状況の予測 統合水準① メンタルヘルスに関してアセスメントすべきは, 統合水準である。 ――統合水準=こころのまとまり ――精神疾患により,元来の水準よりも低下 しうる ――必要に応じ,精神疾患の有無・内容・治 療状況の情報収集 統合水準② 統合水準は,現前の状態で判断可能。 ――思考の論理性・連続性が指標 ――精神病水準:思考の解体 →保護的 境界水準 :思考の歪曲 →構造化 神経症水準 統合水準③ 逆転移感情を意識化する。 ――精神病水準・境界水準では感情が周囲 に感染する ――レヴュー,スーパーヴィジョンの必要 認知スタイル① 認知スタイルは,個人ごとに異なるが,ある程 度のカテゴリー化は可能。 ――認知スタイルが,コミュニケーションのス タイルに関係 ――相手の認知スタイルの把握を土台に,コ ミュニケーションのやり方を選択 ――必要に応じ,情報は複数の経路から入 手する 認知スタイル② 境界性スタイル ――境界水準の持続と顕著な対人希求性 ――情報・関係の構造化とチーム対応 認知スタイル③ 自己愛性スタイル ――境界水準の内面と強固な自己愛性防衛 とのギャップ ――自己愛への攻撃はしないこと 認知スタイル④ シゾイドスタイル ――まとまらなさ +被害感 ――被害感構築がある場合は,事実に基づく 対応をチームで行う 認知スタイル⑤ スタイルの相違が問題になる場が,どこであ るかを意識する。 ――ヴァナキュラーな文化の構成 :日本手話,非日本語音声言語, アスペスタイル…… ――文化間ギャップへの支援 :通訳者としての支援 バイカルチュラル教育 おわりに① アセスメントの対象は, ――こども ――養育者 ――インフォーマルネットワーク ――支援者自身 ――同僚 ――他機関職員…… おわりに② アセスメントの目を鍛える最も良いサンプル は,自分自身や同僚である。 文献 Nancy MacWilliams 『パーソナリティ障害の診断と治療』 『ケースの見方・考え方』共に創元社
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