(B4-2) 公益財団法人山口大学後援財団 「学生の海外派遣等助成事業」[成果報告書] 平成 27 年 1 月 9 日 1.実 施 者 所属学部等 医 学部 医 学科 3学年 ふりがな 氏 名 松谷直美 2.研究集会名 あるいは、研修先 (欧文名)University of Michigan department of pathology Inohara laboratory (訳文名)ミシガン大学 病理学 猪原研究室 3.派遣期間(移動日を含む。) 2014 年 7 月 24 日~ 2014 年 12 月 12 日( 158 日間) 4.概要とその成果 猪原研究室にて感染免疫の研究を行った。 対象疾患は抗生剤投与や組織傷害等が原因となるディスバイオーシス関連疾患の偽膜性大腸炎と歯槽膿漏で それらを重症化する原因が常在細菌にあると考え、重症化させる常在細菌とそうでない常在細菌を pathobionts と non pathobionts と分類し、これらの腸内でのバランスや、個々の常在細菌の病原性を調べた。 具体的に解析を行ったメカニズムとしては近年細菌内で見つかった Contact-dependent growth inhibition という遺伝子 システムと補体である C3 との結合に対する抵抗性である。偽膜性大腸炎に対してはエンテロバクテリア属、歯槽膿漏に対 してはパスツレラ属という細菌を解析した。成果としてはエンテロバクテリア属の中でも Cdi を持つ細菌が偽膜性大腸炎 を重症化させる細菌が存在し、 競合実験を行った結果、 Cdi を持つことによって他の non-pathobionts の細菌の増殖を抑え、 自身が pathobionts として優勢に増殖することが分かった。その後、実際にマウスに投与したが、同様に Cdi を持つ細菌 が優勢に増殖する事が示された。また、パスツレラ属の中でもある菌株が C3の結合に対して抵抗性があり、その結果オプ ソニン化による貪食が促進されず悪性である菌(=pathobionts)の排除が行われずディスバイオーシス関連疾患を重症化 させることが分かった。 以上の事からこれら pathobionts を効果的に排除する事が疾患の治療法につながると考えらる。さらに個々の細菌の病原 性を解析するべく、補体系の結合性を決定させる因子や、補体結合性に関する DNA 配列の発見をする事が今後の研究の指 針であると考える。
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