修 士 論 文 の 和 文 要 旨 大学院電気通信学研究科 氏 名 論文題目 要 博士前期課程 呉 暁睿 知能機械工学専攻 学籍番号 0434010 AZ31 マグネシウム合金押出材の微小き裂進展挙動 と疲労特性評価に関する研究 旨 地球保全や材料リサイクル,省エネルギーなどの問題に対応するために は,実用金属中最も軽く,比強度や比剛性,リサイクル性に優れているマ グネシウム合金がアルミニウム合金やプラスチックの代替材料として注 目されている.しかし,現在のところ,電気製品,コンピューター部品な ど,モバイル機器の筐体などの利用が多用されているが.一方で輸送機器 部材としての適用も期待されているが,構造物事故の原因の大半を占める 疲労特性に関する研究は十分とは言えない.そこで本研究ではマグネシウ ム合金の基本的疲労特性を明らかにすることを目的とし,結晶粒径の異な る二種類のAZ31マグネシウム合金押出材を用いて,回転曲げ疲労試験を 実施した.疲労特性に及ぼす結晶粒径の影響を調査するとともに,その相 違について微小き裂の進展挙動をレプリカ法により連続的に観察し,疲労 き裂の発生・進展及び微小き裂進展挙動を検討した. また,実機の構造要素においては,一般に変動応力の作用する場合がお おく,このため,本研究ではマグネシウム合金が変動応力下における疲労 き裂の進展挙動および疲労損傷を調べた. 1. 両材の結晶粒径の差が 20µm程度では,粒径の違いにより静的引張特性 に差が生じるが,疲労特性におよぼす結晶粒径の違いによる影響は顕 著ではない.10 7 回疲労強度は共に 110MPaであり,両材に差は認めら れなかった. 2. 疲労破面を観察した結果,両材ともに明瞭な表面起点型破壊である. 疲労き裂の発生起点は,表面近傍に存在する介在物である. 3. da/dN-∆K関係には応力拡大係数幅が 3MPa・m 1/2 付近で屈曲点が存在す る.屈曲点を生じる理由は,き裂進展様相を加えて考えれば,き裂発 生初期がき裂経路は組織学的因子に支配されて主に粒界であり,き裂 先端塑性域が結晶粒径をこえるときすなわち屈曲点が生じた時点か ら,き裂進展経路は粒界から粒内を優先に進展するようになるためで ある. 4. 二段多重変動荷重結果,マイナー則による累積損傷度は1にならない. 一定応力振幅で同様な疲労強度の両材は,変動応力振幅では疲労特性に 結晶粒径の依存性が認められる.
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