物理学演習 IIB 問題 No.6 (量子力学 I) 2015 年 11 月 2 日 問題 1∼4 では, 1 次元のポテンシャル V (x) の中の質量 m の粒子の量子力学を考える。定常状態 のシュレーディンガー方程式は, ( ) ℏ 2 d2 − + V (x) ψ(x) = Eψ(x) 2m dx2 (1) である。それぞれの問題について, まずポテンシャルのグラフを描き, 問に答えよ。 1. 井戸型ポテンシャル 0 V (x) = −V0 0 (x < −a : 領域 I) (−a < x < a : 領域 II) (x > a : 領域 III) (2) (V0 > 0) の場合に, 束縛状態のエネルギー固有値 E (−V0 < E < 0) とその固有関数 ψ(x) を求めたい。 (a) 波動関数 ψ(x) が x = ±∞ で満たすべき境界条件を書け。 (b) シュレーディンガー方程式を解き, 領域 I, II, III の波動関数 ψI (x), ψII (x), ψIII (x) の関数 形をそれぞれ求めよ。ψI (x), ψIII (x) については, x = ±∞ での境界条件を満たすように せよ。 (c) x = ±a で ψ(x) と ψ ′ (x) が連続であることから, エネルギー固有値 E を決める条件式を 求めよ。 √ (d) 束縛状態の個数は V0 の値によって変化する。 12 (N − 1)π < 1, 2, 3, · · · ) のとき, 束縛状態が N 個あることを示せ。 2mV0 a < ℏ 1 2Nπ (N = (e) この N 個の束縛状態の波動関数のパリティ(偶関数か奇関数か)は, エネルギーの小さい 順に, 偶, 奇, 偶, 奇, · · · であることを示せ。 2. 階段型ポテンシャル { V (x) = 0 V0 (x < 0 : 領域 I) (x > 0 : 領域 II) (V0 > 0) (3) の場合に, 領域 I の左側からエネルギー E (E > V0 ) の粒子が入射したときの波動関数は, { A eik1 x + Be−ik1 x (x < 0) ψ(x) = (4) C eik2 x (x > 0) と書ける。ここで, A, B, C, k1 , k2 (k1 , k2 > 0) は定数である。x < 0 の第 1 項は入射波を, 第 2 項は反射波を, x > 0 の項は透過波を表している。 (a) k1 , k2 をエネルギー E を使って表わせ。 (b) x = 0 における ψ(x) と ψ ′ (x) の連続性から, 係数 A, B を C を使って表わせ。 (c) 確率の流れ密度は, iℏ j=− 2m ( ) dψ ∗ ∗ dψ ψ − ψ dx dx (5) と定義される。入射波, 反射波, 透過波それぞれの確率の流れ密度 jI , jR , jT を求めよ。 1 (d) 反射率 (反射係数) R と透過率 (透過係数) T は, 確率の流れ密度の比 R=− jR , jI T = jT jI (6) によって定義される。今の場合の R, T を求めよ。また, R + T = 1 が成り立つことを確 かめよ。 3. 問題 2 で, 入射エネルギーが 0 < E < V0 のときの波動関数は, { A eikx + Be−ikx (x < 0) ψ(x) = C e−κx (x > 0) (7) と書ける。ここで, A, B, C, k, κ (k, κ > 0) は定数である。 (a) k, κ をエネルギー E を使って表わせ。 (b) x = 0 における ψ(x) と ψ ′ (x) の連続性から, 係数 A, B を C を使って表わせ。 (c) 入射波, 反射波, 透過波の確率の流れ密度 jI , jR , jT を求めよ。 (d) 反射率 R と透過率 T を求めよ。また, R + T = 1 が成り立つことを確かめよ。 4. 箱型ポテンシャル 0 V (x) = V0 0 (x < 0 : 領域 I) (0 < x < a : 領域 II) (x > a : 領域 III) (V0 > 0) (8) の場合に, 領域 I の左側からエネルギー E (0 < E < V0 ) の粒子が入射したときの波動関数は, ikx −ikx A e + Be κx −κx ψ(x) = Ce +De F eikx (x < 0) (0 < x < a) (x > a) (9) と書ける。ここで, A, B, C, D, F , k, κ (k, κ > 0) は定数である。 (a) k, κ をエネルギー E を使って表わせ。 (b) x = 0, a における ψ(x) と ψ ′ (x) の連続性から, 係数 A, B, C, D を F を使って表わせ。 (c) 領域 I における入射波と反射波, および, 領域 III における透過波の確率の流れ密度 jI , jR , jT を求めよ。 (d) 反射率 R と透過率 T を求めよ。また, R + T = 1 が成り立つことを確かめよ。 (e) κa ≫ 1 のとき, a が増加すると透過率 T は指数関数的に減少することを示せ。 2 5. 量子力学における演算子  のエルミート共役 † は, 任意の波動関数 ψ1 (r), ψ2 (r) に対する式 ∫ ∫ 3 ∗ d r (Âψ1 ) ψ2 = d3 r ψ1∗ † ψ2 (10) によって定義される。Â, B̂ を演算子, c1 , c2 を複素数とするとき, 次の式が成り立つことを示せ。 (a) (c1  + c2 B̂)† = c∗1 † + c∗2 B̂ † (b) (ÂB̂)† = B̂ † † (c) († )† =  (11) 6. 量子力学における演算子  がそのエルミート共役 † に等しいとき, つまり † =  のとき,  はエルミート演算子であるという。 (a) エルミート演算子の固有値は実数であることを示せ。 (b)  を任意の演算子とするとき, 演算子 †  はエルミート演算子であることを示せ。また, その固有値はゼロ以上の実数であることを示せ。 7. 演算子 1 p̂ · p̂ + V (r̂) (12) 2m がエルミート演算子であることを示せ。ただし, これらの演算子の作用する波動関数 ψ(r) は, |r| → ∞ で十分速くゼロに近づくとする。また, L̂, Ĥ については, (11) の (a), (b) を利用せよ。 r̂ = r, p̂ = −iℏ∇, L̂ = r̂ × p̂, 3 Ĥ =
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