6.選択領域(6時間):数学力パワーアップⅡ

【6.選択領域(6時間):数学力パワーアップⅡ】
本講座では、数学の授業内容の背後にあるもの、教師として知っておいた方が授業に深みが出るようないくつかの事柄を取り上げて解説し、その基本的理解を深めることを目標とします。「数学力パワーアップⅠ」と「数学力パワーアップⅡ」はレベルの違いではなく、取り扱う項
講習内容 目や視点が異なります。「数学力パワーアップⅠ」と併せて受講することが望ましいです。
内 容
講座
講座テーマ
講 座 概 要
1
2
3
4
初等整数論と暗号理論
到 達 目 標
受講対象
時間
担当者
中・高等学校教
諭(数学)
1.5
冨田 耕史
中・高等学校教
諭(数学)
1.5
村瀬 勇介
キーワード
「除法の原理」
高等学校の「数学A(新課程)」において初等的な整数論が「整数の性質」として復活し 整数の性質が、現代社会の通信技術に欠かせない暗号理論の柱 「剰余」
た。初等整数論は社会の様々な場面で活用されている。この講義では、簡単な合同式 になっていることを理解し、簡単な計算例によってその仕組みを実 「合同式」
の復習からはじめて、その応用として、RSA公開鍵暗号について概説する。
体験すること。
「公開鍵」
「暗号」
微分方程式による現象の表現のうち、熱方程式を例に挙げ、必要な解析的知識につい 種々の微分作用素が持つ数学的意味、及び現象上の意味を把握
数学による現象の表現とコン
微分方程式と現象、
て説明する。特に多次元における現象の表現において重要となるベクトル解析の基礎 し、式が表現するおよその意味を把握できるようになること。また、
ピュータによる数値シミュレーショ
数値シミュレーション、
知識について取り扱う。また、コンピュータを用いて微分方程式の解を計算するための 数値実験の基本的手法について理解し、必要に応じて数値実験が
ン
差分法、ベクトル解析
方法についてもあわせて説明する。
出来るようになること。
複素数の効用
この講義では実数は現実のものであるが,複素数は想像上の産物にすぎないと考えて
いる人に複素数の効用を実感してもらおうと思います.複素数の歴史を振り返りなが
ら,複素数の微分積分である複素関数論の世界を覗いてみます.変数を実数から複素
数に広げることで微分積分学の多くの理論がより自然なものになり,例えば,三角関数
と指数関数がオイラーの公式で結びつきます.複素関数論の応用にも触れたいと思い
ます.
複素数に対する拒否反応をなくし,これが「愛(i)すべき」ものである
ことを再認識します.そしてコーシーの積分公式から極めて自然に
多くの重要な結果がえらることを学びます.数学のおもしろさの一
つは一見関係なさそうな意外な事実が結びつくことでしょう.複素
関数論が「代数学の基本定理」や「素数定理」の証明に如何に有
効であるかを概観します.
実数,複素数,複素平面,
オイラーの公式,
正則関数,
コーシーの積分定理,
代数学の基本定理,
素数定理
中・高等学校教
諭(数学)
1.5
鈴木 紀明
数学的帰納法について
少し雑な表現ですが「『数学的帰納法は正しい』という命題を証明する」というテーマで
お話をします。まずは、この命題に対するよく知られた証明を紹介し、その証明の中に
潜む問題点を考えます。そして、その問題点を解決するためには「自然数」をきちんと
数学的に理解する必要があること、さらにそのためには「自然数」のきちんとした定義を
知らなければならないことを説明します。「Peanoの公理」を用いた自然数の定義を紹介
し、「自然数は存在するのか?」という問題にも触れます。
『数学的帰納法は正しい』という命題に対する、自然数の整列性を
用いた証明を理解し、その証明の中の問題点を把握する。「Peano
の公理」を用いた自然数の数学的な定義を理解する。数学的帰納
法と自然数の数学的定義の間に密接な関係があることを理解す
る。
「数学的帰納法」
「自然数」
「整列性」
「Peanoの公理」
中・高等学校教
諭(数学)
1.5
日比野 正樹
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