弾性波トモグラフィによる今宿大塚古墳の探査 1.緒言 弾性波探査屈折法は、地表付近での発破などに よって人工的に弾性波を発生させ、地下の速度の 異なる地層境界で屈折して戻ってきた屈折波を、 地表に設置した測定装置で観測し、地下の速度構 造を求める探査法である。屈折法におけるデータ 解析は得られた波形データから初動を読み取り、 走時曲線を描く事で弾性波速度を求め、地下構造 を解析する手法である。今回の弾性波トモグラフ ィ調査は、福岡市西区の今宿大塚古墳(前方後円 墳)において、未調査である石室の位置・規模・構 Fig.1 大塚古墳の航空写真 造の推定を目的として実施した。 2.野外実験 石室が存在すると考えられる後円部に 7 本の測 線を平行に配置し、弾性波トモグラフィ調査を行 った。使用した測定装置は応用地質株式会社製の 地震探査装置 McSEIS-170f(MODEL-1122)であ る。受信点は 24 点設置し、起振点は高密度のト モグラフィ探査のため、各測線に対し9地点で起 振し測定を行った。 3.データ解析 Fig.2 トモグラフィ解析画像 ①取得した波形データから弾性波の初動を読 み取って記録する。 ②初動データを用いて走時曲線を作成する。 ③各走時曲線に基づき、弾性波の速度分布から 地下構造を可視化するトモグラフィ解析を行 う。 4.結言 各測線で行った屈折法トモグラフィ解析結果 より、低速度の異常体が後円部の中心付近で、測 線に沿った方向に 11mから 12m、測線に直交す る方向に約3mの深度約1mに異常部が検出さ れた。大塚古墳の後円部における径が 39m であ ること、後円部で検出された低速度異常部の規模 から推定すると、この異常部が石室である可能性 は十分に考えられる。 Fig.3 異常体の位置
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