第5章 貨幣需要と利子率 はじめに 第 4 章は貨幣の“供給”サイド ⇒ 中央銀行のHが、経済のMを決める 第 5 章は貨幣の“需要”サイド ⇒ 主に、“金融側面”と“実物側面”を結び付ける 「利子率」について扱う 2 第5章: 貨幣需要と利子率 5.1.利子率(金利)とは? ・ 銀行に預金する時の金利 ・ 住宅ローン金利 ・ 消費者金融業者からの消費者ローン金利 ・ 政府の発行する国債の金利 ・ 質屋など 3 5.1.利子率(金利)とは? 経済には様々な利子率がある ① 安全資産 と 危険資産 ② 長期 と 短期 ⇒ マクロ経済学では、様々な利子率(金利)を ひとまとめにし、単一の利子率として捉える。 4 5.2.貨幣需要関数 経済主体はさまざまな“金融資産”を保有している ⇒ 現金、預金、株式、社債、国債など ① 現金、普通預金 ⇒ 日々の買い物に便利 ② 定期預金、国債、株 ⇒ 金利収入や配当がある ⇒ 利子率(金利)によって、保有形態を選択 5 5.2.貨幣需要関数 ・ 流動性: いつでも商品の購入や、他の資産の購入に まわせること ⇒ 現金や普通預金は流動性が高い ・ 貨幣需要: 流動性の高い金融資産を保有しようとすること 6 5.2.貨幣需要関数 ① 利子率が低いほど、保有しようとする貨幣量 (貨幣需要)は大きくなる。 ⇒ 利子率が低いと、株や社債などの金融資産 からの収入が期待できない。 ② 所得が高いと、貨幣需要は大きくなる。 ⇒ 高所得の人々は、取引額も大きい。 7 5.2.貨幣需要関数 貨幣需要関数: 人々が保有しようとする貨幣量を、“所得(GDP)” と “利子率”の関数として表したもの 8 5.2.貨幣需要関数 ① と ② より、“貨幣需要関数”は次のようになる。 M L(Y , r ) M:貨幣量、 Y:名目GDP、 r:利子率 1. GDP(所得) の増加関数 2. 利子率の減少関数 9 5.2.貨幣需要関数 図による解説 ・ Yは一定(GDP は一定) ・ 曲線 LL は右下がり ⇒ 利子率が低いほど、人々は多くの貨幣を 保有しようとする。 ・ 点 E は貨幣市場の均衡点 ⇒ 貨幣需要 = 貨幣供給 10 5.2.貨幣需要関数 (問1) 貨幣供給量が増加したら、利子率はどう変化する? ・ M1 ⇒ M’1 に増加 ・ 均衡点は E から E’ へ ・ 利子率は r1 ⇒ r’1 まで低下 ⇒ 貨幣供給量の増加は、利子率を低下させる 11 5.2.貨幣需要関数 (問2) GDP が増加したら、利子率はどう変化する? ・ GDP の増加は、貨幣需要を増加させる (Y=L(Y, r)) ⇒ 曲線 LL が右にシフト ・ 均衡点は F から F’ へ ・ 利子率は r2 ⇒ r’2 に上昇 ⇒ 貨幣需要の増大を抑えるために、利子率が上昇した 12
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