中部地区ナノテク総合支援 豊田工業大学 Nanotechnology Support Project in Central Japan 超微細加工領域における支援成果 平成21年度 トピックス 単一分子検出マイクロ流路チップの開発 単 分子検出マイクロ流路チップの開発 A株式会社ESPINEX, b豊田工業大学 中野圭洋a,亀岡遵a,安池雅之a,梶原建b 【研究目的】 近年,マイクロTASと呼ばれる生化学分析用のデバイスの研究が盛んに行われており, マイクロTASでは試料の送液や検体の検出などに微小な流路系を加工したマイクロ流路 チップが主に用いられている.極微細な加工が要求されるマイクロ流路チップの製造に は,フォトリソグラフィーやエッチングなどの半導体製造用の超微細加工技術の向上が 不可欠であり,㈱ESPINEXは,流路の微細化,基盤の貼り合せ技術の向上に取り組んで きた.ここではそのマイクロ流路の製作及び応用例について紹介する. 【成 果】 図1はマイクロ流路の製作工程を示している.まず,溶融石英ガラス基盤上に微細加 工に適した高解像度のポジティブ型レジストをスピンコートし(a),フォトマスクを用 いてマスクアライナーで露光後に現像する(b).その後,ドライエッチングで深さ 0.5μmの流路を形成し(c),硫酸過水によりレジストを除去する(d).さらに,試料導入 孔を加工した石英ガラス基盤とマイクロ流路を加工した基板を(e)熱溶着し(f),導入孔 上に試料を溜めるリザーバーを接着して(g) 上に試料を溜めるリザ バ を接着して(g),マイクロ流路デバイスを作製した(h).上 マイクロ流路デバイスを作製した(h) 上 述の各工程において,様々な最適化を行い,マイクロ流路中心部において,図2に示し た様に最小流路幅2μm×流路深さ0.5μmの高精度な超微細加工を実現した. 製作されたマイクロ流路チップは,米国のMDアンダーソン癌センター及びテキサス A&M大学との共同研究に使用されている.図3に示すように,試料中の量子ドットで修飾 したタンパク質をマイクロ流路の検出部に導入し,図4に示す光学系を用いて,検出部 を通過したタンパク質の反射光を検出している 検出部は極めて微細に加工されている を通過したタンパク質の反射光を検出している.検出部は極めて微細に加工されている おり,励起光の照射部も充分に小さいため,単一分子レベルの検出が可能となった.ま た,波長毎に複数のAPDを光学系に組み込むことで複数のタンパク質の相互作用も定量 的に解析が可能となった. 図2.マイクロ流路中心部 図1.マイクロ流路の製作工程 (a)-(g),マイクロ流路デバイス(h) 図3.単一分子検出の原理 図4.単一分子検出の光学系概要図
© Copyright 2024 ExpyDoc