京都・先端ナノテク総合支援ネットワーク 京都大学 Kyoto-Advanced Nanotechnology Network 平成19年度 トピックス 超微細加工領域における支援成果 分光センシング用MEMSミラーの研究 香川大学工学研究科知能機械システム工学専攻 井上大輔、大平文和 【研究目的】 位相シフト型分光計に応用するMEMSミラ一を提案し、マイクロファブリケ-ション技 術を用いて製作を行う。垂直型静電櫛歯アクチュエータとヒンジ部を、ミラー周辺部に それぞれ3か所配置した構造とする。可動ミラーを平行に駆動することで可動ミラーか ら反射する光の位相を任意に変化させ、インターフェログラムを取得する。これをフー リエ変換処理することで分光特性を得る。製作したMEMSミラーの特性評価を行い、垂直 方向の変位および可動ミラーの傾斜駆動を確認する。また、単色光源(λ=405nm)を用い て位相シフト型分光計を構成し、その分光特性を確認する。以上の結果をもとに、製作 するMEMSミラーが位相シフト型分光計に適用できるかどうかを判断する。ナノ支援では、 特に駆動特性の測定に協力いただいた。 【成 果】 図1に位相シフト型分光計の原理を、図2に製作したMEMSミラーのSEM写真を示す。基 本構造は、表面Siが25μm、裏面Siが125μm、中間酸化膜が1μm のSOI(Silicon on Insulator)であり、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)プロセスにより製作した。 製作したMEMSミラーの駆動特性として、レーザー変位計により測定した可動ミラーの 変位量とその設計値を図3に示す。3点のアクチュエータに個別に電圧を加えることで 傾斜駆動も行えることを確認した。 可動ミラーを約20μmまで50nmピッチで垂直に駆動させ、得られたインターフェログ ラムをフーリエ変換した結果を図4に示す。光源波長405nmとほぼ同じピーク特性が得 られ、波長分解能も14nmと確認できた。以上の結果、本MEMSミラーは位相シフト型分光 計に適用できることが明らかとなった。 垂直型静電櫛歯アクチュエータ 図1 図3 位相シフト分光計の原理 駆動電圧による可動ミラーの変位量 図2 製作したMEMSミラー 図4 分光計測結果
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