金ナノ構造体におけるプラズモン波動関数の可視化

中部地区ナノテクノロジー総合支援
分子科学研究所
Nanotechnology Support Project in Central Japan
Institute for Molecular Science
平成20年度 トピックス
ナノ計測・分析領域における支援成果:近接場分光イメージング支援
金ナノ構造体におけるプラズモン波動関数の可視化
a北海道大学電子科学研究所, b分子科学研究所
上野貢生a,三澤弘明a,井村考平b,岡本裕巳b
【研究目的】
貴金属ナノ構造は,プラズモン励起により著しい光電場増強効果を示し,高感度セン
サーや光電子デバイス,さらには新奇な反応場の構成要素として近年注目を浴びている。
貴金属ナノ構造/プラズモンの応用においては光増強場の機能を制御することが重要で
あり,そのためにナノ構造の光学特性や光電場の空間構造を理解することが本質的であ
る。本研究では,近接場顕微分光手法により金ナノ構造体のプラズモン波動関数や光電
場
場の空間特性を評価しすることを目的とした。
間特性 評価 す
目的
。
【成
果】
電子線描画法で作成した円盤状金ナノ構造(ナノディスク)において,近接場透過イ
メージによりプラズモン波動関数を直接可視化することに成功した。観測波長によって
は,ドーナツ上の特異な波動関数が見られることが示された。また,近接場透過率が,
プラズモン共鳴波長付近で異常に大きくなるなどの 特異な分光特性も見いだされた
プラズモン共鳴波長付近で異常に大きくなるなどの,特異な分光特性も見いだされた。
これらの結果は貴金属ナノ構造に誘起されるプラズモンによる光電場構造の設計の基礎
として重要性を持つ他,高効率光電変換素子,ナノ光加工,光信号伝送等への応用が考
えられる。
λ=520 nm λ=650 nm 500 nm
λ=775 nm 500 nm
500 nm
電子線描画法でガラス基板上に作成した金ナノディスク(直径 400 nm,厚さ 40 nm)
の近接場透過イメ ジ 観測に用いた光は無偏光 観察波長はそれぞれの左上に示す
の近接場透過イメージ。観測に用いた光は無偏光,観察波長はそれぞれの左上に示す
通り。図の名部は透過光の減少している部分(即ち消光の強い部分)を示す。