2-および4-メチルピリジンボランの安価な新規合成法の確立

東北大学ナノテク融合技術支援センター
Center for Integrated Nano Technology Support
平成21年度 トピックス
分子合成領域における支援成果
2 および4 メチルピリジンボランの安価な新規合成法の確立
2-および4-メチルピリジンボランの安価な新規合成法の確立
a東京薬科大学薬学部, b東北大学理学研究科
横松力a,上田実b
【研究目的】
ピリジンボランは、カルボ二ル加合物の還元的アミノ化反応の還元剤として古くから
利用されているが、爆発性を有することから工業化には問題がある。これに対し、2-
メチルピリジンボランや4-メチルピリジンボランは、ピリジンボランと同等の反応性
を有し、且つ化学的に安定なため、工業化反応にも適用可能である。本研究課題の目的
は、これら化学的に安定な還元剤の安価な大量合成法の確立である。
【成
果】
従来型のピリジンボラン誘導体の合成法は、1)ジボランとピリジン誘導体を反応させる方法、
2)陽イ オ ン交換樹脂存在下でNaBH4 と ピ リジン誘導体を反応させる 方法、 3 )NaBH4 と
CF3COO
C
COOHより調製されるNaBH
より調製される a 3(OCOC
(OCOCF3)をピリジン誘導体と反応させる方法などが知られ
ている。しかしジボランは有毒であること、そして陽イオン交換樹脂が高価であることから、1)
および2)の方法を回避して、3)の方法を基盤として検討を行った。その結果、安価な安息香酸
を用いて反応を行うと、2-メチルピリジンボランと4-メチルピリジンボランがそれぞれ収率よ
く得られることを見い出した。
H 3C
+
CH 3
NaBH 4
+
PhCO 2H
N
H 3C
N
BH 3
N
BH 3
H 3C
N
図1 2-および4-メチルピリジンボラン
BH 3
図2 2-および4-メチルピリジ
ンボランの合成反応