第 4 学年 1 組 算数科学習指導案 指導者 吉本 一洋 1 単元名 わり算の筆算(2)―わる数が 2 けた 2 単元について (1)単元観 ■該当する学習指導要領の内容 〔A 数と計算〕 A(3)整数の除法 (3) 整数の除法についての理解を深め,その計算が確実にできるようにし,それを適切に用い る能力を伸ばす。 ア 除数が 1 位数や 2 位数で被除数が 2 位数や 3 位数の場合の計算の仕方を考え,それらの 計算が基本的な計算を基にしてできることを理解すること。また,その筆算の仕方につい て理解すること。 イ 除法の計算が確実にでき,それを適切に用いること。 ウ 除法について,被除数,除数,商及び余りの間の関係を調べ,次の式にまとめること。 (被除数)=(除数)×(商)+(余り) エ 除法に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり計算の確かめをしたり することに生かすこと。 わり算については,第 3 学年から学習が始まり,第 4 学年の第 3 単元で除数が 1 位数の場合の筆 算の学習でひと通り完成している。本単元では,除数が 2 位数で,被除数が 2~3 位数の計算方法 に進んでいく。その際,商をたてる段階で商の見当をつけたり,修正したりすることがある点につ いて理解していく。筆算の各段階の意味を理解していくにあたり,既習である 1 位数でわる計算方 法を基にして,暗算を中心に処理したり,具体物を用いて計算の仕方を考えたりしていく。さらに, 仮商のたて方や修正の仕方,空位のある計算なども学習していく。そして,被除数と除数に同じ数 をかけても,被除数と除数を同じ数でわっても商は変わらないというわり算の性質を,具体的な数 を通して理解させていく。 (2)単元の系統 第 3学 年 4)わり算 ・除法の意味と演算記号 ・九九を1回適用する除法計算 ↓ 7)あまりのあるわり算 ・九九を1回適用してできる除法計算 ・余りと除数の大きさの関係 ・答えの確かめ方 ↓ 10)大きい数のわり算 ・(何十)÷(1位数)の計算 ・商が2位数になる簡単な除法計算 第 4学 年 3)わり算の筆算(1) ・(2~3位数)÷(1位数)の筆算形式 ・倍と除法の意味の拡張 ・1位数でわる除法の暗算 ↓ 6)わり算の筆算(2) ・(2~3位数)÷(2位数)の筆算形式 ・仮商のたて方と修正の意味 ・除法について成り立つ性質 ↓ 12)小数のかけ算とわり算 ・(整数,小数)÷(整数)の筆算形式 ・小数倍の意味 第 5学 年 5)小数のわり算 ・小数でわる除法の意味と計算 ・(整数,小数)÷(小数)の筆算形式 ・小数倍の除法 3 子どもの実態(男子 13 人 女子 13 人 合計 26 人) (1)関心・意欲・態度について 番号 アンケート項目 友達にわかってもらえるように,言葉,数,式,図,表,グラフな どを結び付けて自分の考えを伝えようとしていますか。 友達の考えたことと自分の考えたことを,比べたり,結び付けたり ② しながら聞いていますか。 ① ③ 進んで自分の考えを伝えることをしていますか。 あてはまる どちらかというと あてはまる どちらかというと あてはまらない あてはまらない 9人(35%) 11人(42%) 6人(23%) 0人(0%) 10人(39%) 12人(46%) 4人(15%) 0人(0%) 班やグループ ならできる 12人(46%) 隣同士 ならできる 5人(19%) 全体でできる 8人(31%) できない 1人(4%) 本クラスでは,自分の考えたことを言葉や式などで結び付けて伝えようとしたり,友達の考えと 結び付けて聞いたりすることに肯定的な回答をした子どもが 80%近くいる。「結び付ける」という ことが定着しつつあることがうかがえる。しかし,全体で自分の考えを伝えることができると回答 した子どもは 31%と 3 分の 1 程度にとどまっている。学習内容が難しくなってきていることもあ り,みんなの前で進んで発表しようという気持ちには,なかなかなれない実態が浮かび上がってく る。普段の授業から,間違えた考え方も,学習を理解していく上で大切なことであるという雰囲気 づくりをしていきたい。また,全体での発表者には偏りが見られる一方,班やグループでならでき るという子どもは半分近くいるので,ペアトークを意図的に取り入れ,一人一人が「わかった」と 理解できる機会を増やすことで,発表につなげられるようにしていきたい。 (2)実態調査について (ⅰ)既習問題について(以下正答率) 1 計算をしましょう(筆算) 。 ①78÷3 答え 26 26 人(100%) ②249÷3 答え 83 26 人(100%) 答え 7 7 人( 27%) 誤答 70 14 人( 54%) 答え 24 12 人( 46%) 誤答 240 4 人( 15%) 2400 4 人( 15%) (ⅱ)未習問題について(以下正答率) 1 くふうして次の計算をしましょう ①560÷80 ②7200÷300 既習問題では,1 位数でわる筆算については全員ができていた。習熟度別の学習などで問題 練習を積み重ねてきた成果が見られた。 未習問題では,①よりも桁数の多い②の方が,正答率が高かった。①については図で説明し ている子どももいたが,機械的に 0 を省いて答えを求めているのではないかと考えられる。正 答を出せなかった子どもも,桁数の間違えがほとんどであり,わり算そのものができていない 訳ではなかった。単元を通して,なぜ 0 を省いて考えることができるのか,他にも同じように 簡単に計算できる方法や問題があるのではないかといった考え方を広めていきたい。 4 研究仮説,めざす子どもの姿との関連 (1)研究仮説 考えを結び付ける場面を設定すれば, 算数的な表現力・思考力を育てることができるだろう。 (2)本単元でめざす子どもの姿 わり算の筆算を,式や図などと結び付けて表現したり,計算の決まりを使って考えたりするこ とができる。 わり算の性質を,複数の式どうしを結び付けて考え,性質を見出すことができる。 算数的な表現力・思考力を育てるための手だて ★わり算の筆算を,既習の知識を基にして計算させるようにする。 ★もとにする式を倍にしたり,わっていったりする中で,式と式を結び付けられるようにする。 「1 何十でわる計算」では,既習の(1,2 位数)÷(1 位数)のわり算を基にして,(何十)÷(何十), (何百何十)÷(何十)などの計算を,暗算を中心に処理する方法を学習する。10 を基にして考えると, 60÷20 は 6÷2 に等しくなり,(1 位数)÷(1 位数)の計算に帰着させることにより,九九を 1 回適用 することによって商が求められることを理解させる。余りのある場合も 10 を基にして考えている ことは変わらないことに留意させる。ここで扱う,除数,被除数を 10 でわっても商は変わらないと いう考え方は,本時の学習に直接つながる内容なので,丁寧に押さえていきたい。 「2 2 けたの数でわる筆算(1)」では,(2~3 位数)÷(2 位数)=(1 位数)について学習する。ま ず,わる数が何十ではない場合のわり算を取り上げ,具体物を用いて計算の仕方を考えさせる。筆 算での処理の仕方については, 除数の一の位を 0 とみて商の見当をつけ,仮商をたてる方法を扱う。 余りがあるわり算についても方法は同じであるが,既習である検算もできることを理解させる。次 に,仮商をたてると商が大きすぎる場合(過大商),商が小さすぎる場合(過小商)を扱い,商を 1 ず つ減らしたり,増やしたりする仕方を指導し,その場にふさわしい方法で商を修正し,真の商を見 つけられるように習熟させていきたい。 「3 2 けたの数でわる筆算(2)」では,(3 位数)÷(2 位数)=(2 位数)について学習する。まず, 商のたつ位の理解を重視し,なぜその位に商がたつのかを筋道を立てて考えさせていきたい。次に, 商が空位になる場合を扱う。形式的な理解に起因する誤りが目立つ内容なので,わり算の意味に立 ち戻り,意味と形式のつながりを大切にした指導をしていきたい。さらに,(3 位数)÷(3 位数)の計 算にもふれ,第 5 学年以降の円周率 3.14 の乗除計算につなげていく。 本時で扱う「4 わり算のせいしつ」では,わり算の性質を,具体的な数を通して理解させる。ま ずは,商が等しいわり算の式をつくって並べ,被除数と除数に同じ数をかけたりわったりしても, 商は変わらないということを,式どうしの関係から理解させる。この性質は,第 5 学年の小数の除 法計算の基礎となるものなので,きちんと理解させたい。次に,末尾の 0 の処理を理解させる。単 に,わられる数,わる数の 0 を消すという形式だけでなく,わり算の性質との関連づけを重視して 指導していきたい。 5 単元の目標 【関心・意欲・態度】 (2〜3 位数)÷(2 位数)の除法の計算について,既習の基本的な計算を基にで きることのよさに気づき,学習に生かそうとしている。 【数学的な考え方】 (2〜3 位数)÷(2 位数)の除法の仕方について,見積もりや除法の性質,既習 の除法計算を基に考え,表現したりまとめたりすることができる。 【技能】 (2〜3 位数)÷(2 位数)の除法の筆算の手順を基にして,確実に計算すること ができる。 【知識・理解】 (2〜3 位数)÷(2 位数)の除法の筆算の仕方や除法について成り立つ性質につ いて理解することができる。 6 指導と評価の計画(14 時間) 小単元 主な学習内容 何十でわる 問題場面から数量の関係をとらえ,立式する。 計算 60÷20の計算の仕方を考え,まとめる 2けたの数で わる筆算(1) 2けたの数で わる筆算(2) わり算の せいしつ まとめ 時 評価の観点 関 考 技 知 1 ◎ ○ 問題場面から数量の関係をとらえ,立式する。 2 ○ ◎ 84÷21の筆算の仕方を考え,まとめる。 87÷21の筆算をし,検算をする。 3 ◎ ○ 計算練習をする。 86÷23の筆算の仕方を考える。 除数を20(切り捨て)とみて,商の見当をつける。 過大商の場合の仮商修正1回の仕方を理解し,計算練習をする。 4 ◎ ○ 81÷12の筆算の仕方を考える。 過大商の場合の仮商修正2回の仕方を理解し,計算練習をする。 78÷19の筆算の仕方を考える。 5 ○ ◎ 過小商の場合の仮商修正の仕方を理解し,計算練習をする。 87÷25の筆算の仕方を考える。 過大商の場合と,過小商の場合の筆算の仕方を比べ,自分が仮商を 6 ◎ ○ たてやすい除数の処理の仕方を考える。 153÷24の筆算の仕方を考える。 7 ◎ ○ 計算練習をする。 問題場面から数量の関係をとらえ,立式する。 8 ◎ 345÷21の筆算の仕方を考え,まとめる。 計算練習をする。 9 ◎ 476÷15で,過大商の場合と,過小商の場合の筆算の仕方を比べる。 941÷23,960÷16の筆算の仕方を考え,計算する。 732÷216の筆算の仕方を考える。 10 ◎ ○ 216を200とみて,仮商をたてて計算する。 商が等しいわり算の式を見比べて除法の性質について考える。 11 ◎ 除法の性質をまとめる。 (本時) 24000÷500の筆算の仕方を考え,末尾に0のある数の除法の簡便な筆 算の仕方をまとめる。 12 ◎ ○ 2700÷400の筆算の仕方と,末尾に0のある数の除法での余りの求め 方を考える。 「力をつけるもんだい」に取り組む。 13 ◎ 「しあげ」に取り組む。 14 ◎ 7 本時の指導(11/14) (1)目標 ・被除数,除数の両方に同じ数をかけても,両方を同じ数でわっても,商は変わらないことを理解し, 表現できている。 (2)展開 (★算数的な表現力・思考力を育てるための手だて) 過程 問 題 〈数学的な考え方〉 学習活動と内容 支援と評価 備考 1 素材を知る。 計算をしましょう。 把 ・わられる数とわる数をくじで引いた数 にすることを伝える。 握 ○商が 4 になる計算をする。 8 ・12÷3=4 分 ・24÷6=4 ・48÷12=4 ・出し方を工夫し,子どもの気持ちを引 くじを 引く箱 きつけるようにする。 ・3 つ目の式を提示する途中で, 「何が入 るかな?」と問い,規則性を見出させ る。 2 学習問題を設定する。 等しい商になるわり算をつくるには, どうすればよいだろう。 自 ○商が 4 になる式をつくる。 力 〈予想される子どもの考え〉 解 ・4×(わる数)=(わられる数) 決 ・64÷16=4 7 ・108÷27=4 分 ・96÷24=4 ・式をかくためのカードをたくさん用意 し,子ども達にかかせていく。 ・かかせたカードは回収し,比較検討の 時に黒板にはっていく。 など ・4 の段を使って考える。 ・かいていく中で規則性を見出せた子ど ・4÷1=4 もがいるか,机間指導をしながら見て ・8÷2=4 いく。カードにかかせ,発表の用意を ・12÷3=4 させる。 ・16÷4=4 ・20÷5=4 ・24÷6=4 ・考えをかけた子どものノートを書画カ メラで撮影する。 ・28÷7=4 ・32÷8=4 ・36÷9=4 など ○どのようにして式をつくったのかを言葉で 表現する。 ・ 「どう考えてつくったの?」と声をかけ ていく。 カード 比 4 お互いの考えを発表し,話し合う。 較 ○考えを結び付けながら発表したり,聞いた ・調べたわり算の性質を,式や「わられ 検 りする。 る数」 「わる数」 「商」という言葉を用 討 ・4 に適当な数をかけて考えた。 いて発表させるようにする。 15 ・4 の段を使って考えた。 分 ・わられる数とわる数を倍にして考えた。 ○わり算の性質を理解する。 ①わられる数とわる数を 2 倍,3 倍,…… にしても,商は等しい。 カード 書画カ ・子どものノートを書画カメラで写し, メラ テレビで確認する。 テレビ ・式を書いたカードや,答えの 4 のカー ドを複数用意し,並べ替えが容易にで きるようにしておく。 12÷3=4 ×2↓ ↓×2 ★子どもにカードを貼らせた段階で,ど 24÷6=4 う考えて式をならべたのかを問いか ×2↓ ↓×2 ける。よくわかっていないようならペ 48÷12=4 8÷2=4 アトークをとりいれる。 ・2 倍と 3 倍をひとまとまりとしたり, ×3↓ ↓×3 2 倍の 2 回分を 4 倍としたりといった 24÷6=4 考えも予想されるので,柔軟に対応し ×3↓ ↓×3 ていく。 72÷18=4 ②わられる数とわる数を同じ数でわって も,商は等しい。 ★子どもから性質につながる考えが出 なかった時は,教師の方で提示する。 36÷9=4 その際は,教師がどう考えてならべた ÷3↓ ↓÷3 のかを問い,ペアトークで考えさせ 12÷3=4 る。 ÷3↓ ↓÷3 プリン 4÷1=4 ○①の考えをプリントで確認する。 12÷3=4 ×2↓ ↓×2 24÷6=4 ×2↓ ↓×2 48÷12=4 ×2↓ ↓×2 96÷24=4 ト ・□に入る数や言葉,矢印を考えさせる。 ・矢印を用いて式と式を結び付ける作業 を通して,わり算の性質に気づかせて いく。 ○わかったことを確認する。 ・わられる数とわる数に同じ数をかける。 ・わり算の「決まり」だということを確 認する。 ・わられる数とわる数を同じ数でわる。 適 5 適用問題を解く。 用 ○わり算の性質を使って,商を求めずに計算 12 する。 分 240÷80 と商が等しい式は,どれでしょう。 〈数学的な考え方〉 被除数,除数の両方に同じ数をかけ ても,両方を同じ数でわっても,商は ①2400÷800 変わらないことを理解し,表現できて ×10↑ ↑×10 いる。 240÷80 ★240÷80 をもとにして,式と式を結び ②240÷8 付けるように支援する。 そのまま↑ ↑÷10 240÷80 ・×や÷のどの方法でもよいが,矢印の 方向はそろえることを確認する。 ③ 24÷8 ÷10↑ ↑÷10 240÷80 ・わられる数を 2 でわり,わる数を 2 倍 する問題を与え,数だけでなく計算の 種類にも注目させるようにする。 ④480÷40 ×2↑ ↑÷2 240÷80 ま 6 本時のまとめをする。 と わり算で等しい商の式をつくるには, め わられる数とわる数に同じ数をかけた 3 り,同じ数でわったりするとよい。 分 7 感想を書く。 ・学習して思ったこと,感じたことをノ ートに書かせる。 (4)板書計画 プリン ト
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