第5学年3組 算数科学習指導案 指導者 小松 雅紀 1 単元名 分数と小数,整数の関係 2 単元について (1)単元観 ■該当する学習指導要領の内容 〔A 数と計算 〕 A(4)分数 (4) 分数についての理解を深めるとともに,異分母の分数の加法及び減法の意味について理 解し,それらを用いることができるようにする。 ア 整数及び小数を分数の形に直したり,分数を小数で表したりすること。 イ 整数の除法の結果は,分数を用いると常に一つの数として表すことができることを理 解すること。 本単元で扱う分数と小数については,第 4 学年で小数の仕組みについて,分数の学習では真分数, 仮分数,帯分数の意味や大きさの等しい分数,加減計算を学習してきている。これらをふまえて第 a 5 学年では,分数の意味として,2 つの整数 a,b(0 でない)について a÷b の商がbという分数で表 a せること(商分数),また,bは a÷b の結果を表すことを扱う。商を分数で表すことによって結果の 処理が簡単になり,どんな場合でも結果を正確に表すことができる。そして,除法の結果を分数で 表すことの理解を前提として,小数倍の見方を分数倍の見方に拡張し,第 6 学年の分数の乗除計算 へとつなげていけるようにする。また,分数,小数,整数の相互関係に着目させることにより,数 の概念の理解をいっそう深めていく。小数,整数を分数で表したり,分数を小数,整数で表したり することを扱うが,ここでは数の表し方についてその形を形式的に扱うことがねらいではない。分 数は任意の単位分数のいくつ分で数を表すが,小数,整数は十進位取り記数法により数を表す。表 現するためのルールや表し方は違うが,分数,小数と整数を数として統合的にとらえられるように していく。 (2)単元の系統 第4学年 10)小数のしくみ ・小数の位取り(1/1000の位までの小数) ・小数を10倍,1/10にしたときの位の移り方 ・小数の加減計算 ↓ 13)分数 ・真分数,仮分数,帯分数の意味 ・仮分数,帯分数の関係 ・大きさの等しい分数 第5学年 1)整数と小数 ・整数,小数の十進数としての統一 ・整数,小数を10倍,100倍,1/10, 1/100にしたときの位の移り方 ↓ 8)分数と小数,整数の関係 ・商としての分数の意味 ・分数倍の意味 ・分数,小数,整数の相互関係 ↓ 9)分数のたし算とひき算 ・同値分数のつくり方 ・「約分」「通分」の意味 ・異分母の分数の加減計算 ・分数と小数の加減混合計算 ・分数を用いた時間の表し方 第6学年 5)分数のわり算 ・分倍数 (第一,二,三用法) 3 子どもの実態(男子 15 名 女子 11 名 合計 26 名) (1)関心・意欲・態度について 番号 アンケート項目 友達にわかってもらえるように,言葉,数,式,図,表,グラフな どを結び付けて自分の考えを伝えようとしていますか。 友達の考えたことと自分の考えたことを,比べたり,結び付け ② たりしながら聞いていますか。 ① あてはまる どちらかというと あてはまる どちらかというと あてはまらない あてはまらない 12人(46%) 13人(50%) 1人(4%) 0人(0%) 17人(65%) 7人(27%) 2人(8%) 0人(0%) 全体でできる 9人(35%) ③ 進んで自分の考えを伝えることをしていますか。 班やグループならできる 隣同士ならできる できない 15人(57%) 2人(8%) 0人(0%) アンケートの結果を分析すると,本クラスでは,言葉や図,表などを使って自分の考えを表現し ていると肯定的に回答した子どもは,90%を超えている。しかし,アンケート項目にあるように「友 達にわかってもらえるように」できているかというと疑問が残る。肯定的に答えた子どもの中には, 相手を意識せず,ノートに書いてあることをただ発表するだけの子がいるからである。相手を意識 した表現の仕方を育てていくために,今自分が(図の表の)どこを説明しているのか指し示しながら 説明できる子どもを育てていきたい。アンケート結果からもわかる通り,全体で自分の考えを伝え られる子どもが少ないので,ペアトークやグループ発表などを通して全体の中で考えを伝えられる 子どもにしていきたい。また,毎日の授業では,子どもたちが説明したくなるような場を設定し, 意見が活発に発表し合えるような学級作りをしていきたい。 (2)実態調査について (ⅰ)既習問題について(以下正答率) 1 0 0 □に当てはまる分数を書きましょう。 0.1 0.2 1 10 0.3 3 10 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 5 0.9 9 ① 10 1 1 ② 10 ①26 人(100%) ②26 人(100%) 2 1L のジュースを 2 人,5 人で等しく分けたときの 1 人分を答えましょう。 答えは,小数と分数で書きましょう。 2 人のとき 5 人のとき ①式 1÷2= 1 2 または 0.5 ①19 人( 73%) ②分数で表すと 1 5 L または L 2 10 ③小数で表すと 0.5L ③23 人( 88%) または 0.2 ④19 人( 73%) ④式 1÷5= 1 5 1 2 ②19 人( 73%) ⑤分数で表すと 5 L または 10 L ⑤18 人( 69%) ⑥小数で表すと 0.2L ⑥20 人( 77%) (ⅱ)未習問題について(以下正答率) 1 3m のテープを 5 等分した1こ分の長さは何 m ですか。 答えを分数と小数で表しましょう。 ①分数で表すと 3 6 5 10 , m ① 9 人(34%) ②小数で表すと 0.6m ② 15 人(57%) ③図でかきましょう。 ③ 1 人( 3%) 3m 0.6m 0.6m (誤答例) 0.6m 0.6m 0.6m 3m 3 3 3 5 5 5 m m m 3m 1 1 1 1 1 5 5 5 5 5 m m m m m 既習問題については,1 のように数直線上に小数で表されているものを分数で表す問題では, 全員の子どもが正答することができた。一見,分数と小数が結び付いているようであるが,2 の ように数直線というヒントがない文章問題になると正答率が落ちている。中には,小数では正解 することができるが分数にすることができない子どもが 8 人いた。このことから,分数と小数が 同じ数として結び付いていない子どもが多くいることが分かる。既習事項の理解が不十分な子ど ももいるので,練習問題を通して,定着を図らなければならない。 未習問題についても特に,分数で表すことができない子どもが多くいた。既習の学習を活用し 6 て考えると, 「0.6」を「10」と表すところなのだが, 「5 等分した 1 こ分」という言葉に注目して 1 「5」と間違えている子どもが 10 人いた。図をかかせる問題では,3mを 5 等分するところまでは かけていても,その一つ分まで正確にかけている子どもは 1 人だった。本単元では,もとにする 大きさに着目して正確に分数で表すというところから学習が始まるので,図と式などを結び付け ながら丁寧に理解を深めたい。また,単元を通して,図や数直線をかくことにより,分数と小数, 整数を数として統合的にとらえられる子どもを育てたい。 4 研究仮説,めざす子どもの姿との関連 (1)研究仮説 考えを結び付ける場面を設定すれば, 算数的な表現力・思考力を育てることができるだろう。 (2)本単元でめざす子どもの姿 分数と整数,小数は,表し方は違っても数としては等しい値を表しているということを,図 や数直線を使って表現し,説明することができる。 算数的な表現力・思考力を育てるための手だて ★分数や小数を図や数直線で正確に表すための定規を適宜与え,表現させるようにする。 ★教師が意図的に誤答を示してゆさぶりをかけたり,先に図のみを提示したりすることによっ て,根拠をもとに考えを表現できる場面を設定する。 本単元では,2 つのことを目標としている。1 つ目は整数の除法の結果は分数を用いると 1 つ の数で表せることや,分数を小数で表したり,小数,整数を分数の形になおしたりすることがで きること。2 つ目は分数と整数,小数は表し方は違っても数としては同じものを表していること を捉えられるようにすることがである。ただ形式的に除法の結果を分数になおすことができる, 整数を分数になおすことができるではなく,図や式,数直線を使って学習を進め,理解を深めら れるようにする。また,子どもたち自身もそれらの方法を使って,表現できるように指導する。 「3 子どもの実態」からも分かる通り,小数と分数は数として,切り離して考えている子ども が多いと考えられる。それを結び付けるのが本時での目標である。本時では,同値の分数と小数, 2 つの数を扱う。2 つの数が出てきたとき,関係性を正しく捉えるためには図や数直線を正確に かく必要がある。したがって,単元を通して子どもたちには,分数や小数を図や数直線で正確に 表すための定規を適宜与え,表現させたい。また,既習事項を活かして,図や数直線をかき,子 どもたちの考えの中から,視覚的にも改めて分数と小数は表し方は違っても数としては同じもの だということを味わわせたい。 5 単元の目標 【関心・意欲・態度】 整数の除法の商を分数で表せることのよさに気づき,分数と小数,整数を相 互の形で表し,学習に用いようとする。 【数学的な考え方】 分数と整数,小数は,表し方は違っても数としては同じものを表しているこ とをとらえることができる。 【技能】 a b a b a÷bを , を a÷bとみたり,分数を小数で表したり,小数,整数を分数 の形になおしたりすることができる。 【知識・理解】 整数の除法の結果は分数を用いると 1 つの数で表せることや,分数と小数, 整数の関係を理解する。 6 指導と評価の計画(6 時間) 小単元 主な学習内容 時 整数の除法の商は分数を用いて表せることを理解する。 1 わり算と 練習問題に取り組む。 2 分数 分数倍の意味について考える。 3 同値の分数や小数について,それらは等しいということについ 4 分数と小 て考える。 (本時) 数,整数 分数を小数で表す仕方を理解する。 の関係 小数や整数を分数で表す仕方を理解する。 5 まとめ 学習内容の定着を確認し,理解を確実にする。 6 評価の観点 関 考 技 知 ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ 7 本時の指導(4/6) (1)目標 ・分数と小数の関係について図や数直線を根拠に,表記は違っても数としては等しい値を表して いるということを表現し,説明することができる。 〈数学的な考え方〉 ・分数を小数で表すことができる。 〈技能〉 (2)展開 (★算数的な表現力・思考力を育てるための手だて) 過程 学習活動と内容 問 1 素材を知る。 題 ○分数と小数を提示する。 把 分 備考 問題掲示用 105 3 1 4 150 5 2 10 m 0.5m 0.6m m 0.7m 0.4 m 握 7 支援と評価 m ○仲間分けをする。 ・友だちの考えがどんな方法かを考え 3 1 5 2 (0.5m 0.6m 0.7m 0.4m)( m m 105 m 150 4 させるようにする。 m) 10 ・小数と分数に分けた。 ○教師が仲間分けをしていき,どのような仲 ・子どもたちが分かりにくいと思われ 間分けなのか考える。 るものから提示していく。 ★「分数と小数だから同じ答えではな 仲間分けをしました。 105 3 1 4 150 5 2 10 m 0.7m m 0.6m m 0.5m いね。」というようにゆさぶりをか m0.4 け,子どもたちが自分の考えを伝え ・大きさが同じものに分けている。 たいという意欲を引き出す。 2 学習問題を設定する。 3 ・今日は m と 0.6m について考えると 5 分数と小数の関係を調べるにはどうし たらよいのだろう。 いうことを伝える。 3 見通しをもつ。 ・図をかいて説明をする。 自 力 解 ・定規を使う場合には,どのような定 ・数直線を使う。 規が必要かを聞く。 3 ○0.6m と m はどんな数なのかおさえる。 5 決 4 自力解決をする。 8 <予想される子どもの考え> はなく,どのように発表すれば友だ 分 ①図で考える。 ちが納得するか考えるように促す。 0 0.6m ・図や数直線を用いて表現するだけで 1 ★10 等分,5 等分する定規を用意し, 定規 必要に応じて与える。 ・図や数直線がかけない子どもには線 3 0 m 5 1 の入ったヒントカードを用意してお く。 ヒントカード 3 ・図をかいて比較すると,0.6m と m は,同じ 5 数ということが分かる。 ・ ②数直線で考える。 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 1 5 2 5 3 5 4 5 1 3 ・数直線をかいてみると,0.6m と m が同じ位 5 置になったので,2 つは同じ数ということ が分かる。 ③式で考える。 3 ・ 5 = 3÷5 =0.6 5 お互いの考えを発表し,話し合う。 ○図の発表 比 ・私は, 「これとこれ(2 つの図)を使って考え 較 検 ました。 」 0 1 0.6m 討 18 ★最初に図だけを提示させ,図の値を 10 等分 不完全にすることにより,この後,ど 5 等分 んな説明になるかを考えさせる。 した図 ・教師が意図的に1mの長さが異なる (掲示用) 3 0.6m と m の図を貼り,違う値のよう 5 分 3 0 m 1 5 に見せ,子どもたちにゆさぶりをか け,説明したいという気持ちにさせ る。 ・大きさが違う。 ・ 「1」をそろえなければいけない。 ・ペアトークを取り入れ,なぜ違って しまったのかについて話し合う。 ○正確な図を提示する。 ・2 つを比べると,同じ位置に数があるので, 同じ大きさの数だということがわかる。 ・2 つの図を重ねると,ぴったり重なる。 3 ○ m の中には 0.1m が 6 こ入っていること 5 を確認する。 1 ・じゃあ m の中には 0.1m が 2 こだね。 5 〈数学的な考え方〉 分数と小数の関係について 図や数直線を根拠に,表記は 違っても数としては等しいも のを表しているということを, 表現することができる。 (ノート,児童観察) 3 数直線 5 (掲示用) ・ぴったり重なるということは, m の中に は 0.1m が 6 こ入っている。 ○数直線の発表 0.6 0 1 ・小数と分数で表し方は違うが,同じ 大きさの数のことを言っていること を実感の伴った理解につなげるよう 0 3 5 1 にする。 3 ・やっぱり2つは同じ大きさを表す数なん ・0.6 と は「=」で結べることを確認 5 する。 だ。 ○素材に戻り,0.7m 105 m について考える。 150 3 ・0.6 と5のように図や数直線でかける か問い,難しさを感じさせる。 ・分数をわり算の式にする方法を想起 ○分数を小数で表す方法をまとめる。 させ,分数を小数で表す方法をおさ える。 適 6 適用問題を解く。 用 ・数直線上の□に当てはまる数字を書こう。 〈技能〉 7 1 0 分 0 1 4 1 分数を小数で表すことがで きる。 ・早く終わった子どもには,別の問題 を用意しておく。 ・1÷4=0.25 ま と め 5 分 7 本時のまとめをする。 分数と小数の関係を調べるには,図や 数直線のめもりをたてにそろえたり,式 で求めたりして調べればよい。 8 感想を書く。 (4)板書計画 ・学習して分かったこと,思ったこと をノートに書かせる。 掲示物 (既習)
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