第5学年2組 算数科学習指導案 指導者 長尾 裕一 1 単元名 小数のわり算 2 単元について (1)単元観 ■該当する学習指導要領の内容 〔A 数と計算〕 A(3)小数の乗法,除法 (3) 小数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらを用いることができるようにす る。 ア 乗数や除数が整数である場合の計算の考え方を基にして,乗数や除数が小数である場合 の乗法及び除法の意味について理解すること。 〔算数的活動〕 (1) ア 小数についての計算の意味や計算の仕方を,言葉,数,式,図,数直線を用いて考え, 説明する活動 本単元で学習する除法については,第 3 学年で整数の除法を,第 4 学年で除数が整数である場合 の小数の除法を学習してきている。本単元では,これまでの除数が整数である場合から一歩進めて, 除数が小数である場合のわり算の意味(除法の意味の拡張)と,その計算方法を理解させることを 意図している。そして,計算に習熟し活用できるようにすること,比較量と基準量が小数のときも 何倍かは除法で求められることを理解させた上で,倍を表す数と比較量を使って,基準量を求める 方法を考えさせる。また、小数倍の扱いに関連して,帯小数倍による比較を取り扱う。小数倍の意 味の理解を深めるとともに,小数倍による比較の意味についても理解することが,割合の学習への 素地をつくることにつながると考える。 (2)単元の系統 第 4学 年 12)小数のかけ算とわり算 ・小数に整数をかける計算 ・小数を整数でわる計算 ・わり進むわり算 ・小数倍の意味 3 第 5学 年 4)小数のかけ算 ・小数をかける乗法の意味と計算の仕方 ・計算法則の小数への拡張 ・小数倍の意味の拡張 (第一,第二用法) ↓ 5)小数のわり算 ・小数でわる除法の計算の意味と計算の仕方 ・「千のくらい」の用語と位取り (第一,第三用法) ↓ 15)分数のかけ算とわり算 ・分数に整数をかける計算 ・分数を整数でわる計算 子どもの実態(男子16人 女子 10人 (1)関心・意欲・態度について 合計26人) 第 6学 年 4)分数のかけ算 ・分数をかける乗法の意味と計算の仕方 ・逆数の意味と求め方 ・計算法則の分数への拡張 ↓ 5)分数のわり算 ・分数でわる除法の意味と計算の仕方 ・分数倍の意味の拡張 (第一,第二,第三用法) 番号 アンケート項目 あてはまる どちらかというと あてはまる どちらかというと あてはまらない あてはまらない 友達にわかってもらえるように,言葉,数,式,図,表,グラフな 12人(46%) 13人(50%) 1人(4%) どを結びつけて自分の考えを伝えようとしていますか。 友達の考えたことと自分の考えたことを,比べたり,結び付け ② 17人(65%) 7人(27%) 2人(8%) たりしながら聞いていますか。 全体でできる 班やグループならできる 隣同士ならできる ③ 進んで自分の考えを伝えることをしていますか。 9人(35%) 15人(58%) 2人(8%) ① 0人(0%) 0人(0%) できない 0人(0%) アンケート結果を分析すると,絵や図を用いて,自分の考えを導き出そうと頑張っている子 どもが多く見られる。また,自分の考えと友達の考えを結び付けながら聞こうとしている姿も 見られる。しかし,自分の考えを伝えたり,全体に発表したりすること,つまり表現力に課題 を感じている子どもが多い。その点を育てていくための手立てとして,まず,ノートに自分の 考えを筋道立てて書けるようにする。その際に,式のみを書くのではなく,立式の根拠をわか りやすく書けることを目指していきたい。次に,書いたことを筋道立てて話す練習を友達の発 表の際には,話し手を見て聞くことや,発表を最後まで聞くことなども指導し,安心して発表 できる温かな学級の雰囲気作りにも努めたい。 (2)実態調査について ⅰ 既習問題について(以下正答率) 1 2 わりきれるまで計算しましょう。 ①9.6÷4 答え 2.4 ① 23 人(88%) ②3.36÷48 答え 0.07 ② 20 人(77%) ③55.8÷124 答え 0.45 ③ 13 人(62%) しょう油が 7.2Lあります。9 本のびんに等分すると,1 本分は何Lになりますか。 式 7.2÷9 式 24 人(92%) 答え 0.8L 答え 19 人(73%) ⅱ 未習問題について(以下正答率) 1 ①リボン 1.5mを買ったら,代金は 240 円でした。このリボン 1mのねだんは何円ですか。 式 240÷1.5=160 答え 160 円 式 10 人(38%)答え 10 人(38%) ②上の式になったわけを数直線,図,言葉の式を使って説明しましょう。 ・ (代金)÷(リボンの長さ)=(1mのねだん) ・・・ 3 人(12%) ・0.5mあたりのねだんは,240÷3=80 なので1mあたりのねだんは,80×2=160 2 ・・・ 1 人(4%) あるノートと筆箱の,2000 年のねだんと 2010 年のねだんは,それぞれ下のようになっ ています。2000 年から 2010 年にかけてねだんの上がり方が大きいのはどちらといえます か。数直線や図を書いて,理由もつけて答えましょう。 ノート 筆箱 <2000 年> 120 円 → <2010 年> <2000 年> 150 円 1500 円 <2010 年> → 1530 円 ・ノート・・・ 150-120=30 ・筆箱・・・・1530-1500=30 答え 両方ともその差は 30 円なので ねだんの上がり方は同じ・・・11 人(42%) 既習事項に関しては, (小数)÷(整数)の計算は 4 年生で学習した内容だが,正答率がそれほ ど高くない。単純に小数点の付け忘れも見られるが,整数のわり算の筆算の練習も含めて,引き 続き問題練習を繰り返し,定着を図っていかなければならない。 未習事項について1に関しては,立式,答えともにできていた子どもは,クラス全体の 38%に あたる 10 人である。そのうち,自分なりの根拠をもとに説明ができていたのは,4 人であった。 前単元の「小数のかけ算を考えよう」から,なぜその式になるのか,そして式の数値は何を意味 するのかという点を意識させ,数直線や図と式を結び付けて考えさせるようにしていきたい。2 に関しては,差を求めて「同じ」と答えた子どもが 40%いた一方,「倍」や「割合」の考え方で 解いている子どもは,一人もいなかった。本時の課題を解決していくことは,子どもたちにとっ て困難な面も予測されるが,前時までの学習の中で「倍」の意味をしっかりと理解させた上で, 本時に臨みたい。 4 研究仮説,めざす子どもの姿との関連 (1)研究仮説 自分の考えと友達の考えを結び付ける場面を設定すれば, 算数的な表現力を高めることができるだろう。 (2)本単元でめざす子どもの姿 数量の関係や除法の演算の意味を数直線と結び付けて考え,的確に表現することができる。 (3)本時でめざす子どもの姿 本時で育てたい算数的な表現力 自分の考えと友達の考えを結び付けるための手だて ☆小数倍を使って比較する際に,式の根拠を数 ★黒板で,計算式と数直線で同じ数値を色分けし 直線や4マスの関係表とを結び付けて考え, て囲んだり,矢印を引いて結ばせたりして,考 的確に表現することができる。 えを結び付ける。 ★わり算の式を先に提示することで,商の意味と 数直線を結び付ける。 本単元の指導にあたっては,まず,数直線や言葉の式をもとにして,除法の意味を「単位量を求め る計算」へと拡張する。除数が整数の場合,等分除の考えを用いることができるが,除数が小数の場 合になると,意味が通じず説明ができない。除数が小数の場合にも除法が使えるようにするためには, 除法の意味を拡張していく必要がある。小数の除法の計算の仕方を考える場合では,既習を活用し, 子ども自ら見出していけるようにしたい。そのためには,除数と被除数に同じ数をかけても商は変わ らないという計算のきまりを活用していきたい。また,小数倍と比較量がわかっているときに基準量 を求めるときは,数直線に数量の関係を表して□を使ってかけ算を立式し,その逆算としてわり算で 求める方法を扱う。これは,単に言葉の式にあてはめて立式し,答えを求めるのではなく,数直線と 式を結びつけて数量の関係に帰着させ立式してほしいからである。数量の関係を数直線に表す力は, 第5学年で学習する「単位量当たりの大きさ」や「割合」など様々な単元の学習で有効に働くもので ある。 本時では,比較量や基準量が小数の場合も,何倍かを除法で求められることを学習してきた上で, ここでは何倍かを求めるだけではなく,小数倍を用いて比較できることを学習する。まず,何を求 める問題なのか,子どもから問を引き出すようにしたい。 「記録の伸び方」という言葉についても, 丁寧に扱いたい。本時で重視したいのは,倍で比較することを考え,その意味をとらえさせること である。そのために,わり算の式と数直線を結び付けて考えることで,その意味を一層深く理解で きるようにしていきたい。 5 単元の目標 【関心・意欲・態度】 除数が小数の場合について,計算の意味を整数の場合をもとにより広く一般 化して用いられるように考えたり,計算の仕方を十進位取り記数法の仕組みを もとに考えたりしようとする。 【数学的な考え方】 除数が小数である場合の除法の意味や計算の仕方について,数直線や除法の 性質などを用いて考え,説明しまとめることができる。 6 【技能】 除数が小数の場合の除法の計算をすることができる。 【知識・理解】 除数が小数の場合の除法の計算の意味や計算の仕方について理解する。 指導と評価の計画(13時間) 小単元 主な学習内容 (整数)÷(小数)を自分の考えで立式する。 その式になる理由を,数直線や言葉の式などを用いて考え,説明する。 300÷2.5の計算の仕方を考える。 300÷2.5計算の仕方をまとめる。 小数の わり算 小数の 倍と わり算 (小数)÷(小数)の立式を考える。 7.65÷6.3の計算の仕方を考える。 (小数)÷(小数)の筆算の仕方をまとめる。 2.34÷3.9,1.8÷2.4,8÷2.5の筆算の仕方を考える。 練習問題に取り組む。 240÷1.2と240÷0.8の計算をし,商と被除数の大きさを比べる。 純小数でわると,商が被除数より大きくなることをまとめる。 2.5mのリボンを,1人に0.7mずつ配ると何人に配れて,リボンはどれだけ余るかを考える。 小数の除法の,余りの小数点をうつ位置についてまとめる。 1.5Lの砂の重さが2.5㎏のときの,1Lの砂の重さは何㎏か考える。 わり切れないときの商の表し方について考え,上から2桁の概数で求める。 4.5mの重さが0.9㎏のホースについて,ホース1mの重さ,及びホース1㎏の長さを求める式を, 数直線を活用しながら考える。 3.6㎞,1.8㎞は2.4㎞の何倍か(2.4×□)を求める方法を考える。 比較量,基準量が小数の場合でも倍を求めるには,除法を使うことをまとめる。 630gが基準量の1.8倍にあたるときの,基準量の求め方を考える。 基準量を求めるには,□を使って乗法の式に表して考えればよいことをまとめる。 わり算の計算をして,記録の伸び方を倍を使って比べる。 まとめ 「力をつけるもんだい」に取り組む。 「しあげ」に取り組む。 時 評価の観点 関 考 技 知 1 ◎ 〇 2 ◎ ○ 3 ◎ 〇 4 〇 ◎ 5 ◎ 〇 6 〇 7 8 ◎ ◎ ◎ 9 ◎ 10 11 (本時) 12 13 〇 ◎ ○ ◎ ◎ 7 本時の指導(11/13) (1)目標 ・倍の考え方による比較について,数直線や4マス関係表を用いて考えることができる。 〈数学的な考え方〉 (2)本時で育てたい算数的な表現力 ・小数倍を使って比較する際に,式の根拠を数直線や4マス関係表とを結び付けて考え,的確に 表現することができる。 (3)展開 (☆育てたい算数的な表現力 ★自分の考えと友達の考えを結びつけるための手だて) 過程 問 学習活動と内容 支援と評価 備考 1 素材を知る。 題 立ち幅跳びをしました。去年の記録を 把 もとにして,記録が大きく伸びたのは, (黒板用) 握 ななさんとまおさんのどちらですか。 (配布用) 10 分 去年 ・素材 今年 ゆみ 30cm ⇒ 60cm なな 60cm ⇒ 90cm まお 100cm ⇒ 130cm 〇初めにゆみの記録のみを提示し,30cm 伸び ・差による比較の考え方を取り上げて ていること,別の見方をすると2倍に伸び 認めた上で,30cm 伸びたという以外 ていると言えることをとらえる。 の見方を促していく。 ○ななとまおの記録を確認し,2人の記録の ・ゆみは2倍になったとも言えること 伸び方を比べる問題であることを確かめ る。 をおさえる。 ・倍に着目した発言を取り上げ,倍で ・去年の記録を基準量と考えればよい。 表すとななとまおの記録の伸びに違 ・基準量が違うから,伸びた長さは同じでも いが出てきそうなことを,子どもと 記録の伸びは同じとは言えないのではな いか。 の対話の中から丁寧に確認する。 ・去年の記録を基準量として考える と,2人の基準量が違うという点か ら本時の学習問題へと導いていく。 2 学習問題を設定する もとの数が違う場合の記録の伸び方 は,どのように比べればよいのだろう か。 3 自力解決をする。 ① 数直線を使って考えた。 自 力 解 ・解決方法が見つからない子どもに 0 60 90 (cm) 0 1 1.5 (倍) 0 100 なな 決 10 分 130 (cm) まお 0 1 (倍) 答え 2組の方が増え方が大きい。 1.3 は,数量関係をとらえやすくするた 線 めに,図や表に表すよう助言する。 配布用 ・差が同じであることにこだわってい る子どもに対しては,否定はせず,別 の視点として,倍を使って比べられ ないかを示唆する。 ★式のみで考えた子どもには,1.5 と 1.3 が何を意味するのかを数直線や ② 4マスの関係表で考えた。 なな 4マス関係表を根拠に書くよう指導 ×1.5 長さ 60 90 1 1.5 していきたい。 (cm) 倍 ×1.5 まお ×1.3 長さ(cm) 100 130 倍 1 1.3 ×1.3 <数学的な考え方> ③ 去年の数をもとにして,わり算を計算し, 何倍になっているかを考えた。 式の根拠を数直線や4マスの関係 表で表すことができる。 (ノート) なな ・・・ 90÷60=1.5 まお ・・・130÷100=1.3 答え ななさんの方が伸び方が大きい。 5 お互いの考えを発表し,話し合う。 ・①の数直線で関係を表すと,1.5 倍の 1.3 比 倍の伸び方の違いがわかりやすい。 較 ・②の4マスの関係表を書くと,基準量を 検 1として考えれば,何倍になっているの 討 かがすぐに求められる。 15 ・③のわり算の式は,数直線の値を求める 分 のにも,4マスの関係表を求めるのにも 同じ式が使われている。 ・差は同じ 30cm だったけど,倍を使って 比べると,伸び方の違いがわかる。 ・数直 ・それぞれの考え方のどこが同じでと こが違うのかという視点で話し合い を進める。 ・商の 1.5 や 1.3 が何を表しているの かということについて,式と数直線 を結び付けながら,その意味を丁寧 に吟味していきたい。 ☆小数倍を使って比較する際に,その 意味を数直線と式を結び付けて考 え,的確に表現することができる ・もとにする長さが違っていても,基準量 を1とみれば,小数倍で比べられる。 ★黒板で,計算式と数直線で同じ数値 を色分けして囲んだり,矢印を引い て結ばせたりして,考えを結び付け る。 適 用 6 適用問題を解く。 問 ○ 長尾先生は,立ち幅跳びで,去年が ・記録が 42cm 伸びたことを確認した ・配布 5 210cm で,今年は 252cm でした。どの 後, 「先生が一番伸び方が大きいとい 用問 分 くらい記録が伸びたでしょうか。 うことだね。 」と発問し,倍の考え方 題 で伸び方の大きさをとらえるように ・黒板 式 252÷210=1.2 答え 1.2 倍 長さ 0 210 252 する。 ・式の根拠を,数直線で表すよう指示 (cm) する。 〈算数的な表現力・数学的な考え方〉 数直線と倍を求める式を結び付けて 倍 0 ま 1 1.2 (倍) 表現することができる。 7 本時のまとめをする。 と もとの値段が違う場合の記録の伸び方 め は,倍の考え方を使って比べるとよい。 5 分 8 感想を書く。 ・学習して思ったこと,感じたことを ノートに書かせる。 (4)板書計画 用 問 題
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