1週分

GMA3W2-S1J1- 01
1週目
線分比と面積比
GMA3W2-S1J1- 02
45分
学習時間
線分比と面積比
月 日
学習日
突然ですが,問題です。みなさん,次の問題は解けますか?
問題
右の図のようなßABC がある。このとき,次の問い
A
に答えなさい。
⑴ 頂点 A から辺 BC に下した垂線と辺 BC との交点
を H とする。BC = 5 cm,AH = 4 cm であるとき,
ßABC の面積を求めなさい。
⑵ 辺 BC 上に BD:CD = 2:3 である点 D をとる。
B
C
ßABD の面積が 4 cm のとき,ßADC の面積を求め
2
なさい。
⑴は簡単ですね。辺 BC を底辺とみると高さは AH なので
1
× 5 × 4 = 10 (cm2)
2
が答えになります。では,⑵はどうでしょうか。⑴のように底辺や高さに関する情報が与えら
れていませんので,三角形の面積を求める公式
1
×(底辺)×(高さ)
2
を利用することができなさそうです。では,どうやって求めればよいのでしょうか。実は,⑵
は次の「POINT」で紹介する関係を利用して解く問題なのです。
POINT
高さが等しい 2 つの三角形の面積比は,底辺の比に等しい。
A
右の図で,
ßABD:ßADC = BD:DC
B
⑵はこの関係を利用すると
ßABD:ßADC = BD:DC
4:ßADC = 2:3
2ßADC = 12
ßADC = 6 (cm2)
と求めることができます。
6
D
C
GMA3W2-S1J1- 03
実は⑵のような問題の解き方がすぐに思いつけるかが,高校入試で高得点をとれるかどうか
のポイントなのです。それはなぜか? ズバリこの求め方は
学校ではきちんと学習しないもの
だからなのです。それなのに,高校入試では応用問題としてよく出題されます。ですので,今
回は「POINT」の関係が使いこなせるようになることを目標として演習をしていきます。
「で
は早速,問題演習を…」と言いたいところですが,まずは次の
例題 を読んでみましょう。
例題
右の図のような AD™BC の台形があり,対角線 AC
A
と BD との交点を E とする。AD:BC = 1:2,ßABE
D
E
の面積が 4 cm2 のとき,ßEBC の面積を求めなさい。
B
この
C
例題 ですが,考え方として,下の図のように
A
D
E
B
C
と,色がついた三角形に着目することで,次のように答えを導くことができます。
解答
AD™BC,AD:BC = 1:2 であるから
AE:EC = 1:2 三角形と比より。
よって,
ßABE:ßEBC=AE:EC 「POINT」
より
4:ßEBC = 1:2
ßEBC = 8 (cm2) (答)
今回の
例題 は比較的どの三角形に着目するかがわかりやすいものでしたが,難しい問題
になればなるほど
「POINT」の性質が利用できる図に着目できるか
が勝負のポイントになります。次のページからの「練習問題」や「入試問題にチャレンジ」,
さらには 3 週目の問題演習でいろいろな図形の問題に取り組み,「図に着目できる」力を養っ
ていきましょう。
7
GMA3W2-S1J1- 04
練習問題
解答は12~13ページ
1
右 の 図 の よ う なßABC が あ る。 点 D は 辺 BC 上 の 点 で
A
BD:DC = 2:3,点 E は線分 AD 上の点で AE:ED = 1:2
である。
E
このとき,ßADC とßABE の面積の比 ßADC:ßABE
を最も簡単な整数の比で表しなさい。
B
8
D
C
GMA3W2-S1J1- 05
2
右の図のような平行四辺形 ABCD がある。点 E は辺 BC
A
D
の中点,点 F は辺 DC 上の点で DF:FC = 2:3 である。こ
のとき,四角形 AECF の面積を S,平行四辺形 ABCD の面
F
積を T とするとき,S:T を最も簡単な整数の比で表しなさ
い。
B
9
E
C
GMA3W2-S1J1- 06
次は,「入試問題にチャレンジ」です。今回の「入試問題にチャレンジ」は,前の問題の考
え方や結論を利用するものを集めました。高校入試では,このようなパターンの出題が多いの
で,今回はそれに挑戦しましょう。
入試問題にチャレンジ
解答は14~15ページ
1 【岐阜県入試問題】
右の図のßABC で,点 D は辺 AB の中点であり,点 E
A
は辺 AC 上の点で,AE:EC = 2:1 である。線分 BE と
D
CD との交点を F,点 D を通り AC に平行な直線と BE と
F
の交点を G とする。
E
G
次の⑴,⑵の問いに答えなさい。
B
⑴ ßCEF ≡ßDGF であることを証明しなさい。
⑵ ßABC の面積はßDGF の面積の何倍であるかを求めなさい。
10
C
GMA3W2-S1J1- 07
2 【愛知県入試問題】
図で,四角形 ABCD は正方形であり,E は辺 BC 上の点で,
A
D
BE:EC = 1:3 である。また,F,G はそれぞれ線分 DB と
AE,AC との交点である。
AB = 10 cm のとき,次の①,②の問いに答えなさい。
G
① 線分 FE の長さは線分 AF の長さの何倍か,求めなさい。
F
B
② ßAFG の面積は何 cm2 か,求めなさい。
11
E
C
GMA3W2-S1L1- 01
1週目 練習問題の解答
1
解答
ßABC = S とおく。BD:DC = 2:3 より
BC:DC = 5:3
であるから
ßABC:ßADC = BC:DC
より
S:ßADC = 5:3
ßADC =
3
S
5
ここで,
ßABD =ßABC −ßADC =
2
S
5
であり,AE:ED = 1:2 より
AD:AE = 3:1
であるから
ßABD:ßABE = AD:AE
より
2
S:ßABE = 3:1
5
ßABE =
2
S
15
よって,
ßADC:ßABE=
2
3
S: S = 9:2 (答)
15
5
解説
本問は,次のように「線分比と面積比」が利用できる三角形の組に着目しました。
A
A
E
E
③
B
D
⑤
C
B
12
D
C
GMA3W2-S1L1- 02
2
解答
ßABE の面積を U とおくと,点 E は辺 BC の中点より
ßAEC =ßABE = U
また,平行四辺形は,対角線により合同な 2 つの三角形に分けられるから
ßACD =ßABC = 2U ßABC =ßABE +ßAEC
そして,DF:FC = 2:3 より
ßAFD:ßACF = DF:FC = 2:3
が成り立つから
ßACF =
3
6
ßACD = U
5
5
よって,
S =ßAEC +ßACF =
11
U
5
T =ßACD +ßABC = 4U
これより
11
S:T = U:4U = 11:20 (答)
5
解説
本問は「線分比と面積比」を利用するために,補助線 AC を引くことで,下の図で示した 2
組の三角形に着目しました。
A
D
A
D
②
F
F
③
B
E
C
B
E
C
このように「補助線を引いて考える」ことがあることも覚えておいてください。
13
GMA3W2-S1L1- 03
1週目 入試問題にチャレンジの解答
1
解答
⑴ ßCEF とßDGF において,
EC™DG より,平行線の錯角は等しいから
∠FCE =∠FDG …… ①
∠CEF =∠DGF …… ②
次に,仮定より AE:EC = 2:1 であるから
EC =
1
AE …… ③
2
また,DG™AE で,点 D は辺 AB の中点であるから
GD =
1
AE …… ④ 2
ßBAE に着目する。
③,④より
EC = GD …… ⑤
よって,①,②,⑤より, 1 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
ßCEF ≡ßDGF (証明終)
⑵ ßDGF の面積を S とおくと,⑴の結果より
ßCEF =ßDGF = S 合同な三角形の面積は等しい。
DG™AE で,点 D は辺 AB の中点であるから,点 G は線分 BE の中点である。さらに,⑴
の結果より,EF = GF である。よって,
EF:FB = 1:3
これより
ßCEF:ßCFB = EF:FB = 1:3
となるから
ßCFB = 3 S ßCEF とßCFB は,直線 BE 上にある辺を
底辺とみると,高さが等しくなる。
高さが等しい三角形の面積比は底辺の比に等しい。
ßCFB = 3ßCEF
そして,AE:EC = 2:1 より
ßBCE:ßBEA = EC:AE = 1:2
となるから
ßBEA = 8 S ßBCE とßBEA は,直線 AC 上にある辺を
底辺とみると,高さが等しくなる。
高さが等しい三角形の面積比は底辺の比に等しい。
ßBEA = 2ßBCE = 2 (ßCEF +ßCFB )
よって,
ßABC = 12 S A
ßABC =ßBEA +ßCEF +ßCFB
であるから,ßABC の面積はßDGF の面積の
D
12 倍 (答)
③
B
14
8S
F①
G 3S
E
S
C
GMA3W2-S1L1- 04
2
解答
① 四角形 ABCD は正方形であるから
AD = BC = CD = AB = 10 cm
AD™BE であるから,平行線と比の関係より
AF:FE = AD:BE
であり
BE =
1
5
BC = (cm)
1+3
2
であるから
AF:FE = 10:
5
= 4:1
2
すなわち,線分 FE の長さは線分 AF の長さの
1
倍 (答)
4
② ①と同様にして
BF:FD = 1:4
であるから
BF =
1
BD
5
また,点 G は対角線 BD の中点であるから
BG =
1
BD
2
したがって,
3
1
1
FG:BD = BD − BD ⎞:BD =
BD:BD = 3:10 2
⎠
10
5
となるから
ßAFG:ßABD = FG:BD = 3:10
が成り立つ。よって,
ßAFG =
3
3 1
⎞
ßABD =
×
× 10 × 10 ⎠= 15 (cm2) (答)
10
10 2
15
FG = BG − BF