血友病性関節症における臨床スコアとX線スコア:これらのスコアと自覚的

Abstract: T. Wallny, et al.
Abstract
血友病性関節症における臨床スコアとX線スコア:これらのスコアと自覚的
疼痛および日常活動性との相関度
Clinical and radiographic scores in haemophilic arthropathies: how well do these correlate to subjective pain status and daily activities?
T. Wallny, L. Lahaye, H. H. Brackmann, L. Heβ, A Seuser and C. N. Kraft
補充療法の 1 つとして予防投与が確立される前に
関節)との間にも有意な相関が認められた。自覚的に
成人した血友病患者では,しばしば多発性の重症血
疼痛があるとされた関節の数と臨床・X 線所見で障
友病性関節症がみられる。本研究の目的は,血友病
害が認められた関節の数とはよく相関した。他覚的
性関節症に起因する自覚的障害が,他覚的な臨床・X
(臨床・X 線所見)により多くの関節障害が認められ
線パラメーターとどの程度相関するかを明らかにす
た患者では,持続的疼痛,抑うつおよび疼痛緩和薬
ることである。79 例の血友病患者を対象に,質問票
への依存を訴える頻度がより高かった。また,他覚
および visual analogue scale を用いて関節痛の状態,
的に膝関節や足関節に障害が認められた場合,疼痛
治療法および日常生活への影響の程度に関して調査
はより強く,日常生活もより制限される傾向がみら
した。世界血友病連合(WFH)の Advisory Committee
れた。血友病性関節症に起因する疼痛症状の治療は,
により提案されたスコアリングシステムを用いて臨
不十分であることが多い。これらのスコアおよび質
床的評価を行った。Pettersson スケールを用いて 60
問票は,血友病患者の疼痛状態をより明確にする上
例の X 線像を評価した。統計学的に比較した結果で
で有用であり,関節評価および長期観察で貴重な情
は,疼痛強度と臨床所見との間には有意な相関が認
報をもたらすと考えられる。
められ,疼痛強度と X 線所見(両膝関節および右足
Fig. 1. VAS versus clinical score, right knee.
Haemophilia (2002), 8, 802–808
© Blackwell Publishing Ltd.
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Fig. 2. VAS versus radiographic score, right knee.