制御システム設計 第5回 ~フィードバックとPID制御系(1)~ 東京都市大学 工学部 機械システム工学科 野中謙一郎 http://www.cl.mse.tcu.ac.jp/lab/edu/dcs/ 1.2 1.2 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 1 P制御 0.8 10.0 0.6 1.0 0.8 定常偏差 0.4 0.2 0.2 0 0 1 2 PI制御 0.6 0.4 0 PID制御 1 3 4 5 0 1 2 3 4 5 図8.7 P・PI・PID制御の応答 P制御の結果の応答のグラフ P制御は定常偏差とオーバーシュートがトレードオフ(左),PIDは積分要素で定常偏差を抑制可能(右) 第5回 制御システム設計 1 フィードバック制御系 フィードバック制御系 目標値と制御量の誤差を用いて 計算した操作量で誤差を抑制 → の伝達関数 1 ⋅ 1の場合 1 第5回 制御システム設計 2 フィードバック制御系の特性 フィードバック系の伝達関数 → の伝達関数 : : 1 安定性 伝達関数 の分母多項式 の根(特性方程式 0の解)の実部が全て負 定常偏差 誤差 1 最終値定理により, の収束値 ∞ を計算 ∞ lim lim → → オーバーシュート・振動性 伝達関数 の分母多項式(特性方程式) の根の虚部が大きいと振動が発生 特に が2次系の場合は,減衰係数 が1以上で振動無 第5回 制御システム設計 3 フィードバック制御系のシミュレーション課題(前回課題) 下図のフィードバック制御系で制御ゲイン を調整して,目標値と制御量の誤差 の定常偏差を可能な限り小さくする.ただし,オーバーシュートは生じさせない. 下記手順でゲイン の範囲を求め,シミュレーションで確認せよ. 1. 目標値から制御量までの伝達関数 を求めよ.(表2.2の変形を用いる) 2. 伝達関数 の極から安定な の範囲を求めよ. 3. 定常偏差を最終値定理から計算せよ. の分母多項式から,オーバーシュートを生じない の範囲を求めよ. 4. 伝達関数 5. 様々なK に対して,目標値をステップ入力としたフィードバック系のシミュレーションを 行い,2~4の結果に一致することを確認せよ. Wordのレポートにまとめて,WebClassで提出する. 1.2 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 1 フィードバック制御系のブロック線図【例8.1】 0.8 10.0 0.6 1.0 定常偏差 0.4 0.2 0 0 1 2 3 4 5 制御量の応答のグラフ 第5回 制御システム設計 4 課題の解説(1,2) 1.目標値から制御量までの伝達関数 を求めよ.(表2.2の変形を用いる) 2.伝達関数 の極から安定な の範囲を求めよ. 1. 1 10 1 10 10 1 10 1 10 11 10 1 0 の解の実部が全て負 ⇔ 2. 0かつ ∴伝達関数 (理由) 3.5.2 ラウス表による安定判別 1 の極から安定な 1 の範囲は, 3.5.3 フルビッツ行列式による安定判別 0 特性方程式の根の実部が全て負 ⇔ ラウス表の1列目が全て正 ⇔ 0 かつ 0 1 3.5.3 ラウスの安定判別法(p.57) 3.5.4 フルビッツの安定判別法(p.61) 0 となるので,小行列式は 1 と計算できる.これらが全て正になる条件より, 0 かつ 第5回 0 制御システム設計 5 課題の解説(3,4) 3.定常偏差を最終値定理から計算せよ. の分母多項式から,オーバーシュートを生じない 4.伝達関数 の範囲を求めよ. 3. 目標値 制御量 10 11 10 伝達関数 1 1 目標値=単位ステップ入力 1 最終値定理 ∞ lim lim → → 目標値u 1 4. ∞ 11 1 1 1 0.8 10.0 0.6 1.0 定常偏差 0.5 計算 0.4 0.2 10 10 1 11 ⇔ 11 2 係数を比較して オーバーシュートを無 ⇔ 第5回 1 1 で 0.5 10 で 1/11 ≅ 0.091 1 1 1 10 1との定常偏差 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 10 0 → 2次系の標準形 2 1.2 1/ ステップ応答の収束値 1 ∞ lim lim → 1 計算 ≅ 0.091 11 lim → 11 1⇔ 2 2 0 0 1 2 3 4 5 制御量の応答のグラフ 10 1 ⇔ 11 2 1 ⇔ 制御システム設計 11 2 10 1 ⇔ 81 40 2.025 6 フィードバック制御系のシミュレーション演習(前回課題より) 下図のフィードバック制御系で制御ゲイン を調整して,目標値と制御量の誤差 の定常偏差を可能な限り小さくする.ただし,オーバーシュートは生じさせない. 下記のゲイン の範囲をそれぞれシミュレーションで求め,上記の を求めよ. a. フィードバック系が安定になる の範囲を求めよ.(制御量が収束する) b. 定常偏差(誤差の収束値)と の関係をプロットせよ.(下図に0.5刻み) c. オーバーシュートを生じない の範囲を求めよ.(プログラムで表示する極も確認) 1.2 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 1 フィードバック制御系(P制御)のブロック線図【例8.1】 定常偏差 0.8 10.0 0.6 1.0 定常偏差 0.4 2.0 0.2 0 0 1 2 3 4 5 制御量の応答のグラフ 1.0 WebClassに 確認結果を入力 1 0.5 0 0.5 第5回 1.0 1.5 2.0 2.5 制御システム設計 7 フィードバック制御系のシミュレーション演習(解説) 下図のフィードバック制御系で制御ゲイン を調整して,目標値と制御量の誤差 の定常偏差を可能な限り小さくする.ただし,オーバーシュートは生じさせない. 下記のゲイン の範囲をそれぞれシミュレーションで求め,上記の を求めよ. a. フィードバック系が安定になる の範囲を求めよ.(制御量が収束する) b. 定常偏差(誤差の収束値)と の関係をプロットせよ.(下図に0.5刻み) c. オーバーシュートを生じない の範囲を求めよ.(プログラムで表示する極も確認) 1.2 Reference KP=1.00 KP=10.00 オーバーシュート 1 フィードバック制御系のブロック線図【例8.1】 定常偏差 1で 1 定常偏差∞ ∞ 0.8 10.0 0.6 1.0 0.4 0.2 2.0 振動 (b) 第5回 . (a) 1 0.5 0 0 1 2 3 4 5 制御量の応答のグラフ 1.0 (c) 定常偏差 0 0.5 1.0 1.5 制御システム設計 2.0 a. b. 2.5 c. 1 増加で定常偏差は 零に収束 2.025で振動無し 8 PID制御系(8.2節) P制御(Proportional control) 誤差に比例した操作量 (8.4) 比例ゲイン 大で誤差小(不安定化) 定常偏差が残る PI制御(Proportional‐Integral control) 誤差に比例+積分した操作量 (8.5) 定常偏差は零,収束が遅い,オーバーシュート PID制御(Proportional ‐Integral‐Derivative control) 誤差に比例+積分+微分した操作量 (8.11) 1.2 定常偏差は零,過渡応答を改善 1 P制御 PID制御系のシミュレーション(レポート) 定常偏差は可能な限り小さく.オーバーシュートは無. P制御,PI制御,PID制御のベストのパラメータを求める. PI制御,PID制御で定常偏差が零になる理由を説明 (最終値定理で誤差 の収束値 ∞ を計算) PID制御 0.8 PI制御 0.6 0.4 10 11 0.2 0 0 1 2 3 10 4 5 図8.7 P・PI・PID制御の応答 2014年前期 制御システム設計 10
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