2 これだけは守ろう! 食中毒予防のポイント 細菌性食中毒

2 これだけは守ろう! 食中毒予防のポイント
細菌性食中毒は,食中毒原因細菌に
細菌は死ぬ
よって汚染された飲食物によって起こ
るもので,全発生件数の40~60% が
細菌は増殖
しない 細菌性の食中毒です。
細菌性食中毒は,
細菌はゆっ
くりと増殖
する ①清潔
低温
60℃
温度を低く
して菌を増
やさない
45℃
細菌は
活発に
増殖する
25℃
5℃
菌が増えて
いる時間の
余裕を与え
ない
清潔
細菌は
増殖しない
②迅速
迅速
食品につく菌の数を
できるだけ少なく
③加熱または冷却
の食中毒予防の三原則
を守れば,大部分は防止することができます。
細菌性食中毒発生過程と予防の原則
冷 却
加 熱
増 殖 抑 制
汚染防止
殺菌・毒素の破壊
食中毒
生 体
喫 食
増 殖
食 品
汚 染
食中毒菌
迅 速
冷蔵庫の温度管理
衛生指導の基本は手洗いから
●手洗いをし損ないやすい部位●
最も手洗いをし損ないやすい部位
やや手洗いをし損ないやすい部位
・先入れ先出しの厳守
・庫内温度点検
・保冷食品量は冷蔵庫容積の 60∼70%ぐらいまで
●解凍した物は
早く食べる
再冷凍は危険
●アイスメーカー
手の甲
●冷凍食品
−15∼−18℃
ぐらい
●隔測温度計で庫
内温度確認
手のひら
●衛生学的手洗いのテクニック●
●肉類・魚介類
0∼3℃ぐらい
①手のひらと
手のひらを擦る
②右手のひらで左手の甲に,
また,その反対の動作を
もう一方の手にも行う
③指を組み合わせ,
手のひらと手の
ひらを擦る
●調理食品は専用
の清潔な容器に
入れ覆いをする
●肉汁等の落下防
止,相互汚染防
止を
●調理食品
5℃ぐらい
●野菜・果実類
8℃ぐらい
④反対の手のひら
で爪まで擦る
⑤親指の間を手の
ひらで包むよう
に擦る
⑥指先は,手のひらの
中央で円を描くよう
に擦る
(INFECTION CONTROL Vol.4 No.5 をもとに作成)
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●袋詰容器に入れ
乾燥脱水防止
第 1 章 居宅・グループホームでの「食事作り」のポイント
3 台所の点検
衛生管理が表17の①〜⑥までのそれぞれに行き届いているか,調理作業終了時に必ずチェック
しましょう。
●表17●調理作業終了時の台所の点検
①調理用器具
前の汚れが残っていると,カビの発生やゴキブリのエサになる。使用後の管
理が食中毒防止の第一歩である。
②まな板・包丁
家庭では何種類もの用意はできない。まな板は表・裏を活用,包丁は使用の
つど,十分洗浄しておく。
③タオル・ふきん
いずれも日光消毒など殺菌済みのものを,不足のないようにそろえておく。
④ごみの管理
水気の多い生ごみは調理のつどきれいに袋に集め,ゴキブリ等が侵入しない
よう口元を輪ゴム等で止めておく。
⑤調理台の整理
調理作業を円滑に短時間に行うには,余分な道具等が置かれていないことが
大切なポイントである。
⑥洗剤等の用意
十分量の洗剤が,清潔を維持する上で不可欠である。
食品の安全管理に役立つ表示あれこれ
消費期限と賞味期限の違いは?
「消費期限」
品質が保たれる期限が短く,保存がきかない
食品に表示します。
●お弁当,調理パン類,生肉,鮮魚,生めん,
生菓子類など
(開封していない状態で,表示されている保存
方法に従って保存したときに,食べても安全な
期限)
【消費期限・年月日】表示例
サンドイッチ 調理パン
惣菜 弁当など
平成○年○月○日(○時)
名 称:調理パン ハムサンド
保 存 方 法:10℃以下(要冷蔵)
消 費 期 限:平成○○年○月○日
原 材 料 名:食パン(小麦・卵を含む)
,
ロースハム(豚肉
を含む)
,マヨネーズ(卵・大豆を含む)
,か
らし入りファットスプレッド(乳成分を含む)
添 加 物:調味料(アミノ酸等)
,リン酸塩(Na)
,乳
化剤,カゼイン Na,糊料(増粘多糖類,
アルギン酸エステル)
,酸化防止剤(V.C)
,
香料,
イーストフード,
着色料(コチニール,
クチナシ,カロテノイド)
,発色剤(亜硝酸
Na)
,くん液,香辛料抽出物,V.C
内 容 量:150g
栄 養 成 分:たんぱく質 11.5g,脂質 21.4g,炭水
化物 35.8g,ナトリウム 936mg(食塩
相当量 2.4g),エネルギー 382kcal
製 造 者 氏 名:○○食品株式会社
製造者所在地:東京都○○区○○町○ー○ー○
*消費期限の時刻表示は任意
「賞味期限」
品質変化が比較的ゆるやかで,保存がきく食
品に表示します。
●缶・瓶詰,即席めん,冷凍食品,お茶,調 味料など
(開封していない状態で,表示されている保存
方法に従って保存したときに,おいしく食べら
れる期限)
※ただちに食べられなくなる期限ではありません。
【賞味期限(3 か月以内のもの)
・年月日】表示例
食肉加工品
魚肉練り製品
牛乳・乳製品など
平成○年○月○日
名 称:プレスハム
原 材 料 名:豚肉,食塩,砂糖,香辛料
添 加 物:リン酸塩(Na),カゼイン,調味料
(アミノ酸等),発色剤(亜硝酸 Na)
原料原産地名:旭川市
でん粉含有率:5%
内 容 量:400g
賞 味 期 限:平成○○年○○月○○日
保 存 方 法:10℃以下(要冷蔵)
原 産 国 名:日本
製 造 者:株式会社○○食品
(なお,「冷凍食品・即席めん・レトルト食品」など,3か月以上品質を保持できるものは,日付まで表示する必要はなく,年月だけの表示で
よいとされています。平成 27 年4月に食品表示法が施行され,表示の規定が変わる可能性があります)
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第 1 章 居宅・グループホームでの「食事作り」のポイント
5 日本全国の主な郷土料理
四季の移り変わりとともに,折々の旬の材料に恵まれている日本。それぞれの地方で,その土地
でとれた自然の産物を使って生まれたのが,郷土料理です。その伝統の味は,親子代々語りつが
れ,受けつがれてきました。全国的に知られているものも含め,主なところをあげてみました。皆
さんの地方では,どのような郷土料理がありますか。
石狩鍋
にしん漬け
三平汁
かど汁
けの汁,ねりこみ(青森)
はらこ汁,わんこそば,ぬっぺ(岩手)
きりたんぽ,しょっつる貝焼き(秋田)
いもっこ汁,納豆汁(山形)
ずんだもち,かきみそ(宮城)
つと納豆,三五八漬け(福島)
ほたるいか料理,ますずし(富山)
かぶらずし,じぶ煮(石川)
越前かに料理,小だいずし,
あられがこ料理(福井)
かに豆腐,こわ飯(鳥取)
もみわかめ,ほてほて茶(島根)
祭りずし,ままかり(岡山)
土手鍋,かせつ,さんぱい(広島)
ちしゃなます,茶がゆ(山口)
東北
北陸
甲信越
東海
中国
近畿
四国
九州
さぬきうどん,ふなのてっぱい(香川)
たらいうどん,そば米(徳島)
伊予さつま汁,にしんのかぶら漬け(愛媛)
かつおのたたき,皿鉢料理(高知)
がん漬け(佐賀)
おきゅうと,鶏の水炊き(福岡)
黄飯,やせうま(大分)
皿うどん,しっぽく料理,ちゃんぽん(長崎)
いきなりだこ,辛子れんこん(熊本)
冷や汁,しいたけ飯(宮崎)
酒ずし,さつま汁(鹿児島)
らふてー,ちゃんぷるー(沖縄)
北海道
関東
こも豆腐,わかさぎ料理(茨城)
しもつかれ,酢豆(栃木)
切り込み,こんにゃく料理(群馬)
いがまんじゅう,さつまいももち(埼玉)
いわしさんが,ピーナッツ煮豆(千葉)
江戸前ずし,佃煮,深川めし(東京)
ぼたん鍋(神奈川)
川煮さけ,けんさん焼き(新潟)
信州そば,はちの子料理(長野)
お焼き,ほうとう(山梨)
麦とろ,わさび漬け(静岡)
いなまんじゅう,かしわ料理(愛知)
ほう葉みそ(岐阜)
えびいも料理,にしんそば(京都)
ふなずし,もろこ料理(滋賀)
船場汁,はもきゅう(大阪)
柿の葉ずし,奈良漬け(奈良)
手こねずし,焼きはまぐり(三重)
径山寺みそ,めはりずし(和歌山)
明石だい,但島牛すき焼き(兵庫)
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6 食文化が育んだ人生の格言・言い伝え
昔の人々は,科学的あるいは学問的な根拠を土台とするのではなく,長い生活の営みを経験して
いく中から,実に納得できる格言や言い伝えを残してきました。
昔のような手作りで,しかも冷蔵庫をはじめとする電化製品のなかった時代,食事に関しても1
つ1つの経験が,後世の人たちへの貴重なメッセージとなって伝えられてきました。
表26,27では,食生活を営む上で食事と健康に関する格言と,食にまつわる人生の格言・言い
伝えを紹介します。あなたは,これらの格言・言い伝えの中で,いくつ理解することができますか。
●表26●健康・食品衛生・調理法に関する格言
健康に関する見地より
㋐みかんが黄色くなると医者青くなる
㋑こんにゃくは体の砂払い
㋒三里四方の野菜を食べろ
㋓冬至かぼちゃに年とらせるな
㋔腹八分に医者いらず
㋕医食同源
㋐みかんが色づく時期は気候がよい,あるいは体調を整え
病気を防ぐ成分が多いので医者の仕事がなくなる ㋑こ
んにゃくには食物繊維が多いため体の有害物を出してくれ
る ㋒住んでいる土地の約12km四方の野菜を食べれば鮮
度もよく栄養素が多い ㋓かぼちゃの保存は冬至までが
よく,さらに食べれば風邪などにかからない ㋔満腹に
なるまで食べずに八分目に抑えておけば健康によい ㋕
食事に気をつけることが病気予防の最善策である,また薬
と食べ物は根源が同じである
食品衛生に関する見地より
㋖ふぐは食いたし命は惜しし
㋗病は口より入る
㋘花見過ぎたら牡蠣食うな
㋖おいしいふぐは食べたいが毒に当たるのはこわい,利益
などを得たくとも危険があって踏み切れないたとえ ㋗
病気は食べ物が原因で起こることが多い ㋘牡蠣は夏ご
ろになると身がやせて味も落ちる
調理法に関する見地より
㋙魚は殿様に餅は乞食に焼かせろ
㋚うまいまずいは塩加減
㋛うまいものは宵に食え
㋜調味料の入れ方サシスセソ
㋝強火の遠火で炎を立てず
㋞一尺の薪をくべるより一寸のふたをしろ
㋙魚はじっくり焼いたほうがよいのでおっとりした人に,
餅は絶えず返して焦がさないように焼きたいのでせかせか
した人に焼かせる ㋚塩のちょっとした加減で料理の味
が決まる ㋛おいしいものは味が落ちないうちに早く食
べたほうがよい,よいことは早く進めるべき ㋜調味料
は砂糖,塩,酢,しょうゆ,味噌の順に入れるとよい ㋝表面に素早く火を通し,中が乾かず旨みを逃さないよう
焦がさずに魚を焼く方法 ㋞火加減も大切であるが,落
としぶたをすれば味がしみて熱源の節約にもなるので一層
重要
●表27●食にまつわる,人生の格言・言い伝え
㋟あつものに懲りてなますを吹く
㋠魚心あれば水心
㋡いわしの頭も信心から
㋢うどの大木
㋣尾ひれをつける
㋤鴨が葱を背負ってくる
㋥糠に釘
㋦花より団子
㋧桃栗三年柿八年
㋨餅は餅屋
36
㋟度を越して用心深いこと ㋠相手が好意をもてばこち
らも応じること ㋡つまらないものでも信仰すれば尊く
見えること ㋢大きくて立派であるが役に立たないこと
㋣付け足しなどをして話を誇張すること ㋤非常に好都
合であること ㋥全く手ごたえがなく無駄なこと ㋦外観よりも実質を重んじること,風流を解さないこと ㋧物事を成し遂げるにはそれなりの時間がかかること ㋨何事も専門家に任せたほうがよいこと
春
の献立
桜のお花見行事食 ―
満開の桜を楽しみながら 松花堂弁当に春満載
献 立
●主食
ふんわり桜ご飯
●主菜
ぶりの照り焼き
●副菜1
菜の花のごま和え(p.121)
●副菜2
かぼちゃの甘煮
●汁物
花麩のおすまし
one point
ふんわり桜ご飯
エネルギー
264
■材 料 4人分(1人分)
米 …………………………2合(0.5合)
だし汁……………390mL(100mL)
A 酒 ……………………20mL(5mL)
薄口しょうゆ ………20mL(5mL)
たら …………………2切れ(1/2切れ)
たんぱく質
8.7
食 塩
0.2
酒・塩・みりん………………………少々
食紅……………………………………少々
卵 …………………………1個(1/4個)
さやえんどう ………………8枚(2枚)
イクラ…………………………20g(5g)
■作り方
❶ 米とAを合わせ,桜ご飯を炊く。
❷ 鍋にたらがかぶるくらいの水を入れ,酒・塩少々を加え火にかける。沸騰した
らたらを入れ,中まで火を通す。火が通ったら,たらを取り出し,皮と骨を取
り除いて身をほぐす。
❸ ❷の身をほぐしたたらをふきんに取り,ていねいにさらす。
❹ 鍋に❸を入れ,弱火にかけ,さい箸4〜5本で,たらをほぐしながらでんぶ
状にする。酒・塩・みりんをそれぞれ少々入れ,弱火にかけながら水溶きした
食紅で淡いピンク色にする。
❺ フライパンに油を薄くひき,フライパンが熱くなったら,割りほぐしておいた
卵を手早く流し入れ,焼く。火からおろして糸状に切り,錦糸卵を作る。
❻ さやえんどうはすじをとり,ゆでてから斜めに 2 つに切る。
❼ ❶を器に軽く盛り,❹をふんわりとかけ,❺,イクラ,❻を添える。
*錦糸卵は,みじん切りにして散らしてもよい。
:減塩食
40
高血圧症の方の減塩食
食事の味気なさ ―
こんな工夫でおいしい
レシピ
献 立
●主食
ご飯
●主菜
さわらの幽庵焼き(減塩)
●副菜1
じゃがいもの牛乳煮
●副菜2
新キャベツとこんぶのレモ
ン風味
●汁物
もやしとわかめのスープ
●デザート
簡単ブラマンジェ(p.133)
one point
さわらの幽庵焼き(減塩)
エネルギー
160
■材 料 4人分(1人分)
さわら …………………4切れ(1切れ)
しょうゆ…………………40mL(10mL)
みりん(酒)………………40mL(10mL)
油 ………………大さじ1(大さじ1/4)
たんぱく質
14.4
食 塩
1.0
カリウム
454
さやえんどう …………1/2袋(1/8袋)
にんじん………………1/3本(1/12本)
玉ねぎ…………………1/3個(1/12個)
もやし …………………1/2袋(1/8袋)
塩・こしょう…………………………少々
*好みで:レモン……………………適宜
■作り方
❶ さわらは,しょうゆ・みりん(酒)を合わせた調味液に10~15分漬け込んで
おく。
❷ さやえんどうはゆでて長めの千切り,にんじんは細切り,玉ねぎは薄切りにす
る。もやしはひげ根を取る。
❸ ❷の野菜を炒め,塩・こしょうし,器に盛る。
❹ ❸のフライパンに油を足し,調味液を切ったさわらをこんがりと焼き,野菜
の手前に盛る。
*好みで,でき上がりにレモン汁をかける。
:簡単・便利
118
:やわらか調理
:減塩食
:高カリウム食