2. 光線の反射と屈折の法則 pp.5-8

平成 27 年 4 月 23 日
画像科学科「応用光学」
千葉大院融合科学 椎名
2.光線の反射と屈折の法則
2. 光線の反射と屈折の法則 光は直進する。なぜそういいきれるのだろう。
屈折率とはなんだろう。
・光線としての光の振舞い
ニュートンは 1660 年代に行ってい光学研究を集大成し、
「光学」としてまとめた。これは現在でいう
幾何光学であり、レンズや鏡、プリズムの反射や屈折の現象をまとめている。また、光の分散について
も詳しく述べられており、白色光はあらゆる色の光を含むことや色が異なると屈折率も異なることを述
べている。これは当時の光は白色で屈折することで色味を帯びるという考え方を覆すものである。
それまでデカルトによって虹がなぜアーチ状になるかを説明することはできたが、虹になぜ色がつく
のかについてはわからなかった。ニュートンの分散による説明で初めて虹の色を理解することとなった。
直進・・・等速直線運動
直進
→ フェルマーの原理(1661)
反射
「ある 1 点から出た光がもう 1 点に達するとき
光は光学距離が最小となるような経路を取る」
vx
vy
-vy
vx
反射・・・入射光と反射光は鏡像関係。
入射角と反射角は同一。
屈折・・・入射の正弦に対して屈折の正弦は
正確に与えられた比になる。
屈折角は媒質の種類によって変わる。
vx
屈折
vy
→ スネルの法則(1620)
n 1 sin θ1 = n2 sin θ 2
n 1 そもそも屈折率とは、
n12 = n 2 媒質1での光速度 媒質 2 での光速度 (相対屈折率)
5
vx ’
vy ’
n 1 <n 2 平成 27 年 4 月 23 日
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2.光線の反射と屈折の法則
これらの考察から、
レンズの作用、プリズムの分光を説明した。
白色光
プリズム
赤
紫
波長が短い光(青・紫の光)は屈折率が大きくなる。→より大きく屈折の作用を受ける。
ローレンツは個体を電気双極子の集まりとして捉え、物質のもつ分散を説明した。
・全反射
スネルの法則で表される式を変形して、
sin θ1 =
n2
sin θ 2
n1
今、屈折率の高い媒質2( n2 )から媒質1( n1 )へ光が進む場合を考えると、右辺は1より大きくなるこ
とはない。( θ1 ≦90°)例えば、水の屈折率 1.33、空気の屈折率1を使うと、θ2=48.75°となる。
θ1
n 1 n 2 θ2
n 1 <n 2 全反射は光ファイバの伝搬に応用される。伝送損失は 1km で数%。1本の光ファイバの伝送 能力は 100Tbps を超える。無中継伝送で 100km が実用化されている。 6
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2.光線の反射と屈折の法則
・光の反射屈折と偏光 フレネルは光の反射や屈折の性質を偏光の作用と合わせて考察した。物質の境界面での反射や透過を
扱う際に、電場の振幅反射率(もしくは振幅透過率)を考え、境界面と平行な成分、垂直な成分毎にそ
の連続性を考慮した。つまり、入射波に対する反射波・透過波は界面の両側で等しく、入射波は反射波
と透過波の和に等しい。さらに、入射波・反射波・透過波の境界面に平行な成分が等しいとした。スネ
ルの法則もこの考察から導かれる。この考察の結果として、フレネルの反射係数が得られる。
p偏光
反射率
透過率
" n cosθ1 − n1 cosθ 2 %
Rp = $ 2
'
# n1 cosθ 2 + n2 cosθ1 &
2
Tp =
4n1n2 cosθ1 cosθ 2
(n1 cosθ 2 + n2 cosθ1 )2
s偏光
反射率
" n cosθ1 − n2 cosθ 2 %
Rs = $ 1
'
# n1 cosθ1 + n2 cosθ 2 &
透過率
2
Ts =
4n1n2 cosθ1 cosθ 2
(n1 cosθ1 + n2 cosθ 2 )2
s偏光
θB
p偏光
電磁気学的に屈折率を表現することができる。その際、個体に屈折率を当てはめるとそれは 方向性を示すことになり、鉱物の結晶がもつ性質を説明するものとなる。 7
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2.光線の反射と屈折の法則
Test the limits and break through.
自分の限界に挑戦して、乗り越えて行こう。 映 画 「 ア ナ と 雪 の 女 王 」 フレネル係数は垂直入射のときに次式となり、水の場合で 2%、ガラスの場合で 4.4%の反射となる。
"n −n %
Rp = Rs = $ 1 2 '
# n1 + n2 &
2
・ブリュースター角(光を波としてみた性質)
屈折率の異なる物質の界面で反射される光が完全に偏光となる入射角度である。2 つの屈折率の異
なる材質の界面に、ある角度をもって光が入射する時入射面に平行な偏光成分 P-偏光と、垂直な偏光
成分 S-偏光では反射率が異なる。P-偏光はある角度(ブリュースター角)で 0 となり、その後増加す
る。S-偏光は単調に増加する。ブリュスター角は 2 つの材質の屈折率から求められ次式のようになる。 θ B = tan −1 (
n2
)
n1
n1 は入射側材質の屈折率、 n2 は透過側の屈折率である。屈折率が 1.5 のガラスに屈折率 1 の空気中
から入射する可視光のブリュースター角は約 56.3 度である。 ・ホイヘンスの原理による光の反射と屈折の説明
ホイヘンスはニュートンと同時期に“光は波動”であるとして、光の反射や屈折を説明した。光を小
さな波の集まりとして捉え、その波頭が“波面”を表すとして、光の反射、屈折を表現しした。この光
の波動説は光が物の影に回り込む回折現象を説明する上で重要な考察であった。
A ’ v 1 t n 1 n 2 θ1 B ’ n 1 θ1 A n 1 <n 2 θ2 △AA’B、△ABB’は直角三角形。
v 2 t θ2 n 2 B sinθ1= v1t / AB’
sinθ2= v2t / AB’
空気の屈折率 n1 = c / v1
つまり、
媒質2の屈折率 n2 = c / v2
sinθ1 / sinθ2 = v1 / v2 = n12
相対屈折率 n12 = n2 / n1
〜Memo〜
8
n 1 <n 2