ISOL (Isotope Separator On-Line) による オンラインRI製造 (短寿命不安定原子核研究用のウラン光核分裂反応を利用したISOL) 東北大学電子光理学研究センター 光量子反応研究部 須田 利美 1)電子線(γ線)による短寿命不安定核生成 2)電子散乱による不安定核の内部構造研究 3)電子光センター・大強度電子ビームによる原子核研究 共同研究者 東北大学 須田利美、塚田暁、米山俊平、水流輝明、玉江忠明 理化学研究所 若杉昌徳、大西哲哉、市川進一、 原雅弘、堀利匡 立教大学 栗田和好、榎園昭智、戸ヶ崎衛、島倉優人、松尾咲希 長岡科学技術大 原口祐司 山東大学(中国) 王碩 電子ビームを利用した不安定核(RI)生成 T. Ohnishi et al., NIM B317 (2013) 357. 電子ビームによる短寿命不安定核研究のため、ウラン光核分裂反応を利用した不安定核生成装置 (ISOL)を理研RIBFに建設。多様な中性子数過剰のRIを効率的に生成。 ビームパワーは現在 ~ 数 W。1∼2年後に最大1kWでの運用予定。 原子核図表 安定核 ~ 300 存在可能な原子核 ~ 10,000 元素存在比 ウラン核分裂反応を利用した短寿命不安定核生成 J. Benlliure et al. Nucl. Phys. A660 (1999) 87. 電子散乱 による原子核研究 電子ビーム 原子核 標的 原子核構造決定のための最強プローブ 弾性散乱は原子核形状を正確に測定する唯一の方法 陽子(電荷有り) 中性子(電荷無し) 原子核の陽子空間分布 R. Hofstadter ノーベル物理学賞 (1961) 原子核形状に対する”常識” ∝(核子数) 1)半径 1/3 2)核子密度の一定性 3)表面ぼやけ具合の一定性 これらはすべて安定核のみの常識だった (1 fm = 10-15 m) 電子散乱による短寿命不安定核構造の研究 ○ 不安定核の中に奇妙な構造の示唆、予想 ○ 宇宙での元素合成過程理解に不安定核核構造が重要 不安定核の正確な形状(波動関数)の決定には電子散乱実験不可欠だが、 不安定核を標的とする電子散乱実験は不可能と考えられていた 生成困難、短寿命で崩壊 ”厚い”標的生成不可 (安定核:∼1021 /cm2 標的厚) 核図表 陽子数(元素) 電子散乱の研究対象となった原子核 中性子数 革新的実験技術の発明(不安定核用標的生成) SCRIT(Self-Confining RI Target : 自己閉込型標的) 不安定核標的形成に電子リング(放射光リング SPring8 安定核を使った原理実証研究 等)で”悪名高き”イオン捕獲現象を積極的に利用 捕獲時間(50ms):短寿命核を模擬 電子リングの 真空ダクト たった106ヶ捕獲イオン 十分な厚さをもつ標的生成! 電子ビーム イオン捕獲現象 残留ガス(中性) イオン化された 残留ガス 原子核の未踏研究分野の扉を開く技術の確立 論文:Phys. Rev. Lett. 100 (2008) 164801 Phys. Rev. Lett. 102 (2009) 102501 受賞:平成22年度西川賞 電子リング (高エネルギー加速器科学奨励賞) 記者発表:新聞記事(参考資料) 不安定核生成器からの 短寿命不安定核イオン 実証実験成功時の新聞記事 散乱電子 捕獲イオン 電子ビーム 電極 電極 印加電圧の制御で、入射・捕獲・吐き出し制御可能 短寿命核にも対応可能 SCRIT (Self-Confining RI Ion Target) 電子ビーム上に不安定核の3次元浮遊標的生成 1)横方向:電子ビーム( ~1010ヶ/bunch)による捕獲 2)ビーム軸方向:ミラーポテンシャルによる閉じ込め 外部イオン源からの 不安定核イオン 周回電子ビーム 捕獲標的イオン ミラーポテンシャル生成用電極 散乱電子 短寿命不安定核専用電子散乱実験施設 Electron energy: 150 - 700 MeV stored current: 250 mA RTM : Race Track Microtron injector + ISOL driver 150MeV/0.5 mA peak/2 μs pulse beam life time:2hours ERIS : Electron-beam-driven RI separator for SCRIT photofission of Uranium house-made UCx target FEBIAD 108 fission/W (goal 1kW, today 20 W) Lum. Monitor WiSES : Window-frame Spectrometer for Electron Scattering large scattering-angle coverage ( θ = 30 - 60°) long-target acceptance ( Δl = 50 cm) good momentum resolution (Δp/p = 10-3) SCRIT Electron Scattering Facility U 光核分裂反応 238 γ+238U -> A(~140) +A(~100) Nfission ~ 1013 /s (~ a few 100 kW) A~140 A~100 U 光核分裂反応全断面積 238 制動輻射 x 光核分裂断面積 U標的内での電磁シャワー(制動輻射、対生成)=>低エネルギーのγ、e± 巨大共鳴による光核分裂反応 1cm Nγ e50 MeV 各分割標的内γ数 10 分割 分割番号 Geant3 simulation Eγ ≥ 50 MeV では、ビームパワー当たりの光核分裂反応数はほぼ一定 世界のウラン核光分裂反応を利用した 電子ビーム駆動ISOL 施設 Nfission ~ 108 /W ARIEL(カナダ) 建設中 ELPH(日本) ALTO(フランス) 稼働中 upgrade SCRIT(日本) 稼働中 Present ELPH facility upgraded 1.3 GeV Booster Synchrotron photon tagger + NKS II Radio-Chemistry photon tagger + FOREST 90 MeV injector linac monoenergetic electron (positron) beam line 60 MeV high intensity linac Ee = 60 MeV Ie ~ 100 uA Beam Power ~ 6 kW duty cycle = 300 Hz x 3 us = 0.1 % U 光核分裂反応@ ELPH 238 beam power ~ 6 kW Nfission ~ 1012 /s 1010 /s 引き出し効率∼ 10-2 ~ 108 /s 程度のRIを Online で使用できる 1)不安定核研究 2)研究用トレーサ供給 電磁場に対する原子核応答関数 e2 e1 d2 d!d⌦ θ 対称変 定 決 波 態 状 底 基 q 行 量 動 運 移 運動量移行 ~ q = e~1 e~2 ω エネルギー移行 ++ 3軸非 関 動 e2 元素合成過程 SCRIT SC ! = e1 @ELPH 弾性散乱 IT R エネルギー移行 数 巨大共鳴 形の発 見 γ線(実 光子) ω=q 電子散乱@SCRIT : 弾性散乱(2015~) γ線吸収@SCRIT++ : 巨大共鳴測定(予算要求中) γ線散乱@ELPH:B(E1)測定(開発中) 短寿命不安定核の(γ、γ’)測定 大強度電子ビーム ISOLによる不安定核生成 仮想光子或いはγ線ビーム生成 RI埋め込み 実光子(γ線):固体水素標的 仮想光子:12Cバッキング γ線 radiator 電子線 散乱γ線 (仮想光子) RI生成部 HPGe γU ISOL (~10 kW) 電子ビーム RIインプラント標的 (民井BRILLIANT法) N = Nt N 0 Ee ≤ 50 MeV, Ie ~ 100 uA duty factor ~ 100 % low emittance Z (E )dE = Nt N 0 · 16⇡ 3 E B(E1) " ~ 100 /day /sr ~c Nt :不安定核標的として1010 /mm2 旧核理研・第一実験室・γビームライン 菅原真澄他、核理研報告 5 (1972) 51. γチャンネル :(γ、γ)反応 <==> (γ,p)などは BDM コリメータ:鉛、Boron入りパラフィン 輻射標的:白金(0.1 mmt) Ie ~ 40 μA TRIUMF : ARIEL ~ 63M$ Helmholtz-Zentrum Dresden-Rossendorf ELBE (Electron Linac for beams with high Brilliance and low Emittance) Ee = 20 MeV Ie ~ 1mA duty cycle ~ 100 % 安定核γ線散乱 beam power : 200 kW RI 製造 FEL レーザー加速 電子ビームスポット 2 mm @ 600 uA Nb 標的 (1200 °C) collimator : 5 mrad off-axis bremss. を利用した偏極γ線発生 Nucl. Instrum. and Methods A555(2005) 211. まとめ 現在、不安定核を対象とした原子核研究がルネッサンス期。 電子線やγ線による不安定核研究分野を開拓中。 ウラン核光分解反応を利用したISOL(ERIS)を建設(日本初)。 現在は ~10 Wで運用中。数年後の 高パワー化(~ 1 kW)への開発継続中。 ウラン核光分解反応を利用したISOLは非常に効率よく多様な不安定核を生成 On-line でのRI利用が可能。原子核研究の他に、多様な研究に利用可能。 短寿命不安定核のγ線散乱、(γ、γ) High power 用 ISOL + γビームライン ISOLの ~ 10 kW 級に対応する開発
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