HBsAg弱陽性検体の陰性化について

FAQ(免疫)
HBsAg弱陽性検体の陰性化について
Q HBsAg弱陽性検体を冷蔵または冷凍保存して再測定すると陰性化することがあります
が、なぜでしょうか。
A
HBsAg測定系の高感度化にともない、微量の共存物質(フィブリン、赤血球、血小板など)が高感度測
定系の測定値にプラスに影響することがあります。特に、HBsAg弱陽性検体が再検で陰性化する原因は
マイクロフィブリンの可能性が高いと思われます。初回測定時に、室温で可溶性となっているマイクロ
フィブリンが検体と一緒に吸引されて、カットオフ値をわずかに超える弱陽性となりますが、静置、低
温保存することによりマイクロフィブリンが析出、沈殿するために検体と一緒に吸引されず、陰性と判
定されると考えられます。
また、血清分離剤入りの採血管はプレーン採血管に比べて、転倒混和しないとHBsAg偽高値化の頻度が
高くなることも報告されています。
測定前の血液検体取扱いに関する一般的な注意事項は以下のとおりです。
・適切な混和方法、遠心条件、保存条件(試験管は横にせず試験管立てに保存する)を守る。
・血清分離剤入りの採血管使用時には、採血管製造元が推奨する使用方法(混和方法、遠心条件など)
を守る。
・凍結融解後の検体は、低速のボルテックミキサーを用いて充分に攪拌する。
多くの高感度HBsAg測定試薬の添付文書には、判定時の注意事項が記載されており、初回測定が(弱)
陽性の場合は、遠心分離後に再測定を推奨している場合もあります。マイクロフィブリンは目視では不
明ですので、高感度測定系では特に注意する必要があるでしょう。
参考資料
石沢修二、他:採血管使用時の問題点 1.HBs抗原測定について.医学検査、53(5):767-770,2004.