基幹物理学 IA 演習第 12 回(2015 年 7 月 16 日分) 慣性モーメントの計算 1.右図のように平面板状の薄い剛体の面内に、直交する2軸 x,y をとり、それに垂直に z 軸を とれば、各軸の慣性モーメント Ix, Iy, Iz の間には、次の関係が成り立つことを証明せよ。 Iz Ix Iy ヒント: I z mi ri 2 ここで ri は z 軸からの距離である。 i 証明) I z mi ri 2 mi ( xi2 yi2 ) mi xi2 mi yi2 I y I x i i i i 2.重心 G を通る軸に関する慣性モーメント IG と、この軸に平行で h だ け離れた軸に対する慣性モーメント I との間には、 I I G Mh の関 係があること(平行軸の定理)を以下の問に従って証明せよ。ここで Mは剛体の質量である。(右図参照) (1) 位置ベクトル ri を ri ' と h で表せ。 ri ri 'h (2) 慣性モーメント I の定義式に基づいて、 I I G Mh の 関係があることを証明せよ。 ヒント: G は重心なので、 m r ' 0 の関係を利用。 i I z mi ri 2 mi (h ri ' ) 2 i i i i mi ri ' 2 mi h 2 2 mi ri ' h i i i 2 I G Mh 3.次の各物体の重心を通る回転軸の周りの慣性モーメントを求めよ。質量を M とする。 ヒント: (2)~(4)では、まず Iz を求める。Ix, Iy に対しては対称性を考慮の上、問1の結果が 使える。また(1)(3)(4)の Iz 計算は坂口先生講義ノート等を参照のこと。(5)は基幹物理学のテ キスト(13.3 節)も参照のこと。 (1) 細い一様な棒(長さ ) [図 1 参照] 棒の線密度(単位長さ当たりの密度)をとすると、線素片 dx の質量は dx だから、 慣性モーメントの定義式 I z mi ri 2 の mi にdx を代入し、和の代わりに積分を用いる i /2 x3 3 と、 I z x dx / 2 12 3 / 2 M 2 M ここで、 を代入することで、 I z 12 /2 2 図1 (2) 薄い長方形の板(2辺の長さ a,b) [図 2 参照、x,y,z 軸それぞれに対する I] 図2のように、板を y 軸に平行で長さ b、幅 dx の細い棒(ハッチ領域)に分けて、 (1)の結果を適用する。この際 M に、この細い棒の質量 M bdx を代入して、x 方向の ab 1 2M b bdx 12 ab 1 2 M a/2 1 これを積分して、 I x b b dx Mb 2 12 ab a / 2 12 1 2 同様に、 I y Ma 12 慣性モーメント dIx は、 dI x z 軸の周りの慣性モーメントは問1の結果を使って、 Iz Ix Iy 図2 1 M (a 2 b 2 ) 12 (3) 細い円環(リング) (半径 a) [図 3 参照, x,y,z 軸それぞれに対する I] 円環の中心を通り円環に垂直な z 軸の周りの慣性モーメント Iz は、 円環の微小な長さ d ad の慣性モーメントの和として導 出できる。この微小部分の質量は線密度を( ると、 ad であるので、 2 I z a 2 ad Ma 2 0 1 2 2 0 M )とす 2a d Ma 2 次に、問1 の結果と 対称性から Ix Iy で あるので、 Ix Iy Iz / 2 1 Ma 2 , I z Ma 2 2 図3 (4) 薄い円板(半径 a) [図 4 参照、x,y,z 軸それぞれに対する I] 円板の中心を通り円環に垂直な z 軸の周りの慣性モーメント Iz は、 円板を半径 r、幅 dr の微小円環の集まりと見なすことができる。 微小円環の慣性モーメントは、(3)の結果に円板の面密度 dI z r 2 M を用いて、 a 2 M 2rdr a 2 これを積分して、 a I z dI z 2 0 M a2 a 0 r 3 dr 1 Ma 2 2 問1の結果と対称性より、 I x I y I z / 2 Iz 1 Ma 2 4 1 Ma 2 2 図4 (5) [発展問題] 円柱(半径 a、高さ h) [図 5 参照、x,y,z 軸それぞれに対する I] z軸の周りの慣性モーメントは Iz は、薄い円板の慣性モーメント dIz の和として求まる。 この薄い円板の質量は、 dI z M M a 2 dz dz であるので、 2 h a h 1 2M a dz 2 h これを積分して、 h I z dI z 0 1 2M a 2 h h 0 dz 1 Ma 2 2 厚みがあるために、x 方向、y 方向には、問1の結果を当てはめることができない。 そこで、問2の平行軸の定理と(4)の Ix と Iy の解を用いる。 重心 G は原点であるので、x 軸から z だけ離れた図のハッチ部(z の位置で厚さ dz) M 2 dz z の和にな h の慣性モーメント dIx は、重心を通る x 軸周りの慣性モーメントと る。 dI x 1 2M M a dz z 2 dz 4 h h これを積分して、 h/2 1 2M M a dz z 2 dz h / 2 4 h / 2 h h 1 1 Ma 2 Mh 2 4 12 1 1 同様に対称性から、 I y I x Ma 2 Mh 2 4 12 Ix h/2 図5
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