研究室紹介(水土環境保全学) 2015 年度のメンバー:教員 2015.6.25 猪迫耕二 修士課程 1 名,4 年生 4 名 研究室の特徴: 地圏環境保全学分野とあわせて同一の研究室として活動(バーチャル研究室名:環境保全学) 研究室行事(実験施設の管理作業,卒論・修論実験の補助,飲み会等)への参加は原則必修. 研究室独自の OB・OG 会「環保の会」がある. こういう人に来てほしい:①楽じゃないけど研究室生活を楽しみたい.②心がタフ(になりたい). 研究テーマ:キーワードは「水と土とちょっとだけ緑」 研究テーマは土,水,緑に大別されます.すべてのテーマを手掛けているわけではなく,いくつ か休眠中のテーマもあります.休眠のままか,復活するかはあなたたち次第です. 1.土・農地に関するテーマ ① 表層吸引溶脱法による震災塩害土壌の除塩(写真1) 乾燥地のための節水型除塩法として開発し特許を取得した表層吸引溶脱法をスケールアップし て実際の農地に適用できるシステムとして完成させよう!という研究です. ②乾燥地・半乾燥地に展開する農地の持続的利用のための除塩・防塩システムの構築(写真2) 土壌には透水性の高いものから低いものまで様々であるが,塩害はどのような環境でも起こり うる.土壌の透水性に応じた管理方法があるはずでそれを統合させた新システムを構築する. ③ キャピラリーバリアによる塩類集積の改善と予防(写真3) 地下水位の高い土壌では,容易に毛管上昇が生じ,塩類集積が発生します.このような農地で は,大量の水を使って,表層の集積塩を地下に洗い流しても,すぐに上昇して再集積してしまい ます(これを二次的塩類集積といいます).これに対し,粒径の粗い土層を意図的に作って毛管 情報を阻止し,塩類集積を防止する方法があります.これをキャピラリーバリア(CB)といいま す.このシステムをアクアポニックスシステムと融合させて,乾燥地における新しい節水栽培方 法の確立を目指してメキシコでも実証実験を行います. 2.水に関するテーマ ① 農耕地の水土環境の保全に関する基礎研究 農耕地の土壌や地下水は過剰な施肥によって汚染されています。しかし,種々の物質がどのよ うなメカニズムでそれらを汚染しているかについてはまだ正確に解ってはいません。本研究はそ れを明らかにするためのもので,現在は,地下へ浸透する水とそれに溶け込んでいる様々な物質 量を定量化するための土壌浸透水採取装置ウィックサンプラーの開発と実証実験を行っています。 3.緑に関する研究 ① 砂丘ナガイモの黒陥没障害発生要因の特定 (写真4) 鳥取名産砂丘ナガイモには「黒陥没」という生理障害が発生しています.その発生原因は未だ 不明ですが,窒素の過剰施用と溶脱傾向にカギがあるとにらんでいます.そこで,鳥取県砂丘地 農業研究センターとの共同研究で,黒陥没障害が多発しているナガイモ砂丘畑において土壌水分 と電気伝導度,微気象環境をモニタリングし,「黒陥没」発症との関連生を明らかにします. ②壁面緑化ボードの低コスト・省エネルギー型水管理に関する研究 (写真5) 緑化ボードを利用した壁面緑化は,建物の内外に利用できるデザイン性の高い緑化工法として 1 研究室紹介(水土環境保全学) 2015.6.25 注目されています.しかし,灌水設備が必須とされるなど,高い建設コストや栽培可能な植物が セダム系を代表とする耐乾性植物に限定される等の問題があります.ここでは,低コスト・省エ ネルギー型の灌水方法の確立を目指しています. ③乾燥地/半乾燥地樹木の樹体内体積含水率の測定による水分ストレス評価(写真6) 樹木体内の水分量の変動を詳細に計測することで,水分ストレスの発生を把握できるのではな いかというアイデアに基づき,土壌水分計測用に開発された電磁波計測手法を応用して,樹体内 の含水量の計測を行っています.本研究では,特に水分ストレスの影響を強く受ける乾燥地で栽 培されているオリーブに着目しています. 【 研究テーマに関係した写真 】 写真1 表層吸引溶脱装置 写真2 排水トンネル 写真3 CB 存在下の栽培実験 写真4 ナガイモ圃場 写真5 壁面緑化試験 写真6 樹体内水分量測定 2
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