次世代シーケンサを活用した HIV ゲノム薬剤耐性関連遺伝子マイナー

次世代シーケンサを活用した HIV ゲノム薬剤耐性関連遺伝子マイナーアリルの検出
Detection of minor genotypes in the genes associated with drug-resistance in HIV genomes by
next-generation sequencer.
島袋末美 1、渡嘉敷良乃 1、宮城郁乃 1、石原美紀 1、名護珠美 1、建山正男 2、比嘉真紀
3
、仲宗根勇 1、要
匡 1,3
1 琉球大学医学部附属病院 検査部、2 琉球大学附属病院 第一内科、3 琉球大学 医
学研究科 先進ゲノム検査医学講座
HIV 感染において、予め血中ウイルスの薬剤耐性の有無を知ることは効果的な治療を
行う上で重要である。現在は、血漿中のウイルスゲノムを nested RT-PCR 法により増幅、
コピー数のモニタリングを行うとともに、キャピラリーシーケンサにて遺伝子塩基配列
を決定し、その配列変異から薬剤耐性の有無を推定する方法が主流である。
現行の配列解析法は、全ウイルス中の耐性株の割合が高い場合には有効である。しか
しながら、キャピラリーシーケンサ解析は、30%以下の一部のみ混在している配列を検
出することが困難なため、治療中に出現する薬剤耐性株の検出や、治療中の患者より感
染したウイルス中のマイナーアリルの検出において、見逃す可能性や、正確な判定を行
えない可能性も少なくないと考えられる。
そこで、我々は、塩基配列のデジタル解析を行える次世代シーケンサを活用し、ウイ
ルスゲノム中のマイナー集団の検出の可能性について検討した。現行の方法にて確認済
みの HIV ウイルスの protease 遺伝子、reverse transcriptase 遺伝子部分 12 検体について、
RT-PCR 後の産物を次世代シーケンサ(GS Junior/Roche)にて冗長度 1,000x 以上の高深
度シーケンスを行い、変異配列の有無とその割合を検討した。結果、キャピラリーシー
ケンサ解析では、判定不能であった数%のマイナー変異も十分検出できた。
次世代シーケンサを活用した、HIV ゲノムマイナーアリルの検出は、ウイルス変異を
非常に高感度で検出することが可能であり、コスト面を除けば、治療のモニタリングや
潜在的薬剤耐性株の検出、診断に有効であると考えられた。