Page 1 of 1 Panton-Valentine 型 Leukocidin のファージ変換 ○千葉潤一1,2、金子淳1、成田佐知子1、スータン1、Y. Piemont3、J. Etienne4、山崎 修5、荒田 次 郎5、神尾好是1 東北大院・農・応生科1) 、仙台厚生病院・臨床検査部2) 、仏パスツール大・医3)、仏リヨン大・ブド ウ球菌毒素研究センター4) 、岡山大・医・皮膚科5) 【背景と目的】 S. aureusの2成分性膜孔形成毒素ファミリーのうち、γヘモリジン/ロイコシジン (Hlg/Luk)遺伝子は全ての株で検出されるのに対し、PVLはFurunclosisの感染巣等、限られた場 所から分離された株から高率で検出される。我々は前回までにPanton-Valentine型ロイコシジン (PVL)遺伝子が2つの異なる新規ファージ、φPVL及びφSLTのゲノムにコードされていることを見 出し、PVLのファージ変換を報告した。一方、P83株におけるPVLのバリアントであるlukM-PVlukF-PVオペロンが新規プロファージPV83-proのゲノム上に存在することも明らかにした。以上の 結果、PVLのファージ変換には複数のファージが関与していることが示唆された。今回我々は、 PVL病原因子変換ファージ自体の分子進化、並びにPVLファージ変換の全貌を明らかにすること を目的として、臨床分離株より単離したPVL変換ファージ群の解析を行った。 【方法と結果】PVL特異的プラーマー対を用いたPCRにより、主としてFurunclosis患者の感染巣よ りフランスで分離された32株中28株(88%)、岡山県で分離された12株中4株(33%)からPVL遺伝子 が検出された。これらの株からマイトマイシンCでファージを誘発した結果、フランスの株から8株、 日本株から1株のPVL遺伝子保有ファージを得た。これらのファージの指示菌を、宮城県で分離さ れた219株の食中毒由来のPVL(-)株から検索した結果、フランスの4株について指示菌が得ら れ、それぞれのファージによるPVLのファージ変換が確認された。今回新たに分離されたPVL保 有ファージのゲノムについてサザンハイブリダイゼーション及び部分的なシークエンスを解析し、 既知のPVL変換ファージと比較した。その結果、フランス株由来の4株はφSLT型、日本の1株 (φ0048)はφPVL型であった。フランス株由来の4株を含むφSLT型ファージ間、及びφPVLとφ0048 の間では、調節領域及び複製領域において多様性が観察された。
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