第5学年 国語科学習指導案 平成27年11月17日 5年生 15名 指導者 皆吉 菊美 1 単 元 自分の考えをまとめ,工夫して説明しよう 「天気を予想する」「グラフや表を用いて書こう」(光村図書 5年) 2 目 標 ・ 筆者が伝えたいこと,論の進め方,図表などの活用について考えをまとめて発表し合い,自分の考えを広め たり深めたりすることができる。 ・ 目的や意図に応じて収集した事柄を,全体を見通して整理するとともに,引用したり図表やグラフを用いた りするなど書き方を工夫して,自分の考えが伝わるように書くことができる。 3 単元の評価規準 ○ 意見に説得力をもたせるときの,グラフや表の有効性に気付き,書いたものを読んで確かめようとしている。 〔関〕 ○ グラフ,図表,写真の意図と効果などに着目し,構成と筆者の説明の仕方の工夫を読み取っている。〔読〕 ○ 筆者の主張,根拠を自分なりに評価する観点をもち,筆者の主張を読み取っている。 〔読〕 ○ 社会生活に関わる統計資料から必要な材料を見付け,図表やグラフなどを用いて,自分の考えと根拠など を書き分け,他者の文章を読んで,優れた点を具体的に指摘している。 〔書〕 ○ 語と語の関係に気を付けることで,文の意味がとらえやすくなることについて気付き,説得力のある文章 を書くための構成やその要素を理解している。 〔伝国〕 4 単元について (1) 単元の価値 本単元は,自分の考えをまとめ,それを的確に読み手に伝えるために効果的な説明の仕方をとらえることが 主なねらいである。 教材「天気を予想する」は,天気予報の的中率が近年高くなった理由と百パーセント的中させることの難し さをグラフや表,図などを使って述べた説明文である。最初に大きな問いがあるのではなく,各段落に小さな 問いと,それに対する答えや考えが明確に示された文章構成であり,段落相互の関係を捉えたり,筆者の考え を読み取ったりすることに適した教材である。教材「グラフや表を引用して書こう」では,調べ学習を通して 収集したグラフや表などを効果的に用いて意見文を書く活動が設定されている。理由や根拠を明確にしながら 説得力をもって説明する力を身に付けることに適した教材である。 子供たちは,5月教材「筆者の考えの進め方をとらえ,自分の考えを発表しよう」の単元におい て,要旨をとらえ自分の考えを明確にしながら読み,筆者の考えや文章の書き方について自分の考 えを広げたり深めたりする学習を経験している。 本単元では,これまでの学習を生かしながら,「筆者が伝えたいことを読み取る力」「資料を用いて 分かりやすく説明する力」を身に付けさせるために自分の考えを伝えるための意見文を書く活動を,単元を貫 く言語活動として設定した。まず,意見文を書く際の課題を出し合い,学習課題へとつなげさせる。 次に,「天気を予想する」から筆者が自分の考えを分かりやすく伝えるためにどのような説明の工夫をして いるか,またその工夫にはどんな効果があるかを考えさせる。さらに,説明の工夫を取り入れさせながら意見 文を書かせる。 その後,書いた意見文を友達と交流し,自分の伝えたいことが友達に伝わったかを確認させる。また,単元 全体を通して自分の考えを主張するために材料として活用したい統計資料を指導と並行して収集させる。 ここでの学習は,1月教材「想像のスイッチを入れよう」での事例と意見の関係をおさえ,自分 の考えをまとめる学習へとつながっていく。 5 (2) 子供の実態 本学級の子供たちが,本単元の学習や教材に対してどのような興味・関心をもっているかについ て質問紙法により調査した結果は,次のとおりである。(数字は人数を表す。) ① 「天気を予想する」の初発の感想 ・天気予報の的中率が上がってきていることに驚いた。 (6) ・空を見たり,風を感じたりすることも天気を予想することにつながることが分かった。 (3) ・局地的,突発的などの言葉が分からないので意味を知りたい。 (2) ・天気に関することわざがたくさんあることが分かった。 (2) ・その他 (2) ② 要旨の把握 ③ 文章構成の把握 ・理解している (3) ・筆者の考え→例や理由→筆者の考え (5) ・大まかに理解している (8) ・問い①答え①→問い②答え②→問い③答え③→結び (5) ・誤答 (3) ・例①→例②→例③→筆者の主張 (5) ・無答 (1) ④ 説明の工夫の把握 ⑤ 授業が分かりやすくなる学習形態に関しての意識 ・表やグラフ,写真などの使用 (10) ・グループ (7) ・全体 (5) ・無答 (5) ・一人 (2) ・無答 (1) 多くの子供たちが教材文である「天気を予想する」について,初発の読みのときに関心をもって いる様子が見られた。これは,理科で天気について学習していたからだと考える。しかし,天気予 報の的中率が上がってきたことへの感想が多く,筆者の主張に対する感想を述べている子供は少な い。これは文章の要旨をとらえる学習経験が少ないためであると考える(①)。また,要旨として挙 げられている内容が段落の最後に書かれていることは分かっていても,要旨のまとめ方として不十 分な子供が多い(②)。 文章構成については,多くの説明的文章が3部構成で書かれているという知識はあるが,段落相 互の関係やその役割を理解して的確に読み取るまでには育っていない(③)。さらに,説明の工夫と して筆者が表やグラフ,写真を効果的に活用し,読み手に分かりやすくしていることには気付いて いない子供もいる(④)。 学習形態については,グループや全体での話合いが分かりやすいと思っている子供が多い。日頃 の学習においても一人で調べたことに関して自信が持てないため,友達と考えを交流することで安 心を得られるためだと考える(⑤)。 (3) 指導上の留意点 以上のような実態を基に,研究の視点に沿って次のような学習計画の内容の設定し,毎時間の指 導の工夫を行うこととする。 ア 視点1「自分の考えを持たせるための働きかけ」 課題をつかむ過程で,子供たちに実際に意見文を書かせ,どのようなことが難しいのかについ て話し合わせ,学習課題を立てさせる。またその際,文章構成にも触れ,3つの問いと答えが繰 り返されている文章であることをつかませる。 イ 視点2「相手を意識して正しく伝えさせるための働きかけ」 表や写真,グラフなどをマスキングしたワークシートを使い, 筆者が説明の工夫をしていることに気付 かせながら資料と本文とを関連させて読み取らせる。読み取ったことは,グループで考えを交流させながら, 自分の読みと友達の読みを比較することで考えを深めさせる。さらに,要旨をまとめる際は,正しく伝えら れるように文末表現にも触れまとめさせる。まとめた意見文は友達と読み合い,自分の考えが相手に伝わっ たか,図表やグラフなどを活用し説明に説得力があったかなどの交流を行わせる。 ウ 視点3「相互に考えを深め合わせるための働きかけ」 毎時間のまとめる・振り返る過程で自己評価を取り入れる。学習したことを3つの観点で振り 返らせ,学習して分かったことを記述でまとめ発表させることで,本時の学習の理解を確認し次 時の学習の組み立てへと生かす。 6 5 指導計画(全12時間) 過程 時間 主な学習活動 1 今の社会がくらしやすいかについての意見文を試しに書く。 課 ・ 意見文を試しに書くことで課題を出させ,学習のめあての設定につなげる。 題 2 を 時 2 学習のめあてを決め,学習計画を立てる。 つ 間 「天気を予想する」を参考にして,説得力のある意見文を書こう。 か む ・ 本文を通読し,文章構成をとらえる。 3 「天気を予想する」を読み,本文の内容と説明の工夫について読み取 並 る。 す「行 情 ・ 表や写真と照応させながら,天気予報の的中率が高くなったことにつ る 天 読 報情 いて読み取り,話し合う。また,説明の工夫について気付き,まとめる。 統 気 書 を報 計を もを 3 ・ 天気予報は百パーセント的中するようになるのかの問いに対する筆者 資 予 と読 時 想 の考えから,2つの要因について読み取り,話し合う。また,数値やグ 料 にみ 間 をす 考取 ラフ,写真の使用の効果について気付き,まとめる。(本時4/12) 収 る 」 える ・ 突発的・局地的な天気を予想するための2つの手立てについて読み取 集 すと る る並 り,話し合う。また,説明の工夫について気付き,まとめる。 。行 ・ 本文の要旨を読み取り,筆者が伝えたかったことをまとめる。 し て 4 自分の考えを裏付けるグラフや表を使って,意見文にまとめる。 、 ・ くらしやすさについての自分の考えを書くために,説明の工夫につい 自 分 て振り返る。 主 の ・ 自分の意見を述べるために必要な要素を確認し,文章の構成を考える。 体 意 的 7 見 ・ 自分の考えを裏付ける資料を効果的に使いながら意見文を書き,推敲 文 に 時 する。 で 表 間 活 ・ 初めに書いた意見文と比較し,学習で深まったところをまとめる。 現 用 す 5 書いた文章を友達と読み合い,意見や感想を交流する。 る ・ 読み合うときの視点を確認し,意見や感想を交流する。 6 読み合ったことを基に,説明の工夫のよさについて振り返り学習のまと めをする。 6 本 時(4/12) (1) 目 標 天気予報が百パーセント的中しない要因を読み取る活動を通して,数値やグラフ,写真などを用いて説明する ことの効果を考えることができる。 (2) 指導に当たって つかむ・見通す過程では,前時までの学習を振り返らせるとともに,筆者の考えや説明の工夫につ いて課題意識をもたせ読み進めさせる。そのため,前時で使用した表を基に,百パーセントに近づい てきていることや教材文の中の「百パーセント的中するのだろうか。」という部分に着目させる(研 究の視点①)。 調べる・深める過程では,説明の工夫に着目させるためにグラフと写真をマスキングしたワークシー トを活用する。どうしてその資料を活用したのかという筆者の意図にふれさせるため,グラフや写真を選択し挿 入させる(研究の視点①) 。 また,相手を意識して伝えるためにワークシートなどを使い,読み取ったことをグループで交流させ る。その時,自分の考えをキーワードや図,矢印などを使いなが伝えさせる(研究の視点②)。 読み取りが不十分な子供には,文中の言葉や数値を意識させながら,グループ学習で友達の考えを 聞くことによって読み取りを深めさせる。グループでの話合いの結果は,考えを深め合わせるために 黒板に掲示し,全体で考えを比較させることで説明の効果で気付いた共通点や相違点を話し合わせる (研究の視点③)。 まとめる・振り返る過程では,学習したことを基に筆者の考えや説明の工夫について全体でまとめ, 自己評価における学習の振り返りを行わせる。今日の学習で分かったことを記述させることで,次の 学習へつなげられるようにさせる(研究の視点③)。 7 (3) 本時の展開 子供の意識 教師の手立て ※評価 過程 時間 主な学習活動と教師の手立て・評価 1 前時までの学習を振り返る。 つ 本時の学習で自分の考えをもたせる か ・ 天気予報の的中率は, 「科学技術の進歩」と む ため,前時の学習で使用した表を活用 ・ 「国際的な協力の実現」によって高くなったな。 5 し,天気予報の的中率が高くなってき 見 ・ このまま行くと百パーセントになりそうだ。 通 ていることから,課題意識をもたせる。 す ・ 表や写真があると分かりやすかったな。 【研究の視点1】 10 2 学習のめあてと進め方を確かめる。 天気予報は百パーセント的中しないことを,筆者 はどのように説明しているのだろうか。 ・ いくつかの要因があるから的中しないのかな。 ・ 表や写真を使っているだろうな。 ・ 一人→グループ→全体で課題を解決していくん だな。 3 課題を解決するための根拠として挙げられている 事実を読み取る。 ・ グラフや写真がないと変化や様子が思い浮か びにくいな。 ・ この資料は,この文章のことを表すためだな。 ・ 「一つ」 「もう一つ」という言葉から,要因は 二つあるな。 調 べ る ・ 深 め る 20 4 読み取ったことをグループで伝え合う。 ・ 友達はどのように考えたのかな。 ・ 同じ言葉を探して見つけ出しているな。 ・ 伝え合ったことを3人でまとめてみよう。 ・ グラフや写真があると説得力がでるな。 5 グループで話し合ったことを全体で話し合う。 ・ 天気予報を百パーセント的中させるには,二 つの要因から難しいことが分かるね。 ・ グラフや写真があることで,分かりやすく, さらに説得力も出てくるね。 ま と め る ・ 振 り 返 る 6 学習のまとめをする。 突発的・局地的な天気の変化が要因で,天気を予 想するのはかなり難しいから。 説明の工夫では,数値やグラフ,写真が使われて おり,分かりやすくなっている。 10 自分なりの考えをもって学習を進め ていくことを意識させるため,段階的 な形態を中心に学習の進め方を確認さ せる。 【研究の視点1】 マスキングしたワークシートにグラ フや写真を選択・挿入する作業を通し て,説得力の程度に違いがあることに 気付かせ,筆者の資料活用の意図を考 えさせる。 【研究の視点2】 考えが伝わりやすくするために,ワ ークシートなどを使い発表させる。そ の時,自分の考えをキーワードや絵・ 図,矢印などを使いながらグループ全 員に伝えさせる。 【研究の視点2】 筆者が説明の中でグラフなどを用 いた意図とその実際の効果について 考えさせる。 【研究の視点3】 ※ 筆者の考えの根拠となる事実を読み取 り,数値やグラフ,写真を使って説明す ることの効果について理解している。 ○ 読み取れている子供には,自分が読 み取ったことを交流させ,グループ内 でアドバイスをさせるようにする。 ○ 読み取りが不十分な子供には,文 中の言葉や数値を意識させながら, グループで友達の考えを聞くこと 7 学習を振り返り,次時の学習への意欲を持たせる。 によって読み取りを深めさせる。 ・ 天気予報が百パーセント的中するのが難しいの は,突発的・局地的な天気の変化が関係するから なんだ。 学習の振り返りとして,自己評価をさ ・ 説明の工夫は,数値やグラフも効果的だな。 せることで,次時へのめあてをもたせ ・ 次の時間は3つ目の問いと要旨をまとめる学習 る。 【研究の視点3】 だな。 8 9
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