光がダイコンの発芽に与える影響

光がダイコンの発芽に与える影響
石川県立小松高等学校 生物部
1年
北村 理咲子
1. 目的
3. 実験結果および考察
昨年度の先輩たちの研究から、植物の発芽に
①品種別に見てみると、以下の表のようになっ
は光(波長・光量子束)が大きく関係している
た。
のではないかと考えた。そこで、さらにその関
係を調べるため、
LED 発光板(図1)
を製作し、発芽の実
験を行った。
(図1)
2. 実験方法
シャーレに水を含ま
せたろ紙を敷き、5種
類(耐病総太・源助・
桜島・カイワレ・守口)
それぞれの種を9個ず
つ並べた。(図2)
(図2)
実験装置の中にシャーレを並べ、白・赤(660
㎚)青(波長 470 ㎚)
・黄緑(複数の色の波長
の光が混在していた)
・緑(波長 555 ㎚)のそ
れぞれのLED発光板(光量子束密度は 7.7μ
mol/s/㎡)を各装置上に設置(図3)した。ま
た、暗条件の実験区も設定した。観察は開始
24 時間後、48 時間後に行い、それぞれ発芽状
況(発芽率)を計測した。また、(図4)のよ
うに種皮が破れたものを発芽とした。
表より、どの光条件においても耐病総太とカ
イワレの発芽率が高く、源助、桜島、守口の発
芽率は悪かった。また、発芽率が低い3種の中
では源助の発芽率が高かった。このことから、
(図3)
改良品種である耐病総太や、カイワレダイコン
は発芽に適した環境条件が広く、源助、桜島、
守口などのいわゆる地ダイコンは、発芽に適し
た環境条件が狭いのではないかと考えられた。
(図4)
また、昨年度より実施している屋外栽培実験や、
16
コンソーシアムの共同研究校の方の栽培実験
ではないかと考えた。
などからも、地ダイコンの栽培の難しさや、地
また、5回目と6回目に全体的に発芽率が高
ダイコンの中では源助が栽培しやすい種であ
くなった。これは、温度がそれまでよりも高く
るとの報告もあり、発芽についても同じような
なってしまったことや、種子を新しいものに変
種特異性が見られたと考えられる。
えたことが原因だと考えられる。
②光の波長別に見てみると、以下の表のように
4.今後の展望
暗発芽種子の発芽に対する光の抑制作用は、
なった。
外部条件のほかに種子の古さによっても異な
ることが知られている。今回の実験においても
種子の古さから正確なデータが得られなかっ
たと考えられる点が認められたので、次回は、
現在栽培中のダイコンを自家受精し、種子をつ
くり、保存状態を一定にすることでその条件を
そろえたい。
5.参考文献
旺文社 生物事典
表より、暗発芽種子と言われている通り、暗
条件の発芽率が最も高かった。また、赤色光と
白色光の発芽率が悪かった。白色光は簡易分光
器で見てみると赤色光が混ざっていた。また、
黄緑色光にも赤色光が混ざっていた。黄緑色の
発光板が故障したため、6回目に緑色の発光板
に変えたところ、発芽率が上がった。このこと
から、赤色光には発芽を抑制する傾向があるの
17
可知 直毅・八杉 貞雄
監修