石川県におけるダイコンの栽培と成長 石川県立小松高等学校 生物部 細川 拓也・関浦 皓史・松田 健太郎 1 はじめに 図1は、8 月 16 日に播種した畑である。本 本校は昨年度に引き続き2年目の参加となっ 年度は、冬の日照不足前に桜島ダイコンを大き た。昨年度の実験データもあったことから、6 く成長させる試みとして、7 月の国際学会にもお誘いいただいた。研究会に 月末と 8 月中旬に播種を行っ おいては、1年間で4回の発表の機会をいただ たが、いずれも今夏の熱波に き、大変ありがたく思っている。 より枯死させてしまい、失敗 に終わった。 2 昨年度の研究から 図2 図2は、7 月下旬に播種し 8 月下旬に枯れて 昨年度の先輩たちの研究から、農業の経験が しまった桜島ダイコンの個体である。直径は2 ない自分たちがダイコンを栽培することの難し cm だった。 さを感じた。昨年度の栽培では、肥料が足りな かったこと、さらに、肥料の種類が間違ってい 5 研究経過 たことがわかった。また、北陸の気候は秋から 冬にかけての日照量が少なく、気温も非常に低 いため、11 月以降の成長がほとんど望めないの ではないかと考えた。実際に、石川県の地ダイ コンである源助ダイコンも早生品種の1つであ る。 3 研究目的 本年度は、まずはダイコンを大きく成長させ ることを目標に、桜島ダイコンも大きく成長で きる方法を探ってみた。 4 研究内容 浜砂、培養土、黒土の 3 種の土壌に、5品種 (耐病総太、カイワレ、桜島、源助、守口)の ダイコンを播種し、その成長を観察した。 (図3) 図3は、9 月 26 日に播種した個体の 10 月 29 日における生育状況である。どの実験区でも非 常に大きく成長している。昨年度よりも播いた (図1) 時期が早く、また、肥料も多めに与えていたこ 18 と、オルトランを多めにまいてあることがこの 結果に結びついたと考えられる。 (図7) (図4) 図4は桜島ダイコンの比較である。他のダイ コンと比べて地を這うような成長をしている。 また、あまり膨らみが見られない。葉ばかりが (図8) 大きく成長している印象を受ける。培養土で最 図7、8は降雪時のダイコン畑の様子であ も大きな成長が見られた。 る。本校のダイコン畑は駐車場の空きスペー スに設置されているため、除雪により雪捨て 場となってしまう。 (図9) 図9は、2 月 20 日のダイコンの様子である。 (図5) 図5は 11 月 29 日(播種後 2 ヶ月)における 桜島ダイコンの生育状況である。ようやく、ダ 6 イコンの部分が地表に見え始めた。定規は 30cm。 まとめ 本年度は、昨年度よりもダイコンを大きく成 長させることができた。桜島ダイコンは報告書 作成時点で最大のものは直径 18cm となった。 しかし、降雪のため肥料を与える時期を逸する など、課題も残った。来年度は 7 月播種に再チ ャレンジし、また肥料を多く与えて桜島ダイコ ンをより大きく成長させたい。土壌による成長 の違いについては、浜砂での成長が遅く枯死率 も高いことがわかった。桜島ダイコンを黒土と 培養土とで比較すると、黒土の方が太く成長し、 一方培養土では細かった。本来ならば、ダイコ ンを抜いて計測したいのだが、別グループの研 (図6) 図6は 1 月 12 日(播種後 3 ヶ月半)の黒土 究で、同じ時期に採取した種子を大量に必要と の様子である。この日は-4度の気温に葉が凍 することから、抜かずに種子を採取することと っていた。 した。 19
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