ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門1丁目23番1号 虎ノ門ヒルズ森タワー http://www.novartis.co.jp MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG 2015年10月20日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年10月8日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳 (要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。 英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。 多発性硬化症患者さんを対象としたジレニア®の長期投与の有効性を7年間にわた る新たな「疾患活動性の認められない状態(NEDA-4)」の解析で確認 • NEDA-4 とは、臨床的再発、MRI 病変、脳萎縮(脳容積減少)、身体的障害の 進行という 4 つの主要な指標に基づいた「疾患活動性の認められない状態」で あり、多発性硬化症における疾患コントロールの総合的指標 • FREEDOMS 試験および継続試験でジレニア®を 3~7 年間継続的に投与された 患者さんの 31.2%~44.8%が NEDA-4 を達成 • 別の解析から、1 年目の NEDA-4 は、長期予後を予測する上で 3 つの指標(臨 床的再発、MRI 病変、身体的障害の進行)による評価よりも有用であることを 確認 2015年10月8日、スイス・バーゼル発 –ノバルティスは本日、第III相臨床試験である FREEDOMSおよびFREEDOMS II試験に関する新たな解析から、ジレニア®(一般名:フ ィンゴリモド、以下「ジレニア」)の長期有効性プロファイルが強化されたと発表しまし た。この解析では、再発性多発性硬化症(relapsing multiple sclerosis、以下RMS)患者さ んに「ジレニア」を投与し、「疾患活動性の認められない状態(NEDA-4)」を達成した 患者さんの割合を7年間にわたり1年ごとに評価しました1。臨床的再発、MRI病変、多発 性硬化症(multiple sclerosis、以下MS)に伴う脳萎縮(脳容積減少)および身体的障害の 進行が認められなかった場合に、NEDA-4を達成したことになります。これらのデータは、 スペインのバルセロナで開催された第31回欧州多発性硬化症会議(ECTRIMS:European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis)で発表されました。 この解析では、FREEDOMSおよびFREEDOMS II試験ならびに継続試験の統合解析を実施 し、RMS患者さんのNEDA-4を7年間にわたり1年ごとに評価しました。データによると、 1年目にNEDA-4を達成した患者さんは、プラセボ投与群の9.1%に対し、「ジレニア」投 与群では27.1%でした。2年目以降にプラセボ投与群の患者さんを「ジレニア」投与に切 り替えたところ、3年目にはNEDA-4を達成した患者さんの割合が2倍になりました(12.7% から27.4%)。継続的に「ジレニア」投与を受けた患者さんのうち31.2%~44.8%の患者 さんが3~7年目にNEDA-4を達成しました1。 ノバルティス ファーマのグローバル開発部門責任者であるヴァサント・ナラシンハン (Vasant Narasimhan)は次のように述べています。「多発性硬化症は慢性消耗性疾患で す。今回、『ジレニア』の長期にわたる有効性および患者さんの長期予後を改善する上で の早期治療の重要性が示されたことにこれらのデータの価値があります。NEDA-4の評価 を通じて個々の多発性硬化症患者さんの経過をより良く理解すれば、医師が患者さんのた めに最適かつ有効な治療アプローチを特定するのに役立ちます」 1/4 また、FREEDOMSおよびFREEDOMS II試験で得られたデータの別の解析から、RMS患者 さんでのNEDA-4に基づいた評価では、臨床的再発、MRI病変、身体的障害の進行のみの 評価と比べて、医師が長期の身体的障害および脳萎縮の予後をより良く予測できるように なることが初めて確認されました。重度の身体的障害に至る患者さん(身体障害状態スケ ール*が6以上で約100m歩くのに松葉杖が必要となるような患者さん)または脳容積減少 が認められた患者さん(1年間に平均0.4%超失われる場合を脳容積減少と定義)を対象と した解析で、最初の1年間のNEDA-4は、その後5年間の身体的障害および脳萎縮の重要な 予測因子となりました2。以上の所見は、疾患の長期予後についてさらに信頼性のある予測 を可能にする上で、NEDA-4によるRMS評価の重要性を裏付けています。 多発性硬化症について MSは、中枢神経系(CNS)の慢性疾患で、炎症や組織の変性により、脳、視神経、およ び脊髄の正常な機能が障害されます3。MSが進行すると、身体的機能および認知機能(記 憶障害など)の双方が悪化します4。このことは、世界中のMS(若年成人で多く発症6)患 者さん約230万人に多大な悪影響を及ぼしています5。 MSの患者さんは、再発寛解型多発性硬化症(relapsing remitting multiple sclerosis、以下 RRMS)と二次性進行型多発性硬化症(secondary progressive multiple sclerosis、以下SPMS) を含むRMS7、または一次性進行型多発性硬化症(primary progressive multiple sclerosis、 以下PPMS)と診断される場合があります。 RMSにおける身体的機能および認知機能の低下は、神経や脳組織の変性をもたらす2つの タイプの損傷によって引き起こされます。1つは限局した炎症性病変(局所性損傷と呼ば れます)、もう1つはより広範囲に及ぶ炎症を伴う神経変性病変(びまん性損傷と呼ばれ ます)です。局所性損傷は脳組織の変性をもたらし、臨床的に再発として現れることがあ ります。びまん性損傷は疾患の早期に発現し、認識されずに進行することが多く、脳組織 の変性および機能の喪失の蓄積と関連しています8-10。 「ジレニア」について 「ジレニア」は、疾患活動性に関する4つの主要な指標、すなわち臨床的再発率、MRI病 変数、脳萎縮(脳容積減少)、および身体的障害の進行の全てにおいて高い有効性を示す ことでRMSの経過に影響を及ぼす唯一の経口疾患修飾性治療薬(DMT)です11-15。「ジレ ニア」は、米国では成人のRMSの第一選択薬として16、EUでは、少なくとも1種類のDMT による治療にも関わらず疾患活動性が高いか、急速に進行する重症のRRMSで定義される 成人の活動性の高いRRMSに対して承認されています17。 「ジレニア」は、CNSの局所性損傷、びまん性損傷の双方を標的としています。局所性の 炎症を引き起こす細胞が脳内に達することを防ぐだけでなく(「末梢作用」 と呼ばれます)、 CNSに侵入してCNS内の損傷をもたらす細胞の活性化を防ぐことにより、びまん性損傷を 抑制します(「中枢作用」と呼ばれます)18-20。RMSの疾患活動性に効果的に作用し、患 者さんの身体的機能および認知機能を維持するためには、局所性損傷とびまん性損傷の双 方に対処することが重要となります4。 「ジレニア」は10年超にわたり、臨床試験と市販後の診療の双方で約12万5,000名の患者 さんの治療に用いられており、使用経験は240,000患者年を上回っています。「ジレニア」 の全体的なリスク・ベネフィットプロファイルは引き続き望ましいものとなっています20。 2/4 多発性硬化症に対するノバルティスの取り組み ノバルティスのMSのポートフォリオとして、RMSの適応を持つ「ジレニア」に対し、小 児MSおよび慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy)の適応について開発中です。また、ノバルティスは、皮下注射用インタ ーフェロンベータ-1bについて、米国では、RMSの治療薬として、欧州では、RRMS、活 動性疾患を伴うSPMS、およびMSを示唆する単一の臨床的事象を有する患者さんの治療薬 として承認を取得しています。 開発中の薬剤には、現在、SPMSを対象として第III相臨床試験を実施中の経口治療薬 BAF312などがあります。さらに、MSを対象にIL-17経路を標的としたCJM112についても 研究を進めています。 ノバルティスは最近、完全ヒトモノクローナル抗体であるオファツムマブのRRMSの開発 に関する全権利をグラクソ・スミスクラインから移管することで合意したことも発表しま した。オファツムマブはCD20を標的としており、第III相臨床試験を開始する準備が整っ ています。この合意は通常の手続を経て米連邦取引委員会から承認を受けます。 フィンゴリモドは、ノバルティス社が田辺三菱製薬株式会社から技術導入した薬剤で、海 外ではノバルティス社が単独で、国内ではノバルティス ファーマ株式会社と田辺三菱製薬 株式会社が共同で開発をし、2011年11月よりMS治療薬として販売しています。効能・効 果は「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」です。日本においては現在、 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の患者さんを対象としたフィンゴリモドの第III相臨床試験 を実施中です。 また、ノバルティスのサンド事業部門は米国において、テバ社のグラチラマー酢酸塩20mg に対する初のジェネリック医薬品を市販しています。 * Kurtzke Expanded Disability Status Scale:範囲は0~10で、スコアが高くなれば機能障害 が重度であることを示す 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その 内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、 ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼 科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅 広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580 億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約120,000人の社員を擁しており、世界180カ 国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。 http://www.novartis.com 3/4 参考文献 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. Cree BAC et al. Long-term effects of fingolimod on NEDA by year of treatment. Poster presented at: 31st ECTRIMS Annual Congress; October 7 – 10, 2015; Barcelona, Spain. Poster Session 1; P627. Kappos L et al. Predictive value of NEDA for disease outcomes over 6 years in patients with RRMS. Presented at: 31st ECTRIMS Annual Congress; October 7 – 10, 2015; Barcelona, Spain. Parallel Session 5 Personalised therapy; Abstract 570. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedhealth/PMH0001747/. Accessed October 2015. http://www.nationalmssociety.org/Symptoms-Diagnosis/MS-Symptoms. Accessed October 2015. http://www.msif.org/wp-content/uploads/2014/09/Atlas-of-MS.pdf. Accessed October 2015. http://www.emsp.org/about-ms/. Accessed October 2015. http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guideline/2015/03/WC500185161.pdf. Accessed October 2015. Filippi M et al. Association between pathological and MRI findings in multiple sclerosis. Lancet Neurol. 2012 Apr;11(4):349-60. Kutzelnigg A et al. Cortical demyelination and diffuse white matter injury in multiple sclerosis. Brain. 2005 Nov;128(Pt 11):2705-12. Sormani MP, Arnold DL & De Stefano N. Treatment effect on brain atrophy correlates with treatment effect on disability in multiple sclerosis. Ann Neurol. 2014 Jan;75(1):43-9. Cohen JA et al.; for TRANSFORMS Study Group. Oral fingolimod or intramuscular interferon for relapsing multiple sclerosis. N Engl J Med. 2010; 362(5):402-415. Kappos L et al.; for FREEDOMS Study Group. A placebo-controlled trial of oral fingolimod in relapsing multiple sclerosis. Montalban et al. Long-term efficacy of fingolimod in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis previously treated with interferon beta-1a or disease-modifying therapies: A Post-hoc analysis of the TRANSFORMS 4.5 year extension study. European Neurological Society, June 10, 2013 P539. Kappos L et al. Phase 3 FREEDOMS study extension: fingolimod (FTY720) efficacy in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis receiving continuous or placebo-fingolimod switched therapy for up to 4 years. Poster presented at: 28th Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 10-13, 2012; Lyon, France. Poster P979. Chin PS et al. Early effect of fingolimod on clinical and MRI related outcomes in relapsing multiple sclerosis. Poster presented at: 28th Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 10-13, 2012; Lyon, France. Abstract P459. http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/022527s008mg.pdf. Accessed October 2015. http://ec.europa.eu/health/documents/community-register/html/h677.htm. Accessed October 2015. Brinkmann V. FTY720 (fingolimod) in multiple sclerosis: therapeutic effects in the immune and the central nervous system. Br J Pharmacol 2009;158(5):1173-1182. 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