ノバルティス ファーマ株式会社 〒105-6333 東京都港区虎ノ門 1 丁目 23 番 1 号 虎ノ門ヒルズ森タワー http://www.novartis.co.jp MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIAS • MEDIENMITTEILUNG 2016 年 10 月 4 日 報道関係各位 ノバルティス ファーマ株式会社 ノバルティス、「ジレニア®」の 10 年間継続治療が患者さんの身体的障害の 進行に対し有益であること示す新たなデータを ECTRIMS で発表 • 海外で実施された ACROSS 試験において「ジレニア®」(フィンゴリモド) を継続投与されている再発寛解型多発性硬化症の患者さんは、投与中止した 患者さんに比べ、身体的障害の進行が有意に低下 • 「ジレニア」投与を 8 から 10 年間継続した患者さんは、投与中止した患者さ んと比較して、二次性進行型への進行が減少 • ACROSS 試験に登録した患者さんのうち約 60%が投与開始から 10 年の時点 で「ジレニア」投与を継続、長期の治療持続性を実証 1 2016年9月16日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、ACROSS試験*におけ る、ジレニア®(一般名:フィンゴリモド、以下「ジレニア」)を投与された再発寛 解型多発性硬化症(relapsing remitting multiple sclerosis、以下RRMS)の患者さんを 対象にD2201試験開始時のベースラインから10年継続投与時**の身体的障害を評価 した新たなデータを発表しました。この結果から、身体的障害進行のコントロール に対する「ジレニア」継続投与の長期の有効性を裏付ける証拠が得られました。詳 細な結果は、英国のロンドンで開催された第32回欧州多発性硬化症会議(European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis、以下ECTRIMS)で発表 されました。 ACROSS試験*は、フィンゴリモドの第II相臨床試験***に参加されていた175名の RRMS患者さんに対する1回来院観察研究です1。本試験では、ベースラインから10 年の時点において、患者さんの総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale、以下EDSS)をベースラインからの変化を主要評価項目として「ジレニア」投 与の継続群と非継続群で比較したところ、非継続群に対して継続群で有意な低下を 示しました(それぞれ、0.55対1.21、p=0.0155)1。主要な副次評価項目の解析から、 10 年 継 続 投 与 時 に 二 次 性 進 行 型 多 発 性 硬 化 症 ( secondary progressive multiple sclerosis、以下SPMS)への進行リスクは、「ジレニア」を8年以上継続的に投与した 患者さんでは、非継続の患者さんと比較して、66.2%低下したことが示されました1。 また、車椅子を使用するまでの時期では4倍の有意な遅延が認められました 1 。 ACROSS試験*の患者さんのうち約60%(59.4%)が10年投与時においても「ジレニ ア」投与を継続しており、長期間にわたる治療の持続性が実証されました1。 Page 2 of 5 ノバルティス ファーマのグローバル開発部門責任者兼チーフメディカルオフィサー であるヴァサント・ナラシンハン(Vasant Narasimhan)は次のように述べています。 「多発性硬化症は進行性で生涯にわたる疾患であり、患者さんの日常生活に大きな 影響をおよぼしています。このACROSS試験*のデータから、RRMS患者さんに有効 性の高い治療の選択肢として『ジレニア』の長期使用に対する理解が深まっていま す」 多発性硬化症(Multiple sclerosis、以下MS)は、慢性の神経疾患であり、身体障害 および認知障害(記憶障害など)が徐々に悪化し、患者さんは日常生活に支障を来 します 2。罹患後できるだけ早い段階で身体的障害の進行を抑制することが、MSの 重要な治療目標であり、これによって、患者さんの長期の転帰を改善し、SPMSへの 進行を遅らせることができます3,4。 * ACROSS試験では、日本の承認外の用量が投与されていた期間があります。 ** 第II相臨床試験開始時のベースラインから10年。 *** 第II相臨床試験、D2201試験では、日本の承認外の用量が投与されています。 ACROSS 試験について ACROSS試験は、多施設共同、1回来院、10年時観察研究であり、10年間追跡できた RRMS患者を対象にフィンゴリモドの長期の有効性を評価しました。第II相臨床試験、 D2201試験に参加していた175名のRRMS患者がこの試験に参加し、RRMSに対する フィンゴリモドの有効性、安全性、忍容性を評価しました。ACROSS試験に参加し た患者は、フィンゴリモド投与継続群(フィンゴリモド投与が8年以上と定義)とフ ィンゴリモド投与非継続群(フィンゴリモド投与が8年未満と定義)に分けられまし た1。 なお、第II相臨床試験、D2201試験において患者は、フィンゴリモド5.0mg、1.25 mg、プラセボに無作為化されました。フィンゴリモドの用量は、どちらも日本にお いて未承認の用量です。投与開始から6カ月後プラセボ投与患者はフィンゴリモド 5.0mgまたは1.25mgに無作為化されました。また、24か月後全ての患者は、フィン ゴリモドの用量を1.25mgにされ、60カ月以降は0.5mgを投与されています。 主要な目的は、フィンゴリモドの10年以上の継続使用が、より短期間の投与と比較 して、平均EDSSスコアで評価した身体的障害の進行を抑制させるかどうかを評価す ることでした1。重要な副次目的は、身体的障害が進行した患者さんの割合、車椅子 を初めて使用した時期、SPMSを発症した患者さんの割合を、ベースラインから10年 の時点で、フィンゴリモド投与を継続した患者さんと非継続の患者さんで比較する ことでした1。 並行対照なしの試験と同様に、本試験のデザインに関連した偏りを考慮する必要が あります。 Page 3 of 5 「ジレニア」(一般名:フィンゴリモド)について 「ジレニア」は、再発性多発性硬化症(relapsing multiple sclerosis、以下RMS)の疾 患活動性のコントロールに高い有効性を示す経口疾患修飾性治療薬(DMT)です5。 長期の使用経験から、「ジレニア」投与は患者さんの日常生活に組み入れやすいた め、高い治療満足度、長期の持続性につながり、最終的にRMS患者さんの長期の転 帰が改善されることが示されました5-10。 「ジレニア」は、疾患活動性に関する4つの主要な指標、すなわち臨床的再発率、 MRI病変数、脳萎縮(脳容積減少)、および身体的障害の進行に影響を及ぼします 5,6。これらの指標の全てに対する「ジレニア」の有効性が、複数のコントロール試 験および実臨床の場で、一貫して示されてきました5,11,12,13,14。試験では、安全性お よび高い有効性が長期間にわたり持続すること示され、罹患後のできるだけ早い段 階で「ジレニア」投与に変更することは、患者さんの身体的機能の維持を助けるた めに有益となる可能性があることが実証されました13,15。 「ジレニア」は、米国では成人のRMSの第一選択薬として、EUでは、少なくとも1 種類のDMTによる治療にも関わらず疾患活動性が高いか、急速に進行する重症の RRMSで定義される成人の活動性の高いRRMSに対して承認されています15。 フィンゴリモドは、ノバルティス社が田辺三菱製薬株式会社から技術導入した薬剤 で、海外ではノバルティス社が単独で、国内ではノバルティス ファーマ株式会社と 田辺三菱製薬株式会社が共同で開発をし、2011年11月より多発性硬化症治療薬とし て販売しています。なお、日本における「効能又は効果」と「用法及び用量」は、 次の通りです。 効能・効果 多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制 用法及び用量 通常、成人にはフィンゴリモドとして1日1回0.5mgを経口投与する 「ジレニア」は、臨床試験と市販後の診療の双方で約15万5,000名の患者さんの治療 に用いられており、使用経験は約34万3,000患者年です16。 多発性硬化症について 多発性硬化症(MS)は炎症および組織の変性により、脳、視神経、および脊髄の機 能に障害を起こす中枢神経系(CNS)の慢性疾患です 17。MSには、再発寛解型MS (relapsing remitting multiple sclerosis、以下RRMS)、二次性進行型MS(secondary progressive multiple sclerosis、以下SPMS)、一次性進行型多発性硬化症(primary progressive multiple sclerosis、PPMS)があります18。MSの進行は、身体的機能およ び認知機能(記憶障害など)の双方に悪化をもたらします。MSは若年成人で発症す ることが多いため、これらの身体的障害および認知機能障害は、世界中で約230万人 のMS患者さんに多大な悪影響を及ぼしています19。 多発性硬化症に対するノバルティスの取り組み ノバルティスのMSのポートフォリオとして、RMSの適応を持つ「ジレニア」は、小 児の適応を開発中です。また、Extavia®(皮下注射用インターフェロンベータ-1b、 日本のノバルティスでは未承認)については、米国ではRMSの治療薬として、欧州 ではRRMS、活動性疾患を伴うSPMS、およびMSを示唆する単一の臨床的事象を有 する患者さんの治療薬として承認を取得しています。 Page 4 of 5 開発中の薬剤には、SPMSを対象としたBAF312(siponimod)、およびRMSを対象 とした完全ヒトモノクローナル抗体であるオファツムマブ(OMB157)があります。 オファツムマブはCD20を標的としており、現在、海外では2つの第III相臨床試験を 実施中です。ノバルティスのサンド事業部門は米国において、テバ社のグラチラマ ー酢酸塩注射剤20mgに対する初のジェネリック医薬品を市販しています。 免責事項 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、 その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリ スクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳 細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けております Form20-F をご参照ください。 ノバルティスについて ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケ ア(眼科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医 薬品など、幅広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の 2015 年の売上高は 494 億米ドル、研究開発費は 89 億米ドル(減損・償却費用を除くと 87 億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約 118,000 人の社員を擁しており、世界 180 カ国以上で製品が使われています。詳細はホーム ページをご覧ください。http://www.novartis.com 参考文献 1. Derfuss T et al. The ACROSS Study: Long-term efficacy of fingolimod in patients with RRMS (follow-up at 10 years). Poster presented at: 32nd Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; September 14-17, 2016; London, UK. 2. National MS Society. MS Symptoms. http://www.nationalmssociety.org/Symptoms-Diagnosis/MSSymptoms (link is external). Accessed August 2016. 3. MS Society. Early treatment. https://www.mssociety.org.uk/earlytreatment (link is external). Accessed August 2016 4. National Multiple Sclerosis Society. Frequently asked questions about SPMS. http://www.nationalmssociety.org/What-is-MS/Types-of-MS/Secondary-progressive-MS/FrequentlyAsked-Questions-about-SPMS (link is external). Accessed August 2016. 5. Cohen JA et al. Fingolimod versus intramuscular interferon in patient subgroups from TRANSFORMS. J Neurol. 2013; 260(8):2023-2032 6. Kappos L et al. Phase 3 FREEDOMS study extension: fingolimod (FTY720) efficacy in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis receiving continuous or placebo-fingolimod switched therapy for up to 4 years. Poster presented at: 28th Congress of the European Committee for Treatment and Research in Multiple Sclerosis; October 10-13, 2012; Lyon, France. Poster P979. 7. Montalban et al. Long-term efficacy of fingolimod in patients with relapsing-remitting multiple sclerosis previously treated with interferon beta-1a or disease-modifying therapies: A Post-hoc analysis of the TRANSFORMS 4.5 year extension study. European Neurological Society, June 10, 2013 P539. 8. Cohen JA et al. Long-term (up to 4.5 years) treatment with fingolimod in multiple sclerosis: results from the extension of the randomized TRANSFORMS study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015; 0:1-8 9. De Stefano N et al. Proportion of patients with BVL comparable to healthy adults in fingolimod phase 3 MS studies. Abstract presented at: 66th AAN Annual Meeting; April 26 - May 3, 2014; Philadelphia, Pennsylvania. Oral session S13:006. 10. Lapierre Y et al. Canadian experience with fingolimod: adherence to treatment and monitoring. Can J Neurol Sci. 2016; 43:278-283 11. Fox E et al, on behalf of EPOC study investigators, Outcomes of switching directly to oral fingolimod from injectable therapies: Results of the randomized, open-label, multicenter, Evaluate Patient Out Comes (EPOC) study in relapsing multiple sclerosis, 607-619. Page 5 of 5 12. Cohen JA et al. Oral fingolimod or intramuscular interferon for relapsing multiple sclerosis. N Engl J Med. 2010: 362:402-15 13. Khatri B et al. Comparison of fingolimod with interferon beta-1-a in relapsing-remitting multiple sclerosis: a randomized extension of the TRANSFORMS study. The Lancet Neurology. 2011; 10(6);520-529 14. Cascione, M. et al. 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