ツバメは減っているのか?

ツバメは減っているのか?
-全国調査から見えてきたこと-
*
○荒哲平 ・葉山政治・伊藤加奈・景山誠・篠木秀紀(公益財団法人 日本野鳥の会)
*ara-t@wbsj.org
Photo: 佐藤信敏
背景
結果
日本野鳥の会アンケート調査(2012年)
●都市部ほど巣立ち
ヒナ数が少ない
a
b
ab
ab
ab
2013年のデータ: n=678
Multiple Comparison (Tukey-Kramer test)
a~b: p<0.05
a
都市開発区域(郊外)
近郊整備区域(近郊)
既成市街地 (都心)
b
Q1:この10年で見かけるツバメの数は
変化しましたか?
b
Q2:ツバメの子育てが失敗した理由は?
●特に都心で巣立ち
ヒナ数が少ない
●約4割がツバメの減少
を実感している
⇒人為的影響で繁殖に失敗することが多い
分布域や繁殖成功率は変化しているのだろうか?
調査
関東地方のデータを抽出(n=327) ※国土数値情報三大都市圏
計画区域データの分類に基づく
Multiple Comparison
(Tukey-Kramer test)
a~b: p<0.05
考察
市民参加型「ツバメの子育て状況調査」を開始(2013年~継続中)
ツバメの子育てに好適な環境とは…?(関東地方)
http://tsubame.torimikke.net/
巣の周囲500mの環境要素が巣立ちヒナ数(繁殖失敗を除く)
に及ぼす効果についてモデル選択
凡例
繁殖確認
繁殖可能性
生息確認
応答変数
巣立ちヒナ数
Model 1
Model 2
Model 3
Model 4
(Null model)
random
effects
説明変数
水田&
農地
森林&
緑地
+
森林
外周長
河川
延長
低層宅&
公共建物
巣ID
+
+
+
+
-
AIC
ΔAIC
129.5
130.6
131.2
131.4
131.6
0.0
1.1
1.7
1.9
2.1
GLMM: Link function is Log, Error distribution is Poisson. (Only models ΔAIC<2)
Positive(+), Negative(-)
第2回自然環境保全基礎調査
(1974~1978年)
日本野鳥の会アンケート調査
(2012~2014年)
●分布域は過去とほとんど変わらない
⇒むしろ北上している?
年
1956~58(金井 1960)
2013
2014
一番仔の繁殖成功率
69.6%(八王子地域)
81.4%
79.3%
平均巣立ちヒナ数
4.47羽
3.97羽
4.04羽
●繁殖成功率・巣立ちヒナ数は変動がある
●森林/緑地が残っていることが重要
⇒関東以外でも同じ傾向となるのか?
人為的影響など環境要素以外の効果もふまえて解析する
データを全国に拡大・追加してより詳細な解析を進める
●長期モニタリングの継続
⇒関東地方では将来的に個体数が減少する可能性が示唆された
⇒巣立ちヒナ数が少なくなってきている?
現在のデータでは全国的なツバメの減少傾向を断言できない
(比較できる過去の調査データが少ない/調査方法が異なる)
市民参加型の調査体制を維持し,データを蓄積する
全国ツバメ調査
【謝辞】本調査は(公財)日本野鳥の会 の会員の皆様をはじめ,全国の方々のご協力のもと実施しております.
貴重な観察記録をお送りいただいた,多くの方々にお礼申し上げます.
調査員募集中‼