コーン需給、期末在庫水準は依然として最高レベル 作付順調開始なら一段安警戒 米国産期末在庫見通しの月次推移 米農務省が9日に発表した4月需給報告において、2014 -15年度の米国産コーンの期末在庫見通しを18億2700万 ブッシェルとし、前月の17億7700万ブッシェルから上方修正 した。また市場予想平均の18億5400万ブッシェルは若干下 回った。 2014-15年度の世界全体のコーン生産高は前月から22 6万トン上方修正されて9億9192万トンとまった。また世界全 体の期末在庫は前月比318万トン上方修正となる1億8846 万トンとされた。市場予想(1億億8691万トン)を上回った。 左図は上段が米国コーンの期末在庫見通し月次推移、中段 がシカゴコーン期近週足(終値ベース)、下段が世界全体の期 末在庫見通し推移である。米国産は前月まで下方修正が続 いたが、それでも過去数年との比較で見れば最高水準の状 態にある。また世界全体の期末在庫推移をここ数年と比較し ても、これまでのレベルを一段と上回った高水準にあることが 分かる。 品種改良により生産レベルは上がっているものの、米国お よび世界全体の需要が伸び悩む結果、在庫が高水準でだぶ つく状況となっているのだろう。 かつて、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心とし た新興国の高度成長が世界全体の商品需給バランス、とりわ け農産物需給バランスを地殻変動的にタイト化させたため、 農産物相場はそれまで四半世紀の水準を一挙に超える大上 昇となった。しかし、その高度成長はリーマンショックによって 一度クラッシュし、その後の米連銀による超金融緩和によるド ル安を背景に再び上昇したが、それも2011年、12年をピーク として崩れてきた。 2014-15年度は歴史的豊作となり、昨年10月にかけて相 場は大きく下げた。その後は下げ過ぎの反動でやや戻したが 、400セント前後を抵抗として伸び悩んでいる。 これから米国のコーン作付が本格化してくる。作付が進捗し 、ペースアップしてくると、想定される作付面積に、ここ数年の トレンドによるイールド(単収)を掛け合わせて生産高見通しを 立て、需要も同様に計算し、期末在庫予想が5月の農務省需 給報告から発表される。春、初夏への天候に異変なければ、「 青田褒め」となって夏底形成へ下落し、天候不安が発生なら 凶作リスクを背景に強気天候相場化して上昇する。4月中盤 から、いずれかの動きが活発化するものと思われる。 世界合計期末在庫見通しの月次推移 16
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