県議がつくった 石川の財政 <第2号> 【人口減少時代の中で、どう活性化を図っていくか・・・ 消滅可能性都市からの脱却】 2015年1月発行 石川県議会議員 室谷ひろゆき 「消滅可能性都市」の衝撃 ⇒日本創生会議の試算によると・・・ 県内の約半分の市町が、消滅可能性都市に!! 加賀市、七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、 志賀町、宝達志水町、穴水町、能登町 故郷が大変なことに。。。 課 題 全ての自治体が人口減少しているわけではない。 「人口の流出」対策がとても重要。 a、石川県から、大都市圏への流出(転出) <8都県では、人口が増加> b、同じ石川県内における加賀市や能登地域から、金沢周辺への人口流出 <金沢周辺では、人口が増加> ≪例≫ 加賀市の場合 ― どこに転出しているのか? H25年 (1925人の転出先) H23年 (1825人の転出先) 40.9%が県内他市へ転出 (788人) 45.6%が県内他市へ転出 59.1%が県外へ転出 (1137人) 54.4%が県外へ転出 2 ○ 最近の傾向・・・ ・ 県内他市への転出より、県外への転出が増加中 ・ 福井県への転出が減少、東京や大阪への転出が増加 ・ 国外への転出が増加(H23-39人、H24-105人、H25-150人) ○ 人口は・・・まちのバロメーター (加賀市の人口の推移) 74920人 まちを支える方が減れば、 行政サービスすら 十分に行えなくなっていく。 68226人 49428人 2005 2014 県統計情報室調べ ◎ 労働力人口も減少 2040 厚労省将来推計 42,499人 39,522人 H17 ○ H22 加賀市の労働状況 (15歳以上) 就業者 完全失業者 家事 通学 その他 男 19,048人 2,073人 800人 1,375人 5,320人 36,448人 3,074人 7,756人 2,750人 12,162人 3 女 17,400人 1,001人 6,956人 1,375人 6,842人 では、どこで働いているのか? ・・・就業者(15才以上) ― 36,448人の状況 ・ 加賀市で従業 28,565人(78%) <自宅外 23,664人,自宅 4,901人> 市外で従業 8,263人(22%) <小松市 4,298人,福井県 835人, 金沢市 803人,能美市 557人 など> ⇒ 通勤に時間がかかり過ぎると、その後、職場のある市へ引っ越す傾向あり! 対 策 A、 「働ける場」を増やす ・ 地場産業の振興、工場の増設支援、新製品開発による新たな需要の開拓。 (ファンドによる支援、県工業試験場による技術の高度化支援、デザイン性の優れた製品開発支援など) ・ 販路開拓の促進(首都圏などへ市場開拓支援など) ・ 国際展開の拡大 ― 国内市場の大幅な伸びが見込めないなか、 石川県として・・・・ 陸 (北陸新幹線金沢開業) 海 (金沢港の大水深化) 空 (小松空港の国際便の充実) この3つの、交通インフラの整備推進を行いアジアを中心とした海外需要を獲得する。 ・ 海外で、より一層の展示会や商談会を実施し、県内の伝統産業の海外販路の拡大を図る。 ・ 企業誘致 (地震などの自然災害が少ないことや産業用電力料金が安価であるという特性を最大限に活かしなが ら、企業立地の助成、きめ細やかなフォローによって戦略的誘致を進める) ・ 新産業の創出、新市場の拡大(次世代産業創造ファンドなどを活用) ・ 観光のお客様をより多く市内、県内へよびこむ。 (二次交通の充実強化、観光素材の磨き上げ、情報発信の強化など) 4 B、 不安定な雇用状況を減らす―非正規雇用者支援 石川県内の非正規雇用者の現状=33.4% (H25年、県労働力調査) ・ 行政として、正規雇用転換支援策の強化、処遇改善助成金、人材育成支援強化などを進める。 ・ 若年層の非正規雇用率の高さ、又、3年以内退職の多さに対処するため、学校から、社会、就 業への移行が円滑にいけるように、職業体験・インターンシップの強化、さらに、新卒者及び既卒 者のよりきめ細かな就職支援を行う C、 家庭と仕事の両立支援強化 石川県の女性就業率は、全国1位 ― 51.2%(2010年調査) ・ 県内は、働いている女性が多いため、家庭と仕事の両立に苦労している方が多い! 共働き率 加賀市 ≪例≫加賀市の場合 56.9% 全国平均 45.4% 市内には、中小零細企業が多いこともあり、夫婦共働きで、なんとか家計 をやりくりして生活しておられる方が多く、妻の収入は、暮らしていくための支え となっています。 そのため、子どもを産む段階において、出産に伴う育児休業をとれるのか、又、その後の継 続雇用が認められるのかは、切迫した問題です。 ですから、女性の出産や子育てと、就労の両立支援は、とても重要であり、又、男性の育 児参加への企業の理解・支援も、進めていかなければなりません。 5 *出産を機に仕事を辞めた理由 (H25年石川県子育てに関する意識調査結果) 1, 家事や育児と仕事を両立できなかった(39.4%) 2, もともと家事や育児が大変で、仕事との両立を考えていなかった。(28.9%) 3, (勤務先の)辞めざるを得ない雰囲気(22%) ◎ 家庭(子育て)と仕事の両立をできる社会にしていくために! ・ 育児・介護休業法に規定されている制度の普及・定着 ・ 行政指導の実施、計画的な企業・事業所訪問の強化などによって、家庭と仕事の両 立改善へむけた環境整備を進めていく。 ・ 県として結婚や出産・育児等により、一旦退職した女性の再就職支援策の充実を強 化していく。(いしかわ女性再チャレンジ支援室などによる―個別相談、再就職準備セ ミナー等の実施、各種情報の提供など) D、子どもを産み育てやすいまちにしていく (少子化対策) 主な少子化の要因 ① 若年層の給料が安く、結婚をためらう方、又は、こどもを産み育てることに躊躇する方が増加。 ② 結婚願望はあるが、なかなか良いめぐりあいが無い方の増加 ③ 家庭や地域の子育て力の低下 (働く女性が増えたことによって、子育て(家庭)と仕事の両 立に悩み、出産をあきらめている方が存在) ④ ライフサイクルの変化によって、結婚にこだわらない方が増加 6 左記の悩みを解消するために ① 結婚したくても、収入が低く、なかなか踏み切れない・できない層へのとりくみ。 <近年の大きな課題> ⇒ 特に、男性の所得状況が結婚と大きく関わっています。 ~ にもかかわらず・・・非正規雇用増加中 年収200万円以下の慢性化によって、自立した家庭をもってやっていこうという方が意欲を失っています。 政治の責任として― 市民、県民が自分で働いたお金で、結婚や子どもを産み育てられるように雇用 環境の改善を図らなければなりません。 ・ より多くの方を、正規雇用として雇える企業力を企業につけてもらうための支援 県 と し て ― 石川県の現状: トライアル雇用奨励金やキャリアアップ助成金などを実施、又、積極的に頑張る 地域企業へ融資や支援などを進める。 さらに、災害の少ない石川をよりPRして企業誘致を進め、市内・県内により多くの 雇用をつくる。 一人あたりの県民所得;265万2000円(全国32位) 【全国平均;288万7000円】 ② 結婚は基本的に個人の人生観にかかわる問題であるが、石川県民調査の結果を分析すると・・・ 未婚者の約7割が結婚したいと考えています。 そこで、 「結婚のお膳立て」を ― ・出会いの場づくり ・婚活イベント支援・独身者向けセミナー ・結婚支援相談の充実 ・地域での『世話やきおばさん』の復活 7 ③ 出産に伴うお母さんの孤立化を防ぐ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 支援体制の強化、子育て安心サービスの充実、保育料など、子どもの養育にかかる費用の軽減。 0歳児保育、延長保育などの充実 放課後児童クラブの充実 子ども見守りネットワーク強化 子どもの貧困対策の強化 母子(父子)世帯支援強化 ○ 石川県の核家族化の急増に対処 S60 H22 核家族 55.7% 71.3% 三世代同居 39.7% 22.4% 県内において親と子だけの家庭の増加は・・・・地域社会のつながりの希薄化と相まって、 家庭での子育ての孤立化、子育てを助けてくれるおばあちゃん、おじいちゃんが 周りに居ないことによる親の負担・不安の増大となっています。 一方、お隣の福井県では、多世代同居などにより、世代間の助け合いがうまくいっていて 日本トップクラスの子育てしやすい地域となっています。 8 ○ そこで、 県内でも 「新しい家族のかたち」・・・近居支援を! 同居はしないが、近隣に住んで経済的・精神的に助け合うファミリーづくり 加賀市、そして県内のように、女性の就労が高く、結婚しても仕事を続ける方が多い地域では~ 若年夫婦 A雄さん A雄さんの 両親 歩いて5分 B子さん お子さん 車で10分 B子さんの 両親 家事育児支援 ~と、いった・・・ A雄さん一家を中心に、その親世帯が近くに住むことによって ゆるやかに支え合うような地域づくりが・・・人口減少時代では、必要となってきています。 9 ◎ 出産しやすい石川県になるために 課題 「県内の産科医が減少(全国一の減少率)」 現在93人 69人へ (2024年推計) :原因: ・ 県内では、35才未満の若手産科医が少ない ・ 研修医で産科医になる方が少ない ・ 医療訴訟のリスクを敬遠etc 一方、都市圏では逆に増加 (東京は32.3%も増加:2024年推計) 産科医の地域格差が、より深刻になってきています。 対策 ⇒ 県内の出産を扱う産科医の減少をくい止めるために! 1、 新しく産科医になってくれる方を増やす。 ・奨学金制度の充実、産科医の待遇改善、都市圏からのリクルート 2、 院内助産の導入(通常の出産を助産師が担い、産科医の過重労働や産科医不足を補う。 また、加賀市と能登地域では、医師全般の不足によって「地域医療の充実」に不安があります・ ⇒これまで以上に、県や市が連携して、医師招へいに力を入れていかなければなりません。 E、 「市民の定住化」に力を入れる。 1、 超高齢化対策・・・加賀市と能登の全ての市町は県平均の高齢化率を上回っています。 特に、これらの市や町では、こども達が都会へ雇用などを求めて移り住んでいくことと相 まって「一人暮らしや高齢者のみ世帯」が毎年増え続けています。 10 *この現実に対処するため、以下のとりくみを実行していかなければなりません。 ・ ・ ・ ・ 足の確保(コミュニティバスの導入) ・ 買い物弱者支援(移動販売車や宅配サービス) 高齢者見守りネットワークの充実 ・ 健康づくりと介護予防の推進 歩道や公共施設のバリアフリー化の推進 ・ 介護、福祉人材の待遇改善の推進 健康寿命(寝たきりを防ぐ)を延ばすとりくみの強化 2、 行政改革の推進 (行政はどんなに良いことを言っても、財源がなければ行政サービスを行えません。 健全財政にむけて、弛まぬ行財政改革を進めなければなりません。) 3、 老朽化した道路・橋・公共施設の長寿命化の推進 (住民の安全安心を確保するため、必要なものは修繕する) 4、 より良き環境を目指して (下水道加入の促進など) 5、 空き家、空き旅館対策の強化 ○ 移住、定住化の推進 1、 学卒者の定住化を図る⇒県内学校卒業者の進路の現状 県内高等教育機関卒業者の県内就職率 47%(H26年3月) 県 内 大 学 卒 業 者 の 県 内 就 職 率 41%(H26年3月) ⇒学卒者が県外へ転出することなく県内各地で働き定住して下されば、各地の活性化に大きな力となります。 県内で働いてもらうために・・ ・ ふるさと就職フェア石川の開催、ふるさと就職サプリメントの送付、県内企業見学会の実施。 ・ チャレンジ応援就職フェア、インターンシップフェアなどの開催などを行っています。 2、 Uターン・Iターンの推進 (県内出身者への情報提供、優遇支援策の強化など) 3、 移住支援の強化 (JRと連携した移住体験ツアーの実施など) 以上のような、とりくみを地道に行うことによって、都市は必ず活性化していきます。 11 又、内閣府世論調査(2014)によれば、都会に住んでいる30代の57.6%が 「地方に移住しても良い」と、考えています。 2014 住みよさランキング では、石川県内の市が上位を占めています。 (全国3位ー野々市市、7位ーかほく市、9位ー能美市、28位ー白山市、 41位ー七尾市、46位ー小松市、81位ー金沢市、280位ー加賀市など) 民間会社が行っている調査ですが、毎年県内の市が上位をしめ、全国的にも住みよい市が多いことが ランキング結果として出ています。 私達、石川県に住む一人一人が、自らの住んでいる地域の良さを伸ばし、欠点を改善していくならば、 人口減少をくいとめる一助となっていきます。 人口減少を放置し続ければ、財政はおろか、地域社会が成り立たなくなってしまいます。 一方、人口流出をくい止め、老若男女が助け合うならば、地域経済の悪循環を断ち切ることができます。 末永く県内各地で暮らし続けられるよう、まず、足元を見つめ、やるべきことをやっていきましょう。 (討議資料) この冊子について、詳しい説明をご希望の方に対しては 各地5人以上で【ミニ座談会】を開催致します。どうぞ、お気軽にお申し込み下さい。 室谷ひろゆき県議会報告 1・2月合同号 県 庁 住 所 金 沢 市 鞍 月 1 ー 1 加賀市山代温泉14の67 TEL TEL FAX 12 076-225-1027 0761-77-7839 0761-76-9390 (代)
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