カワモズクニュース№28 2014.3.29 〔ミョウテンジカワモズク〕 今年の金枠の様子は異なります。3月では金枠いっぱいに付いて いる筈のシャントランシア体がもはや消失するほど減少しています。 一方石枠や手前の池床にたくさんの藻体が生育しています。 白い定規を当ててみると緑色していますので、全てミドリカワモズクを 含めたアオカワモズクと思われます。 ミョウテンジカワモズクは昨年5月から確認できていません。消失し てしまったのかどうか、注意深く見ていきたいと思います。 金枠のシャントランシア体が消失? 池床の石に付着するアオカワモズク 胞子は出ています 〔アオカワモズクの様子〕 2011年3月、この池に初めてアオカワモズクが発生し、その後毎年 3月にその発生が確認されています。 今年のアオカワモズクは、2月造果器が見られ3月には果胞子体 も観察できるようになりました。5cmほどの成長したものもあり精力的 に成長しています。左写真のように固まって生息しているものもあり、 正確ではありませんが5ミリ以上の藻体は73株を数えます。 池は糸状緑藻類の繁殖が盛んですので、生息場所は湧水口の金 枠、金枠の載っている石枠と手前20cmの池床、石枠横の石と生息 場所は大変限られています。 やむなく清掃時には小さな藻体やシャントランシア体をたくさん剥 がし、流しています。 〔シャントランシア体から藻体への変態〕 金枠、池の中に2つの形態のシャントラ ンシア体が現在生息しています。一つは ふさふさした刷毛状(5㎜以上)の褐色の シャントランシア体です。単胞子をたくさ んもっていますが、2,3月は藻体への変 態が確認できませんでした。 一方ボサボサした枝(250μ~350μ) の上部に単胞子を持つ緑色のシャントラ ンシア体が生息しています。 この緑色のシャントランシア体は写真の ように盛んに変態しています。藻体への 変態の瞬間を見届けたいのですがごく 根元付近で起こしており、また中軸の根 元部分は皮層細胞が盛んに発達し太く なっていて確認することが出来ません。 藻体はアオカワモズクですし、このシャ ントランシア体はアオカワモズクのシャン トランシア体と思えます。褐色の刷毛状 のそれが異なる種かどうかは継続して観 察していきたいと思います。 左:褐色の刷毛状シャ ントランシア体 右:緑色のシャントラン シア体 左はミョウテンジカワモ ズクで、5月に変態を起 こすのでしょうか。 短く、先端部に単胞子 単胞子からの発芽 今年、金枠の刷毛状シャントランシア体を 採取して発芽の様子を観察しています。 1月19日に採取、単胞子がスライドに落ち た後シャントランシア体を取り除きましたが、 シャントランシア体の切れ端が落ちていまし た。そしてそこから仮根が出てきて、すごい スピードで増殖してきました。 単胞子は発芽し成長するとともに絡み合う 様子が見受けられますが、ここでも成長して きた仮根に絡みつき、シャントランシア体が マット状になることが理解できる様 子が見えました。 匍匐糸状体から直立体が立ち 上がっている様子も見えるのです が、藍藻も繁殖してきましたので 家庭での培養はそろそろ終りに 近づいています。 シャントランシア体 仮根 1/25 発芽の様子 2/27 仮根の増殖 赤色:仮根 仮根に発芽した胞子が 絡んでいる様子 3/18 匍匐糸状 体から直立体が立 ち上がってきました。 ピントをずらしてみると矢印の細胞が立って いるのが分かります。 市場峡公園・湧水池の仲間(ダイダイゴケ) ↑石のダイダイゴケ (黄色い粒粒) →ダイダイゴケの顕 微鏡写真(400倍) (シャントランシア体の色) シャントランシア体は何色かと 言われると困ります。刷毛状は薄 墨色ですが顕微鏡で見ると褐色。 マット状は目視では黒いですが 写真に撮るとチョコレート色、顕 微鏡に置くと緑色だったりします。 (ニュースに対するお問合せ) 白子・湧水林保全の会 会長 友国 洋 文責 須貝郁子 白子3-35-6-307(464-5545) Email:[email protected] ある日池の周囲の石に黄 色い粒粒したものが付いて いるのが見えました。 コケだろうかと採取して顕 微鏡で見てみると?? 地衣類のダイダイゴケ類 であることが分かりました。 地衣類は菌類が藻類等と 共生して生息していて、蘚 苔類とはだいぶ様子が異 なります。 左写真で緑藻が取り込ま れているのが分かります。
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